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2022年2月16日開催 イチロクカンファレンスvol.40@オンライン「特許庁ベンチャー支援班と考えるスタートアップの知財戦略」レポート

スタートアップのあるあるトラブルにも知財が役立つ

2022年03月31日 06時00分更新

 2022年2月16日、特許庁ベンチャー支援班は横須賀16Startupsとのコラボイベント「特許庁ベンチャー支援班と考えるスタートアップの知財戦略」をオンラインにて開催。

 イベントでは、ベンチャーの知財戦略の専門家である秋山国際特許商標事務所の弁理士 秋山敦氏、特許庁総務部企画調査課 ベンチャー支援係長 今井悠太氏と、横須賀由来のスタートアップを代表して代表株式会社ラントリップ 代表取締役の大森英一郎氏とN-Sports tracking Lab合同会社 代表社員CEOの横井愼也氏が登壇。前半は知財に関する講演とスタートアップ企業2社の事業紹介、後半は登壇者によるパネルディスカッションを実施した。

 横須賀市のインキュベーション型シェアオフィス「16(イチロク)Startups」は、コミュニティーイベント「イチロクカンファレンス」を毎月16日に開催している。横須賀や三浦半島で活躍するスタートアップがピッチを通じて新しい出会いやビジネスを生み出していくことを目標にしている。40回目となる今回は「特許庁ベンチャー支援班と考えるスタートアップの知財戦略」をテーマに、特許庁ベンチャー支援班とのコラボにて開催された。

16Startupsを運営する株式会社マチノベCEO、カプセル株式会社CEOの相澤 謙一郎氏

スタートアップ企業の知財戦略

 秋山氏の講演では「スタートアップ企業の知財戦略」をテーマに、特許を取ることのメリットと取らないことによるデメリット、ITサービスで特許が取れるかどうか、特許によってビジネスが伸びるかどうかについて解説した。

秋山国際特許商標事務所所長/弁理士 秋山敦氏 これまで20社以上のスタートアップを支援

 特許を取る最大のメリットは、知財戦略策定により、ビジネスと知財との関係が明確になることだ。また、独占権を得て他社の模倣に対して法的手段が取れる、技術力の優位性を主張できる、資金調達でインセンティブになる。M&Aや提携時に開発力のある企業としてアピールできる、ブランド力をアピールできる、といった多くのメリットがある。

 言い換えれば、特許を取っておかないと、独占的使用ができず、他社から差し止め請求・損害賠償を受ける可能性がある。

 特許の取得には費用や時間がかかるが、スタートアップの場合は直ちに売上にはつながらない。費用対効果を精査し、タイミングに合わせて知財を獲得できるように、事業計画に合わせた知財戦略と資金調達の計画を立てておくことが大事だ。

特許を取らないことのデメリット

 ITサービスの特許取得のポイントは、1 特許要件を満たしていること、2 特許が活用できるような権利獲得方針を立てる、3 サービスを俯瞰して抜けのない特許にすること、の3つ。ソフトウェアの場合、設計変更等で抜け道を作りやすいので、侵害を発見しやすいクレームを作ることが大事だ。

特許戦略の重視する点

 ビジネスが伸びるかどうかは、特許の活用次第だ。基本的には、特許によって権利化した自社の技術やサービスが既存のものと比較して、コストや品質、機能などを大きく上回れば特許が生きてくる。またステージに合わせて周辺特許を出願し、20件以上の特許で特許網をつくるのも手。またステージに合わせて、独占するか、実施権を設定するのかといった戦略も必要になる。

 海外展開するかどうか、出口としてIPOやM&Aをするのかによっても知財戦略は変わってくる。知財戦略は、企画から販売後のアフターサービスまでに関わってくるため、スタートアップの初期の段階から専門家が伴走支援することが望ましい。さまざまな公的な支援施策が制度化されているので、これらを利用することも検討するといいだろう。

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