大手企業と連携して研究開発を進めている株式会社PKSHA Technology
3社目は、AIに関するアルゴリズムライセンス事業を主な内容とする株式会社PKSHA Technologyについて考察する。
出願数の経緯を確認すると、設立当初から大学との共同出願は行なっていないことが確認できる。また、パテントランドスケープの分析により、コアとなるアルゴリズム生成に関する技術は自社で開発しつつ、当該アルゴリズムを提供するアプリケーションについては、大手企業と連携して研究開発を進めていることを読み取ることができる。
●株式会社PKSHA Technology 会社概要
・沿革:2012年10月設立。2017年9月マザーズ上場
・関連大学:東京大学
・時価総額:約540億円
出願数の推移
設立後の2013年に1件出願したあと、2016年から年間数件程度出願している。出願件数の割に大企業との共同出願が多い印象である。
最初の特許出願)
最初の出願は、株式会社AppReSearch名義(株式会社PKSHA Technologyの前屋号)での単独出願である。本願は未審査請求による取り下げとなっている。
特願2013−94851(商品情報サーバ、ユーザ端末、商品情報提供方法、商品情報サーバ用プログラム)
【出願人】
【氏名又は名称】株式会社AppReSearch
特開2014-215929
【請求項1】
商品の情報を記憶させた商品情報データベースと、商品の画像、又は画像の特徴点と局所特徴量を記憶させた商品画像データベースを備え、一以上のユーザ端末と通信可能に接続された商品情報サーバであって、前記ユーザ端末から、前記ユーザ端末を用いて撮影された画像を受信する撮影画像受信手段と、前記受信した画像から、特徴点を抽出する特徴点抽出手段と、前記画像について、前記抽出した特徴点の周辺領域について局所特徴量を記述する周辺領域記述手段と、前記抽出した特徴点と、前記記述した局所特徴量に基づいて、前記商品の画像の一部又は全部が、前記撮影画像の一部又は全部と一致する前記商品を、商品画像データベースから抽出する商品抽出手段と、前記抽出した商品の情報を前記商品情報データベースから抽出する商品情報抽出手段と、前記抽出した商品情報を、前記撮影画像を受信した前記ユーザ端末に対して送信する商品情報提供手段と、を備えることを特徴とする商品情報サーバ。
共同出願人
綜合警備保障株式会社
株式会社ベネッセコーポレーション
株式会社SAPEET
東京電力ホールディングズ株式会社
トヨタ自動車株式会社
パテントランドスケープ
パテントランドスケープと公開公報を検証することにより、アルゴリズムに関する技術を自社開発しつつ、当該アルゴリズムを搭載したソフトウェアの開発については大企業と共同開発していることを読み取ることができる。
①全出願
②単独出願
※赤色領域の主な出願
特開2021-018466(ルール抽出装置、情報処理装置、ルール抽出方法及びルール抽出プログラム)
【請求項1】
予め所属クラスの付与されている複数のデータレコードを、前記データレコードの各フィールドに含まれている特徴量の性質に応じてクラスタリングを行うクラスタリング部と、前記クラスタリング部で同じクラスタに分類されて、かつ、前記所属クラスのうちの一の所属クラスの付与されている複数の前記データレコードと、前記一の所属クラスと相違する他の所属クラスが付与されている複数の前記データレコードとを併せて決定木解析するルール抽出部とを備えるルール抽出装置。
③-1共同出願(株式会社ベネッセコーポレーション)
※赤色領域の主な出願
特開2022-032196(学習支援システム、情報処理装置、情報処理方法及びプログラム)
【請求項1】
所定の学習範囲内の各問題に対する学習者の解答を取得する取得部と、前記解答が正解か否かを判定する解答判定部と、前記解答判定部の判定結果により示される前記学習者の第1解答傾向に基づいて、前記学習者の未取組問題に対する第2解答傾向を特定する傾向特定部と、前記第1解答傾向、前記第2解答傾向、及び前記学習者が選択した志望校に関連付けられる他の学習者の取組問題に対する第3解答傾向を含む学習履歴に基づき、前記学習者と前記他の学習者との解答傾向を含む学習状況の差を埋める一以上の問題を選定する学習済みモデルを用いて、前記第1解答傾向及び前記第2解答傾向に基づく前記一以上の問題を選定する問題選定部と、選定された前記一以上の問題を、前記学習者に対して出力する出力部と、を備える学習支援システム。
③ー2共同出願(トヨタ自動車株式会社)
※赤色領域の主な出願
特開2020-024293 (音声対話システム)
【請求項1】
複数人の会話内容を取得する取得手段と、
前記複数人の会話内容及び前記複数人の画像認識結果の少なくとも一方に基づいて、前記複数人の関係性及び感情状態を推定する推定手段と、前記複数人の関係性及び感情状態に基づいて、前記複数人の感情状態が良好であるほど高くなる評価値が所定値以上になる応答内容を生成する生成手段と、前記応答内容を発話する発話手段とを備えることを特徴とする音声対話システム。
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