AWSは利用する人顧客もパスファインダーである
セリプスキーCEOは、米ハーバード大学を卒業後、Mercer Management ConsultingやRealNetworksを経て、2005年AWSに入社。バイスプレジデントとして、マーケティング部門やセールス部門などを担当していた経験がある。2016年にはAWSを飛び出し、Tableauの社長兼CEOに就任していた。現在、Tableauは、セールスフォース・ドットコムに買収されている。
Amazon.comでは、2021年3月に、創業者のジェフ・ベソス氏がCEOを退くことを発表すると同時に、AWSのアンディ・ジャシーCEOが、Amazon.comのCEOに就任すると発表。ジャシー氏の後任として、セリプスキー氏がAWSのCEOに就任することになった。
AWSの15年の歴史のなかで、11年間在籍した経験を持ち、AWSの成長をよく知る人物である。
そのセリプスキーCEOは、基調講演のなかで、何度も、「パスファインダー」(開拓者)という言葉を使った。
それは、AWSそのものがパスファインダーであることを強調するものであったともいえる。そして、AWSを利用する顧客もパスファインダーであると位置づけた。
ここでは、NTTドコモが、オンプレミスの10倍の速度でクエリを実行する数PBのデータウェアハウスをOpenShift上に構築し、クラウドの分析力の高さを最初に証明した企業であることを紹介。「NTTドコモは、クラウドを使用し、異なることをあえて行い、自社と業界の再構築に取り組んだ。先を見据えて、未知の領域へと立ち向かった。彼らは新たに道を見つけるパスファインダーにほかならない。インスピレーションを得て、発明し、予測し、障壁を打ち破ってきた先人たちのように、クラウドを用いて、業界のために道を切り拓いてきた」と述べた。
基調講演のなかで、パスファインダーの一人として触れたのが、1935年から、スタンフォード大学でバスケットボールをプレイしたハンク・ルイセッティ氏である。
それまでのバスケットボールは、1試合で30得点は大量得点であり、現在のMBAのように、平均で110点取るといったものではなかったという。その理由は、シュートをする際に、足を止めて、地面から足を離さず、両手で投げていたからだ。試合のスピードはいまよりもゆっくり進んでいた。
「ビル・ラッセルやマイケル・ジョーダン、ステフィン・カリーよりも、バスケットボール界に最も影響を与えた人物がハンク・ルイセッティである。彼の物語はあまり伝わっていないが、彼がいなければ、いまのようなバスケットボールにはなっていなかった」とする。
ルイセッティ氏は、シュートを研究し、走りながら、片手で行うジャンプショットを考案。最初の50得点スコアラーになった。
「このシュートをすべてのバスケットボール選手が使い始めた。切り拓いた道が正しければ、変革は可能である。現状を打破し、新しい道を作り出し、革命を起こした。効率化を求め、より率先して動き、現状に挑戦して状況を大きく変えるために、私たちがクラウドを用いたのと同じである。Amazon EC2が登場し、使った分だけをクレジツトカードで支払えばいいというコンセプトは、多くの人が必要だと考えて提供したものである。これによって、企業は新たなビジネスを作り上げることができた」と述べた。
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