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JAPAN INNOVATION DAY 2022 「次世代につながる大企業内共創スペースの将来像を知る」レポート

コロナ禍の分断を越え、大企業協創スペースは新たなステージへ

リアルスペース運営から見つけるオープンイノベーションのこれから

 両施設の自己紹介に続いて、コロナ禍がなかなか収まらない環境での共創スペースの利用スタイルや、今後の方向性などについて、お二人に話を伺った。

コロナ禍での共創スペースの利用

――コロナ禍で人が集まれないというのは場としてはすごくマイナスな点になっていると思う。改めて現在の施設の状況、どんな使われ方をしているか、お伺いしたい。

「Innovation Space DEJIMAはもともとコーポレートコワーキングスペースとして完全招待制の会員制設備として運営していた。ファシリティには3つの構成要素があり、1つ目は会員になったら使えるコワーキングスペース。招待した方には会員証としてモバイルアプリを提供していた。それからミートアップやワークショップで使えるイベントスペースがある。そして創出したコミュニティから生まれた共創プロジェクトを回していくプロジェクトルームがある。

 コロナ禍となり、まず会員アプリ向けに提供していたフリーコワーキングスペースをストップしました。ソーシャルディスタンス維持の観点や、いくつかの理由から継続提供が困難と判断したためで、会員制度自体、2020年の年明け以降は実質的にはストップしている。

 一方、ワークショップなどのコミュニティ創出や各種ワークはオンラインも活用しながらハイブリッドで継続している。プロジェクトルームも個別プロジェクトで継続活用している。いわば、コワーキングスペースが共創プロジェクトスペースに変わったというイメージ。CTCのためだけでなく様々な会社との協働の場として使っている。」(五十嵐氏)

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 課長 五十嵐 知宏氏

 「hoops link tokyoは2020年2月に一旦完全閉鎖とした。緊急事態宣言が解除されて、まん延防止等重点措置に移った2021年の6月に再開した。当時は定員80名のところを20名に制限していた。それが緩和されると40名まで増やしていたが、現在は再度まん延防止等重点措置が適用されているので最大20名までとなっている(3月21日にまん延防止等重点措置は終了)。感染対策としてはパーティションを立てたりテーブルの座席を減らしたりなどの処置を実施している。

 夕方以降はイベントスペースとして利用してもらっている。また、ネット配信の撮影場所としても多く利用されている。会員だけでなくSMBCグループの社員もイベントやセミナーの撮影などに使っている。」(下入佐氏)

――両施設とも、これまでコンセプトとしてやってきたことがなかなかできなくなってきているのかなというのが正直なところですが、その中でどのような施策を打ってきたのでしょうか。あるいはどのように使われ方が変わってきたのでしょうか。

「2020年の年明けから半年くらいは、私もDEJIMAに近づくこともできないし、場所が死んでしまっているような状況でした。2020年夏ごろから徐々に活用を再開し始めましたが、弊社全体の出社率も20%行かないくらいでしたし、会員の仕組みも停止している。どうするかというところでアバターを使ったVR環境DEJIMA Digitalを実験的に作って、VRで何ができるんだ、どういうワークショップだったらできるんだとDEJIMAのパートナーと一緒に模索を始めました。

 これはある意味、ニューノーマルとなって良かったも言える部分ですが、イベントやコミュニティに過度な期待がかかっていた時期があったんじゃないかと思っていて、そのピーク期にコロナが来て強制的にイベントに行けなくなった。そこで「コミュニティって何のためにあるのだっけ」と見直す機会ができた。

 例えばイベントセッションでインプットを得るとか、参加する人の中で空気感を感じるとか、日々の仕事から離れてプチ出張みたいな形で夜の時間だけ外の世界に行くみたいな体験があり、イベントが終わった後に1対NでなくてN対Nで名刺交換してコミュニケーションするとか。そのときに自分がやりたいことを聞かれて、それを言語化することで自分が何をやりたいか確認する。イベントには複合的な効果があったと考えています。現在も、実際に人が集まりにくいれない状況は変わらないので、先ほどのVR環境やオンラインツールを駆使しながらできることから始めだしたというのが2020年だった。

 直近に関しては、DEJIMA Digitalの延長線上でDEJIMAデジタルツインというリアルとバーチャルが融合する世界を探求するプロジェクトが立ち上がった。ある意味この環境下にならなかったらこのプロジェクトもなかったわけで、逆境を逆手に取って行動している。」(五十嵐氏)

「2020年2月から完全閉鎖したときに、会員の皆さんとなんらかのコミュニケーションを取れないか、hoops link tokyoに来ていただくのと同じような関係をつないでいくことはできないかと思って、RemoConferenceというイベントツールを使ってhoops link digitalというものを立ち上げた。その中でイベントを開催したりしている。

 hoops link tokyoは9時から19時まで開いているが、9時から18時まではhoops link digitalも開けるのでスタッフや会員同士のコミュニケーションに使ったり、「今混み具合はどうですか?」みたいな形で利用してもらっている。また、hoops link tokyoは会員制ですが、面談するときにはhoops link digitalで入会希望者と面談をします。

 グローバルに展開している会員の中に、東京のメンバーはhoops link tokyoのリアルの場を使い、グローバルのメンバーはhoops link digitalを使っている方がいた。会議をするならZoomなどがあるのに、なぜ敢えてこういう使い方をしているのか聞いたところ、Zoomだと一々立ち上げなくてはいけないとか、(無料だと)時間の制約がある。hoops link digitalなら18時まで使いっぱなしで何かあればすぐに声をかけられるので便利だと。

 メタバースが普及してきたら、ユーザーはリアルとバーチャルの世界を行き来しながらコミュニケーションを取るようになるんだと思う。」(下入佐氏)

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