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第44回NEDOピッチ「アグリテック ver.」レポート

月面でも農業を可能に 次世代のアグリテック技術をもつスタートアップ5社

2022年03月31日 11時00分更新

開発ペースの速さが特徴のゲノム編集による品種改良
グランドグリーン株式会社

 グランドグリーン株式会社の代表取締役、丹羽優喜氏からは、迅速でオープンイノベーションにより、多様性のある種苗開発を目指す取り組みが紹介された。 種苗分野では、新しい品種の開発に長い時間がかかり、それによって、似たような品種が主流で多様性が喪失したり、閉鎖的な開発環境などが課題となっている。

 それに対しての回答が、ゲノム編集による品種改良だという。遺伝子組み換えと異なるのは、異なる生物種からも遺伝子導入することが可能な遺伝子組み換えに対して、狙った場所のゲノム配列を切断することで、ランダムな変異が起こることを期待するものだ。

 この手法は、従来から行われてきた育種と同等の突然変異を意図して起こすもので、規制も少ないのが特徴。交配育種による改良には5年〜10年ほどの長い期間が必要で、場合によっては他品種を掛け合わせることで元々持っていた優位性が失われることもあるが、ゲノム編集では、元々の優位性は残したままピンポイントで特定の優位性を伸ばすことが短期間でできることをメリットとして挙げる。

 一方で、活用できる作物が限られていたり、特許や権利関係などの処理が煩雑、どの遺伝子を編集すればいいのかわからないなどの課題も存在する。グランドグリーン社ではこの点を解決する技術やツールを開発し、遺伝子編集の知見者を抱えることでワンストップでゲノム編集を行えるとしている。

 現在は、独自品種の開発のほか、種苗会社などと共同開発を進めており、世界市場を目指して実績を重ねているところだ。

 どのような企業やビジネスパートナーとのマッチングを求めているのかという質問には、実際に種苗を開発している会社との連携を引き続き求めているとしつつも、プレイヤーは広範囲なので、バリューチェーンを俯瞰した企業の皆さんと広くマッチングできればと意向が示された。

 現状の課題としては、オリジナル品種などの開発の際、開発のベースとなる品種というのが重要となる。その土地土地にマッチした品種などもあるので、地域の特性に沿った改良、開発ができるようにしてゆきたいと回答があった。また、特定の作物だけでなく幅広い作物への応用ができるよう、実績を積んでいる最中だという。

 やりやすさ、という面では、短期で次世代の種子が採取できるものがやりやすい。果樹など採種まで時間がかかるものはどうしても開発が遅くなってしまうと課題が示された。

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