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カンパニー制廃止のパナソニックが持株会社制ではなく事業会社制であるとする意味

2022年04月11日 09時00分更新

新スローガンにこめた思い

 もうひとつ、新たに発表したのが、新たなブランドスローガン「幸せの、チカラに。」である。

 パナソニックグループでは、2013年に「A Better Life, A Better World」をブランドスローガンに制定。約9年間に渡って、これを使用してきた。

 楠見グループCEOは、「A Better Life, A Better Worldは、綱領にある『社会生活の改善と向上を図り、世界文化の発展に寄与せんことを期す』と謳われているものを表現しており、創業者の松下幸之助が、生涯を通して追い求め続けた『物心一如の繁栄』をわかりやすくしたものである。だが、こうしたスローガンや綱領の意図するところをきちんと理解しないまま、お客様に寄り添うことなく、自分の目線の『Better』を、プロダクトアウト的に提供する事例も散見された」と指摘する。

 楠見グループCEOは、「パナソニックグループが目指す姿は、創業者が掲げた『物と心がともに豊かな理想の社会』の実現であり、いま取り組むべきことは、地球環境問題の解決と、人々のウェルビーイングの実現」とする。そして、「『物心一如の繁栄』によって、人生の幸福の安定に貢献するのがパナソニックの使命であることを、いつも思い起こせるように、新たなスローガンを掲げた」とする。

 新ブランドスローガンの「幸せの、チカラに。」では、「変化する世界のなかでも、お客様に寄り添い持続可能な『幸せ』を生みだす『チカラ』であり続けたいというグループの存在意義を表現したもの」とし、「社員一人ひとりが、お客様一人ひとりの幸せに寄り添って欲しいという私の思いも含まれている。2030年の目指すべき姿に向けて、パナソニックグループのすべての事業会社が、お客様一人ひとりの幸せのチカラになることを誓い、お客様の期待を超える、優れた商品やサービスを提供し、お役立ちを果たしていく」と語る。

 楠見グループCEOは、「この1年で競争力強化の一歩を踏み出すことはできたが、自主責任経営の定着は道半ば。これからは、長期視点の経営に変えていく」とする。

そして、「3年後に経営指標のすべてを満たせば、90点、100点という点数が付けられるが、及第点の最低ラインである60点をクリアするには、改善、改革のスピードではどこにも負けず、スピーディーに向上、発展する風土を作ることが必要だ」とする。

 パナソニックグループが、新たな事業会社制によって、企業体質や文化、成長戦略にどんな変化が起きるのか。進化に向けたスタートの幕が切って落とされた。

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