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JAPAN INNOVATION DAY 2022 「次世代につながる大企業内共創スペースの将来像を知る」レポート

コロナ禍の分断を越え、大企業協創スペースは新たなステージへ

リアルとリモートの融合から生まれる新しいオープンイノベーション

――リアルの場に通っていた人の中にはリモートだと活動がうまくいかないといったことをよく聞く。リアルとリモートで利用者の違いはあるか。

 「hoops link tokyoではコロナ前からの会員が戻ってきて、従来通りの使い方をされているケースが多い。hoops link tokyoは会員制で、今も新規会員が増えている。そういった方にhoops link tokyoで何をしたいかを聞くと、リアルの場として使いたいと言われる。コワーキングスペースとして使う場合も、他の会員とのリアルでのコミュニケーションを取ってみたいと。

 オンラインだけじゃなくて顔を合わせた上で話がしたいと言われる。我々もhoops link tokyoで席についている方にはみなさんフランクに会話するようにしましょうねと話している。会員同士のコミュニケーションを取ってくださいと。」(下入佐氏)

株式会社三井住友フィナンシャルグループ 上席推進役 下入佐 広光氏

「ワークショップとかブレストとか圧倒的にリアルの方が良いというシチュエーションもある。手を動かして付箋を使ってみたいといったようなところ。体を動かして五感で感じてといったようなワークショップは圧倒的にリアルの方が良い。そういうワークショップでDEJIMAを使うケースが増えてきたと思う。リアルとリモートの使い分けも進んだし、何が求められているのかということがクリアになってきたと感じる。イベントイベントとわーっと盛り上がったものからいろいろとそぎ落とされてきて、本質的なところが露わになったかなと思う。

 あと東京も地方も変わらなくなったと感じる。Innovation Space DEJIMAも名前のご縁で長崎県の方々とコラボすることがあるが、東京だろうが長崎だろうがZoomだったら同じ。地方との距離がかなり近くなったと体感的にも感じる。地方との距離が近づいたことで、日本全体でプロジェクトに取り組みやすい環境になったという意味で利用者の違いはあったのかなと思う。」(五十嵐氏)

――施設としてイベントをやらなきゃいけないということもないとは思うが、新しい人を求めるとか新しいことを得たいみたいなところでイベントがきっかけになっていたこともあったと思う。イベントの在り方に変化はあるか。

「イベントの回数がものすごく減ってしまったので。情報をインプットするだけのイベントであれば、あえてリアルの場に行かなくてもリモートでできると思う。ただイベントで登壇する方と会場にいらっしゃる方のコミュニケーションを1対1じゃなくて複数の方が絡み合うような形で取りたいからリアルでという方もいる。そういうのを解決するのがリアルとリモートのハイブリッド型なのかなと。求めるところでやり方も変わっていく。」(下入佐氏)

――今後やりたいと思っていることはあるか。

「コロナ前はSMBCグループの新規事業開発に関する情報を得たくてリバースピッチを何度か開催した。ベンチャー企業と何らかの共創を持ちたいと思ってのことだったが、なかなか難しくて人員が削減されたりしたこともあった。しかしベンチャー企業の方と交流することで、今の潮流とか関心が集まっていることについて把握することができた。

 私の所属しているデジタル戦略部のメンバーが、最近日替わりでhoops link tokyoに来るようにした。それぞれがどのような業務を担当しているのかを開示して、関心をお持ちの方はコミュニケーションしてくださいと。そんなことを始めました。

 会員とSMBCグループの従業員とのコミュニケーションが高まっていった先に、我々がやりたいことに協働してもらえるベンチャー企業と改めてリバースピッチみたいなことを検討していく必要性があるのかなと思っている。」(下入佐氏)

――コミュニケーションのつなぎ方とか結び方みたいなところも今風に変化していかなくてはならないということか。

 「コミュニケーションの隙間と言っているが、オンラインではなく、リアルで名刺交換をすると同時にちょっとした明確に定義できないコミュニケーションが発生したりする。それが我々のようなスペースの良いところだと思っている。イベントが終わった後で名刺交換をして、翌日に御礼メールを送って、また個別に会いましょうみたいに輪が広がっていく。ただ、オンラインだけだとそれが起きにくい。

 コロナでそういうところが大幅にそぎ落とされてしまったというところがあるので、リアルスペースとしては、この価値を絶やしたくない。

 Innovation Space DEJIMAにtonariという等身大のパネルで24時間365日他拠点と遠隔接続するシステムがある。今はInnovation Space DEJIMAと弊社本社ラウンジをつないでいて、私が本社にいるときに、Innovation Space DEJIMAの誰かが帰ろうとして「お疲れ様」みたいなコミュニケーションが発生する。「お疲れ様」というのはZoomを使っているときには出てこないと思う。

 そういうコミュニケーションには結構価値があって、そんなリアルならではの細かい蓄積でコミュニケーションの隙間が埋まっていくと、ビジネスにつながっていくんじゃないかと思う。みんなバーチャルに倒れがちだけど、なんでリアルなんだっけというところを見つめ直したい。」(五十嵐氏)

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