週刊アスキー

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JAPAN INNOVATION DAY 2022 「次世代につながる大企業内共創スペースの将来像を知る」レポート

コロナ禍の分断を越え、大企業協創スペースは新たなステージへ

運営者の悩みと今後の方向性

――お二人の間でお互いに聞きたいことはありますか。

モデレータ:株式会社角川アスキー総合研究所 ASCII STARTUP ガチ鈴木

 「大企業所有の共創スペースを事業と考えると、KPIの定義が難しいところがある。そういった社内的に苦労されているところはあるのか伺いたい。」(五十嵐氏)

 「hoops link tokyoは事業としてやっているわけじゃなくてSMBCグループの新規事業の種を探すのが目的。会員の皆様と新しいビジネスを考えたいというのは理想だが、それは難しくて結果も出にくい。でもここは社としての肝いりで作った施設なので、オープンイノベーションというマインドを捨てずに維持していかなくてはいけないと思っている。

 従業員のマインドセットを変えろというのもミッションの1つですが、今はそちらの方が大きいのかもしれない。従業員がここにきて、ベンチャー企業の方が自分の人生をかけている姿を見ることによってマインドセットが変わることもあるし、そうなればこのスペースを維持する価値は十分にあると思う。」(下入佐氏)

 「Innovation Space DEJIMAさんはさきほどのVRのようにいろんな新しいデジタルツールにチャレンジされているが、実際の利用者はどのくらいあるのか気になっている。」(下入佐氏)

 「Innovation Space DEJIMAの本質とは違うが、外部の方はそんなにたくさん来れない状況なので、tonariなどのInnovation Space DEJIMAのデジタル環境は、まず社内の従業員から活用していこうとしている。ワークショップとかオンラインイベントで外部の方が使うケースもあるし、特定の企業さんとセッションをするときには、事前に資料やムービーを埋め込んだVR上に来てもらって、みたいな演出をすることもある。

 もともとCTCという会社自体がテクノロジーの会社なので、そういうツールに興味があるメンバーも多いし、社内利用は徐々に活発になってきている。

 VRなどの新しいツールは、それを何に使うか、それを使って何をするかが一番の肝になる。それを我々だけで考えるのは困難で、空間プロデュースの専門家の力を借りたりしながら、こういう使い方ができそうだとチャレンジしている。メタバースやデジタルツインは、オープンイノベーションがまさに必要な領域だとワクワクしているところです。」(五十嵐氏)

――最後にお二人から、どのようなことをやっていきたいかを教えてください。

 「最近は複数企業で入居してイノベーションスペースをシェアする利用型のモデルも増えてきている。そんな中で大企業所有の共創スペースの意義を見直している。カーシェアに例えるとわかりやすいが、クルマを借りて静岡にお寿司を食べにはいかないと思う。でもクルマを所有しているとちょっと行ってみようかとなる。

 これはコストの考え方の違いでしかないが、場所を持っていると、ちょっとチャレンジしてみようかと踏み出しやすいところがある。何かやりたいことがあったときに柔軟に実験できる場所を自分たちで持っていることに価値があると思っている。

 なのでまず2社、3社で一緒に実験してみよう、みたいな実験拠点として使ってみたい。そういうプロジェクトや事業シードを生み出す場所にしてきたいと思っている」(五十嵐氏)

 「コロナが落ち着いた段階で会員に戻ってきて欲しいと思っている。以前のように、会員同士でもSMBCグループの従業員とも積極的にコミュニケーションを取っていただくという従来の姿に戻したい。

 あとhoops link tokyoは自由な発想の下で運営されているので、五十嵐さんがおっしゃったとおり、実験の場として使っていきたい。リアルとバーチャルの世界を行き来して、どんな人の流れが起きるのかとか。デジタル通貨とかNFTとかが発展していったとき、hoops link tokyoを実験の場として使っていくのはやりやすいと思うので、そういったことにもチャレンジしていきたい」(下入佐氏)

――ありがとうございました

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