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安全な運動機会の創出に貢献 オンラインマラソン運営専用アプリ「RunBeyond」

 新型コロナはスポーツイベントにも大きな影響を与えている。例えば、マラソン大会。国内で規模の大小問わず数多く開かれていたが、そもそも集合できないため開催が困難な状況だ。こうした厳しい状況を打開できるのではと注目を集めているのが、株式会社アイサムが開発したオンラインマラソン運営専用アプリ「RunBeyond(ランビヨンド)」だ。

オンラインマラソンの参加・運営が手軽にできるアプリ

「RunBeyond」は、「オンラインマラソンに参加できる」と、「オンラインでマラソン大会を運営できる」という2つの特徴がある。

 まずは「オンラインマラソンに参加できる」という点だ。「RunBeyond」にはオンラインマラソン大会の検索機能があり、アプリ内で登録と申し込み、さらには参加料の決済が可能。登録後は、アプリを立ち上げ、規定の距離を走るだけ。GPSマップを用いて自動的にタイムの計測や集計が行われる。もちろん、走る場所は実際のルートでなくても問題ない。大会の開催期間内であれば、いつ、どこからでも参加が可能だ。

 「オンラインでマラソン大会を運営できる」といった、運動機会の手軽な創出もRunBeyond」の大きな特徴。「RunBeyond」はプライベートイベントを開催する機能を備えており、申し込みと参加を一元管理できる。たとえば福利厚生を目的とする社内マラソン、町内会でのイベントなど、小規模のマラソン大会をユーザーが自由に立ち上げて実施することもできる。

大会の検索から参加までを一元化

  開発の背景にあるのは、やはり「新型コロナ」だ。感染が拡大した2020年以降、さまざまなスポーツイベントが中止に追い込まれている。ランナーは走る場所を失い、自治体や企業はランナーを支援する場を失っている。そのため、アイサムの石黒陸王代表は、「オンラインマラソンを開催できるアプリを開発し、手軽にランナーが走る場を提供、企業および自治体とランナーを結びつけることができないか」と考えたという。

 アイサムは、スポーツイベントの開催や自動計測を専門とする企業で、コロナ禍以前は年間約150以上もの大会に携わっている。「RunBeyond」には、同社がこれまでに培ったタイム計測やイベント運営のノウハウが詰め込まれており、運営側、ユーザーの両方が使いやすいアプリに仕上がっている。

 従来のオンラインマラソンは、トレーニングアプリを用いるのが一般的で、運営側は個々に送られてくるタイムを集計する必要があった。しかし、本アプリを使えば、上述のように自動的にタイムの計測や集計が行われるため、手間を省くことができる。

 また、大会の検索から参加、決済、タイム計測といった一連のアクションをひとつのアプリで行える点も大きい。開催団体のホームページにいちいちアクセスする必要がないため、スムーズな参加が可能だ。

 また、GPSマップを用いた「同一のツール」で計測をすることは、計測タイムの信ぴょう性を高めることにもつながる。これは運営側はもちろん、ユーザーにとってもうれしいポイントだといえる。

利用者の拡大と企業・自治体との連携が課題

 ローンチは2022年1月24日と、まだまだ生まれたての「RunBeyond」。課題となるのは認知度の向上だ。少しずつ注目を集めているものの、スポーツのオンラインイベント自体がまだこれからの世界。オンラインマラソンも、規模の大きな大会が開催されてはいるが、実際に現地で走る従来の形よりも参加者は少ない状況だ。

 また、「オンラインで開催できることはうれしいものの、できれば現地に足を運んでもらいたい」と考えている自治体も少なくない。こうした、オンラインマラソンの実施に消極的な自治体とどのように連携していくかも課題とのこと。石黒代表は「場所を限定とする取り組みが今後より求められていくだろう」と話す。

 実際に、埼玉県の森林公園で行われたオンラインマラソンは、公園内に設置された規定のコースを、好きなタイミングで走り、タイムを計測するという内容だった。集客を求める公園側の要求を上手に満たしたイベントだったといえるだろう。

 ユーザーや自治体、企業から「一元管理ができるのが良い」、「使いやすい」といった声が寄せられている「RunBeyond」。今後はマラソン以外のスポーツイベントでの活用も期待されている。また、衛星測位システム「みちびき」により、GPSの精度が向上すれば、精密なタイム計測が求められる大会でも利用される可能性もある。オンラインマラソンの定番アプリとなるか、今後に注目したい。

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