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Ampere世代の“50番台”GPU、GeForce RTX 3050をレビュー! 低コストにDLSSを導入できるGPU

2022年01月26日 23時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集● ジサトラユージ/ASCII

消費電力もパフォーマンスに連動している

 最後に消費電力の検証をしておこう。まずシステム全体の消費電力として、ラトックシステム「RS-WFWATTCH1」を用いて計測する。アイドル時とはシステム起動10分後の安定値を、高負荷時とは3DMarkの“Time Spyデモ”実行中のピーク値としている。

 アイドル時の消費電力が高めなのは検証に使ったRyzen用マザーも影響しているのでさておき、高負荷時の消費電力グラフはこれまで見てきたグラフィックパフォーマンスの傾向に近い。今回検証に用いたハイエンド仕様のRTX 3050カードであっても、消費電力はRTX 2060の10%減程度に収まっている。プロセスルールの差もあるが、メモリーコントローラーなどの足回りの細さも消費電力低減に寄与しているものと推察される。

 さらにNVIDIA「PCAT」を使ってカード単体のTBP(Total Board Power)も計測してみた。「Far Cry 6」をプレイ状態のまま放置し、その際のTBPを計測している。以下のグラフは1秒ごとの移動平均をプロットしたものとなる。残り時間の関係でGeForce勢のみの計測となった点はお詫びしたい。

ゲーム中のTotal Board Powerの推移。横軸は時間(秒)

 まず、補助電源なしで動作するGTX 1650のTBPは、73W前後と一番低い。2番手はRTX 3050で、GPU-Zに表示されたTGP(前掲)の150W近くまで上がることはあるものの、TBPは平均130Wにとどまっている。ただ、300秒あたりで他のGPUにはない大きな脈動をしていることを考えると、βドライバーゆえの熟成不足面もあるのではないかとも考えられる。3番目はRTX 2060(平均149W)で、ここまで見てきたパフォーマンス傾向やシステム全体の消費電力の傾向と一致する。最も高かったのはRTX 3060で、平均176Wだった。

まとめ:より多くのゲーマーに
DLSSを届けるという点は高く評価したい

 このRTX 3050レビューを読んでも「RTX 3050は価格がね……」という印象を捨てきれない人も多いだろう。RTX 20シリーズ登場時から、ビデオカードの割高感は続いていたが、こと新型コロナウイルスのパンデミック以降、様々な悪条件が重なり“50番台で5万円か!”みたいな時代になってしまった。RTX 3050については生まれてきた時代が悪かったとしか言いようがない。だが、この価格傾向が元に戻ることは(短期的には)ないと筆者は考えている。これには慣れるしかない。

 価格の話ばかりしていても埒が明かないので、もっと性能にフォーカスした話をすると、RTX 2060よりやや下という傾向に失望した人もいるだろう。従来のRTX 30シリーズと格上の20シリーズ対決では、RTX 30シリーズが同等以上というパターンが頻出していただけに、期待外れの感は否めない。RTX 3060の時点でRTX 2060 SUPER(≒RTX 2070)よりわずかに下という結果が出ていた時点で十分読めていたが、1年以上待たされてRTX 2060以下というのはなんとも残念だ。最低でもRTX 2060を超えるべきだったのではなかろうか。

 だが、今回NVIDIAが安易にGTX 16シリーズのリプレースをせず、より多くのユーザーにRTXテクノロジー、特にDLSSやDLDSR対応のエントリーGPUを出した点は高く評価すべき点だろう。ライバルのFSRやNVIDIAのNIS(NVIDIA Image Scaling)といったDLSSの代替技術はあるにせよ、画質とパフォーマンスのバランスという点ではDLSSはゲーマーにとってより好ましいソリューションと考える。

 そして、ライバルのRX 6500 XTは、価格は攻めたがゲーマーを失望させる性能と機能にとどまった。これに対しRTX 3050は割高感はあるものの、AAAタイトルの負荷に立ち向かっていける性能と機能を備えている。ビデオカードの更新を考えており、GTX 16シリーズ未満のミドルクラスGPUを使っていたなら、RTX 3050は良い選択肢となるだろう。また値が上がらないうちに確保したい。

【おまけ】RTX 3050発表と同時に存在が明らかにされたAmpere世代の超ハイエンド「GeForce RTX 3090 Ti」については、1月26日時点でもNVIDIAから新しい情報は寄せられていない。レビュー用にFounders Editionをお借りできる可能性は厳しそうという感触も得ている。我こそはと考えるメーカーは、ぜひASCII.jp編集部にご連絡を!

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