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ブロックdeガジェット by 遠藤諭 038/難易度★★

スマートフォンよりぜんぜん楽しかった! Visor Deluxe

2022年03月22日 09時00分更新

ブロックで作った左がiPhone、右がVisor Deluxe

それはゲームボーイか、はたまたスズキのマー坊か?

 私が歴史的なマシンたちをブロックで作る「ブロックdeガジェット」で、1999年に米ハンドスプリングから発売された「Visor Deluxe」を作った。1999年といえば、iモードが開始されたモバイルインターネット前夜。しかし、そんなことは関係なく、翌2000年に国内発売された史上最もキュートな端末「Visor」の短めの春について触れておかずにはおれない。

 Visorの出自であるPalmとの関係については、ブロックdeガジェットの中でも語っているが、2011年に日本アンドロイドの会の「ABC夏」で、Palmの神様こと山田達司さんにプレゼンいただいた。『Palm → BlackBerry → iPhone → Androidの次はドレだ?』など参考のこと。

 Palm自体についても語るべきことは多い。一般ユーザー向けプラットフォームを世界規模でヒットさせたのは、実にIBM PCやMacintosh以来といってもよい。それには、「Zen of Palm」と言われるだけのハードウェア、ソフトウェアの思想性の高さがあるのだが。その後、Palmが辿った経緯についても、ここでは割愛させてもらう。

 ここでは、やっぱりVisorがなぜスマートフォンよりも楽しかったのかについて語りたいからだ。それは、ほぼひとえに本体背面にちょうど「GAME BOY」のゲームカートリッジを差し込むあたりに、スプリングボードという拡張カートリッジの挿入口がパックリ空いていたことによるものが大きい。

ブロックではもうひとつ分かりにくくて恐縮なのだが、本体背面上部に拡張カートリッジを差し込む大きな口が背中までザックリあいて用意されている。

 ちょうど、スズキの「マー坊」みたいな小型ピックアップトラックみたいな案配で、そこにその日使う道具を気軽にハメ込んで遊べるようになっていた。

 拡張モジュールとしては、GSP(私は3個も買ってしまった)やらバーコードリーダーデジタルカメラなど、いろんなものが発売されている。「そんなのいまどきすべてスマートフォンに入っているでしょ」と言われるようなものばかりなのだが、そういう連中はファミレスやせいぜいホテルのラウンジで当たり前のご飯を「旨い旨い」と食べていればよい。

 いまでも、ニューヨークの街で米国はストリート基準の地図なのでショボくても案外使えてしまうガーミン製のスプリングボードをたよりに歩いたのを思い出す。台湾や香港では、Visor PhoneというGSM電話モジュールを差し込んで、ほぼスマホ状態にして使うのが楽しかった。

Visor Phoneという拡張モジュールを装着して使っている筆者。

Visor PhoneをVisor Deluxeに装着した状態。部厚さはあるが重くはない。写真では貼ってないが脂ぎった頬っぺたが画面につかぬよう専用のスポンジをベゼルに貼り付けるようになっていた。

Visor Phoneを使うアプリたち。Blazerはウェブブラウザ。

 たぶんコンピューターというのは、大型コンピューターからはじまり、研究室で使えるようなミニコンになり、家庭用電源で使えるパソコンが登場して、モバイルになり、最後は、どこまで人間に近づいていくのか? というのが歴史的な一大テーマなのだと思う。

 その頃に、PDAを使うというのは、それを先取りして試したり、失敗したり、ギリギリのところを見極める。そういうある種の業界ぐるみの実験に参加するようなところがあった。

Visor Phone(右)みたいに国内でもスマホ的な使い方がしたくてPHSカードを使って音声通話していた(左)。

PHSカード装着したヘンタイ構成のVisorを正面から見たところ。

 もう1つVisor Deluxeに関しては楽しいのは、グラファイト、ブルー、アイス、オレンジ、グリーンの5色展開されたことだ。IDEOによる半透明を強調したそれは、設計プロセスにおいてデザイン業界的にも有名なトピックの1つらしい。欧州などではケータイのユーザー層が広がり、おしゃれなキャンディみたいな製品が増えていくちょうどその頃である。

 私が、「アイス」を作っていく、以下、動画、ご覧あれ。

 

「ブロックdeガジェット by 遠藤諭」:https://youtu.be/ZGhshY_DF3k
再生リスト:https://www.youtube.com/playlist?list=PLZRpVgG187CvTxcZbuZvHA1V87Qjl2gyB
「in64blocks」:https://www.instagram.com/in64blocks/

遠藤諭(えんどうさとし)

 株式会社角川アスキー総合研究所 主席研究員。プログラマを経て1985年に株式会社アスキー入社。月刊アスキー編集長、株式会社アスキー取締役などを経て、2013年より現職。角川アスキー総研では、スマートフォンとネットの時代の人々のライフスタイルに関して、調査・コンサルティングを行っている。「AMSCLS」(LHAで全面的に使われている)や「親指ぴゅん」(親指シフトキーボードエミュレーター)などフリーソフトウェアの作者でもある。趣味は、カレーと錯視と文具作り。2018、2019年に日本基礎心理学会の「錯視・錯聴コンテスト」で2年連続入賞。その錯視を利用したアニメーションフローティングペンを作っている。著書に、『計算機屋かく戦えり』(アスキー)、『頭のいい人が変えた10の世界 NHK ITホワイトボックス』(共著、講談社)など。

Twitter:@hortense667

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