5月19日、BALMUDA Phoneに新しいファームウエアの提供が開始され、本体動作の改善などのアップデートがが実施される。筆者は2021年11月にBALMUDA Phoneを購入して約半年間使い続けてきたが、この間にアプリの機能拡大や、何かと話題になったカメラの性能アップも実施されてきた。そして今回のメジャーアップデートでBALMUDA Phoneはよりエレガントに、より手になじむ製品へと進化したと感じられた。
BALMUDA Phoneについては発表直後からスペックと価格のバランス、カメラ性能(特に食事モード)などに対して様々な評価が飛び交った。しかし、実際に購入した筆者は今でも毎日BALMUDA Phoneを使っている。ただし、メインのスマートフォンと併用してのサブ機としてだ。とはいえ、ちょっと近所のコンビニに行く時はBALMUDA Phoneだけを持って出かける、ということもある。手のひらに収まるコンパクトな大きさで、必要最低限以上の性能、個人的には使いやすいと感じる内蔵アプリなど、BALMUDA Phoneそのものは決して悪い製品ではない。
タッチ感度が向上した!
だが、使っていて日々細かい不満は感じていた。たとえば本体を操作するときに、若干のもっさり感があったのだ。普段はSnapdragon 8系列のハイエンドモデルをメインに使っており、Snapdragon 765を搭載するBALMUDA Phoneだから多少の速度低下は仕方ないもの、とあきらめていた。今回のアップデートではディスプレーのタッチ感度が大きく向上。ディスプレーに触れてスクロール操作をすると、明らかに動きは軽快になった。このタッチ感度を11月の発売時に搭載してほしかったが、発売後も完成度を高めるために改良は続けられているのだ。
ほかのAndroidとは違うフォント
また今回のアップデートの一番の目玉は、新しい表示フォントの導入である。iPhoneユーザーがAndroid端末を見て真っ先に感じるのが表示文字に対する違和感という声も聞かれる。BALMUDA Phoneは従来Androidで標準の「Note Sans」を使用していたが、アップデートで新フォント「AXIS Balmuda」が導入され、美しく読みやすい文字へと改善された。
AXIS Balmudaは角に丸みがありやさしい印象を受ける。このフォントはシステムフォントすべてを置き換えるため、毎日BALMUDA Phoneを使っていればだんだんと新しいフォントに目が慣れていき、そして表示文字の見やすさに心地よさを覚えていくだろう。ディスプレーが小さいBALMUDA Phoneだけに文字が見やすいことは重要であり、新フォントの導入は大きな改善だと筆者は思う。なおフォントはシステム設定で従来のものに切り替え可能だが、よほどのことが無ければアップデート後のAXIS Balmudaを使ったほうがいいだろう。
今後販売されるBALMUDA PhoneもAXIS Balmudaがデフォルトとなるため、店頭で手に取ったときにほかのスマートフォンとは異なる好印象を与えることができるかもしれない。
弱点だったカメラが改善
さて、もう1つの大きなアップデートはカメラ。BALMUDA Phoneのウィークポイントと言われていたのがカメラであり、当初は食事モードで撮影すると写真が青被りしてしまう例もあった。すぐに改善されたものの、「カメラが弱い」という印象は今でも強烈に残ってしまっているかもしれない。しかしカメラはアップデートが地道に続けられており、4800万画素のメインカメラで写す写真は、たとえば観光地で風景写真を撮ってみると他社製品と変わらぬ性能を出してくれる。BALMUDA Phoneのカメラは「意外にも」悪くないのだ。
今回のアップデートではカメラUIを若干改良し、リアとフロントカメラの切り替えが一発でできるようになった。従来はいちいちカメラのモードを出す必要があり、フロントカメラを使おうと思った時に、タイミングを逃してしまうこともあった。今回、ようやくほかのスマートフォンと変わらぬ操作が可能になり、さらにアルゴリズムにより背景のボケ度合いもより強化されたという。SNSに自撮りは欠かせないものだけに、これも本来なら発売時の製品で対応するべきものであったが、ようやく対応してくれたのだ。
ワイヤレス充電器で充電しやすく
そして周辺機器として発売される本機用のワイヤレス充電台も、できれば11月の発表時に発表だけでもしてほしかった。BALMUDA Phoneは背面がカーブした形状のため、市販のワイヤレス充電台に置いたとき、しばらくすると場所がずれてしまって充電できていなかった、なんてことがよくある。またデザイン上、立てかけるワイヤレス充電台も使えない。本体が小さいためにいちいちUSBケーブルをつなぐのも面倒であり、できればワイヤレス充電で済ませたいというのがユーザーの多くの声だろう。
ワイヤレス充電台は上部がBALMUDA Phoneに合わせて湾曲しており、ぴったりとフィットしてくれる。なお、ほかのスマートフォンも乗せてみたところ充電はできるようだ(すき間が若干空くため、充電効率は落ちるかもしれないが)。試用してみたところ使いやすく、これは本体購入時に合わせてぜひ買いたいと思う製品ではないだろうか。11月に発売されていたら筆者は間違いなく買っていたと思うし、発売後は購入する予定だ。
BALMUDAは2022年2月に新型ケース「BALMUDA Phoneケース(チェスターフィールド)」を発売し、3月には独自アプリ「BALMUDA Scheduler」がGoogle Playで一般公開された。そして今回のメジャーアップデートとワイヤレス充電台の発売により、BALMUDA Phoneの世界は少しずつ拡大している。
そもそもBALMUDA Phoneは性能の高さではなく、使いやすさや価値観が魅力の製品であるためターゲット層を選ぶ製品だ。だがせっかくBALMUDA Phoneを買おうと興味を持っても、その世界が狭いようではなかなか購入に踏み切れないだろう。個人的にはケースの種類はまったく不足しており、高価格な本革、TPUの多数のカラバリなど、BALMUDA Phoneを利用シーンに応じて自由に着せ替えできるだけの種類を出したほうがいいだろう。
また、たとえば「Memo」のクラウド連携など、本体の使いやすさのアップデートはまだまだ必要だ。良くも悪くも大きな話題となった製品だけに、購入したユーザーを飽きさせず、さらに今からでも新しいユーザーを増やせるように、今後も製品の改良を続けてほしいと思う。
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