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東芝、デジタル分野での経験が長い新社長

2022年03月14日 09時00分更新

島田氏と柳瀬氏がインフラサービス Co.の経営トップに就き、佐藤氏がデバイス Co.のトップに就任する青写真を示した

東芝に入社してまだ3年

 島田新社長は、東芝に入社して3年目だ。

 「伝統ある東芝の新CEOに指名されたことを大変名誉に感じている。同時に、重大な責任に身が引き締まる思いである」と前置きし、「東芝にきて、わずか3年であるが、私は東芝が大好きである。すでに30年間、東芝で働いてきたように感じている」と語る。

 島田新社長の経歴を見てみよう。

 1966年10月22日生まれの55歳。1990年4月に新明和工業に入社。航空機の設計に携わり、ボーイングやマクダネル・ダグラスとも仕事をしたという。「日本の救難飛行艇であるUS-2の開発にも携わった」と語る。

 1999年9月にStructural Dynamics Researchに入社。同社をシーメンスが買収し、2010年4月にはシーメンス PLM ソフトウェア日本法人社長兼米本社副社長に就任した。また、2015年9月には、シーメンス日本法人の専務執行役員に就任し、デジタルファクトリー事業本部長およびプロセス&ドライブ事業本部長を兼務した。

 東芝への入社は、2018年10月。コーポレートデジタル事業責任者に就き、2019年4月には執行役常務に就任。2019年10月に東芝デジタルソリューションズの取締役常務、2020年4月に東芝の執行役常務兼東芝デジタルソリューションズ取締役社長に就任していた。

 島田新社長は、「東芝に入ってからは、CDO(最高デジタル責任者)を務め、東芝デジタルソリューションズの社長、東芝データのCEOも務め、東芝グループのDXを推進してきた」とし、こうした自らの経歴から、「東芝という伝統的な会社で、デジタルがわかる初めての社長である」と語る。

 東芝社内のデジタル化を推進する「みんなのDX」を仕掛け、12万人の社員がデジタルを理解することに力を注いできたほか、産官学が連携したQ-STAR(量子技術による新産業創出協議会)の実行委員長を務め、オールジャパンで取り組む量子イノベーション技術立国の実現に向けた旗振り役も務めている。

 島田新社長は、デジタル経験を豊富さを示すように、「東芝が持つ素晴らしいポテンシャルを、ソフトウェアデファインドで再定義し、成長と高収益を実現し、優れた技術開発に傾注したいと考えている」とする。

 デジタル分野での経験が長い島田新社長は、市場変化にも敏感だ。

 「いまは個々の技術の強みや、ひとつの飛びぬけた技術だけで、なにかが完成するという時代ではない。量子技術であったとしても、すでに存在する技術とのハイブリッドによって初めて価値が生まれ、それを使うためのユーザー体験や、サービスレベルまで考えていくことが重要である」と指摘する。その上で、「東芝には宝物のようにたくさんの技術や優れた人が存在している。また、様々な場所に技術やインフラを埋め込んでおり、お客様との接点もある。東芝をソフトウェアデファインドによって見直すと、巨大なポテンシャルが存在していることがわかる。これは、今日やれば、明日には成果が出るというものではないが、東芝が持つこれらのポテンシャルを生かし、個々の技術だけではない、いままでにないサービスを提供できる会社に変貌させたい。東芝にはそれができる力が存在し、全体を見ながら、トップダウンで、東芝の力を発揮できる事業展開を進めたい」と語る。

 島田新社長が舵取りをすることになるインフラサービス Co.においても、「デジタルは極めて重要な技術になる」とし、「カーボンニュートラルに向けた取り組みのなかでは、どこにエネルギーが足りていなくて、どこにエネルギーが余っているのかが見えなくてはならない。さらに、電力を最適に運用し、省エネ化にも取り組まなくてはならない。それらにも、デジタル技術が用いられる。これまでとは違うレベルで統合化したり、分散化したりといったことが、カーボンニュートラルの世界を構築する上で重要になり、そこにはデジタルが欠かせない」とする。

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