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年間100億個の宅配便荷物をサポートする謎のスマホを発見

2022年04月15日 12時00分更新

100億個の宅配便がこのスマホで発送される?

 宅配便を送るときに面倒なのが送料の計算です。最近は専用の箱で料金も明確化したサービスも増えていますが、荷物のサイズが大きい時などには使えません。自宅にある空き箱を使って荷物を梱包して送料計算するとき、箱の大きさをメジャーで測るのも面倒です。

 そんな宅配便の箱のサイズを一瞬で計れるスマホが中国で出ています。といっても個人向けではなく、中国最大の宅配サービス「SF(SFホールディング、順豊控股)」の運転手が持っている端末です。SFの2021年の宅配便取扱数は105億個。1日あたり約3000万個という膨大な量がSF一社だけで配送されているのです。

 SFが中国最大の宅配便業者になれた理由が専用のスマートフォンの存在です。背面カメラで荷物のサイズをスキャンし、即座に計測、送料も自動計算してくれます。つまり発送する人は梱包だけすればよく、サイズを自分で測る必要がありません。ということで中国全土で使われている謎のスマートフォンを見てみましょう。

 実際に使われているものなので多少傷はありますが、本体上部の「く」の字のデザインが独特な雰囲気を出しています。下部には「SF」のエンブレム。年間100億の荷物を運ぶとなれば、自社専用スマートフォンを作ってしまったほうがコストが安いのかもしれません。

宅配便業者専用のスマホだ

 背面は滑り止め効果のあるマットな仕上げ。ここにも「SF」のロゴが入っています。カメラはシングルで「HHT7A」の文字が見えますが、これがこのスマートフォンの製品名。調べてみると2018年ころに作られたもので、ちょっと古い製品ですね。とはいえ荷物のスキャン用途なら今でも十分使えるでしょう。

滑り止め効果のある背面仕上げ

 側面を見るとフレームは金属仕上げでねじ止めされています。おそらくMILスペック程度の強度を持っているのでしょう。集荷・配達中に本体を落すこともあるでしょうから頑丈に作られていそうです。

側面は金属フレームで覆われる

 さてこのスマートフォン背面のシングルカメラでは荷物のスキャンはできません。このスマートフォンに取り付けるカバー型のスキャナモジュールが用意されているのです。モジュールそのものも剛性があるため、装着すればかなり乱暴に道路の上に落としても本体が壊れることはなさそうです。なおカバーと本体の接点は底面のUSB Type-C端子を使います。

スキャナモジュールの内部

 スキャナモジュールの背面にはカメラが付いています。このカメラ、マイクロソフトの「Kinect」とほぼ同じ原理で物体の距離を測定するそうです。

ToFカメラ2つで深度を測定

 側面から見るとカメラ部分はかなり出っ張りますが、スキャンするときに指先が当たるため滑り止めにもなるようです。まあ業務用ですからこれくらいの出っ張りは気になるものではないでしょうね。

カメラ部分は本体からかなり出っ張る

 実際にスキャンしてみると、カメラで撮影してから測定結果が出るまでは数秒。これなら大量の荷物があっても次々に仕分けできそうです。

アプリを起動して中央窓に荷物を写せば計測してくれる

 業務用スマートフォンというと分厚くて無骨なデザインを想像しましたが、この製品はカバーを外せば普通のスマートフォンとしても使える大きさです。この端末は4月6~8日まで東京ビッグサイトで開催されたJapan IT Week春のCathayブースで展示されていました。同社によると日本への投入も検討しているとのこと。SFのこのソリューションは日本でも荷物集荷の効率化を高めてくれるでしょう。

このままの形で入るかどうかはわからないが、日本の物流を換えてくれる存在になりそう

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