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上場を果たした研究成果ベンチャー3社を分析

特許から見るIPOをした大学発ベンチャー

2022年05月27日 08時00分更新

大学発ベンチャーでの知財活動の留意事項

 大学発ベンチャーの知財活動においては、大学発ベンチャー固有の課題に留意する必要がある。この点については、山本飛翔氏による『スタートアップの知財戦略』(勁草書房/2020年刊)に詳しくまとめられており、要約したものを以下に述べる。

・「研究の方向性」と「事業にとって最適な権利」における乖離のすり合わせ
・「研究者である発明者」と「権利化業務を行なう専門家(弁理士等)」との円滑なコミュニケーション
・多額の研究開発費回収を意識した段階的な知財戦略(権利化およびライセンス契約等)の構築
・成果物の権利の帰属(共同出願の是非の検討)や秘密保持契約等に関する大学との契約

 以上のように、大学発ベンチャーの知財活動においては、大学発ベンチャー固有の課題を把握した専門家の協力を得ることが好ましいと考えられる。

IPO大学発ベンチャーの特許出願の分析

 以下、モデルケースとして、IPOを行なった大学発ベンチャー3社(いずれも研究成果ベンチャー)について、特許出願の分析を行なった。

 なお、分析ツールにはPatent Integration(パテント・インテグレーション株式会社による特許検索・特許分析ツール)を使用し、パテントランドスケープとして、対象とした特許文献集合の要約に対して形態素解析を行ない、単語の出現率の高さと関連性の強さを色の濃淡と配置で表現したヒートマップを作成した。当該ヒートマップにおいては、出現率の高い単語ほど濃い赤色で表現されている。

 次ページ以降でピックアップしたのは、CYBERDYNE株式会社、株式会社ACSL、株式会社PKSHA Technologyの3社。なお、研究成果ベンチャーであって、時価総額かつ出願数を考慮して当該3社を選定している(時価総額は2022年5月時点のもの)。

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