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NTTコミュニケーションズ オープンイノベーションプログラム成果発表会「ExTorch Open Innovation Day」

船舶DXからAIメンタルケア、オンライン農業まで NTT comの共創成果発表

2022年01月27日 12時00分更新

 NTTコミュニケーションズは2021年10月22日、同社のオープンイノベーションプログラム「ExTorch」の成果発表会「ExTorch Open Innovation Day」をオンラインで開催。ExTorchは、NTTコミュニケーションズが保有する豊富なリソースと社外の技術やサービスを掛け合わせ、既存事業の革新や新規事業創出を目指すプログラム。イベントでは、本年度のプログラムに参加した5チームが共創プロジェクトの中間的な成果報告と、2019年度のプログラムから生まれた2つのビジネスの進捗ピッチが実施された。

 2021年度のExTorchは、「世界中のインフラと熱い想いをつないで、人類の未来に貢献する」をコンセプトに5つの共創テーマを採択し、5月から事業化へ向けたPoCが実施されている。なお、今回のピッチは中間報告と位置付けられており、2022年1月まで共創を継続し、事業化するかどうかが検討される。

 セッションでは、1.船舶運航の安全に寄与する海気象情報のオープンプラットフォームの実現、2.完全無人化された次世代データセンターの創出、3.通信ビルを活用したSharing Drone Platformの実現、4.メンタル不調予防のためのCOTOHA Voice DX™ Premiumとの対話によるストレスチェック、メンタルトレーニングコミュニケーション、5.Smart Data Platformを活用した生育支援業務の自動化・高度化――の5テーマのピッチと審査が行われた。

 審査員は、経済産業省 新規事業創造推進室長の石井 芳明氏、インクルージョン・ジャパン株式会社取締役 寺田 知太氏、株式会社NTTドコモ・ベンチャー 代表取締役社長 笹原 優子氏、NTTコミュニケーションズ株式会社 執行役員イノベーションセンター長 稲葉 秀司氏の4名。審査基準として、課題が明確か、解決策に独自性があるか、市場へのインパクトがあるかの3点から審査員特別賞を選定。また、視聴者の投票によるオーディエンス賞が選ばれた。

海気象情報のオープンプラットフォームで船舶をDX化

 1つめのテーマは、株式会社オーシャンアイズ×NTTワールド エンジニアリングマリン株式会社の共創による「船舶運航の安全に寄与する海気象情報のオープンプラットフォームの実現」。

株式会社オーシャンアイズ 代表取締役 田中裕介氏(左)、NTTワールドエンジニアリングマリン株式会社 エンジニアリング&ソリューション部 船舶ITソリューション担当 主査 北川 祐一氏(右)

 船の運航業務では、海上は陸上に比べて観測点が少なく、重要な海気象情報の精度や予測、共有が不十分で乗組員の経験による運航判断を強いられている。例えば、気象海象情報はテレビやラジオに頼っており、知りたいときに最新の情報を得ることができない。

 また、船内にはアナログな機器が多く残っており、海上に異常を発見しても報告はファクスで報告されるため、リアルタイムに他船へ情報共有できず、漂流物であれば時間がたつと移動してしまう。

 乗組員の負担を軽減し、安全に運行するため、精度の高い気象・海象情報をリアルタイムに共有するオープンプラットフォームを開発。

 海象情報の精度を高めるため、気象庁などが配信する海気象データに加え、海上の船舶に搭載されたセンサーからの情報をオープンプラットフォームに集約。データを統合的に解析し、船で使いやすい形にしてから再び船舶へと配信される。例えば、入港予定の湾港の付近にいる船から最新の気象情報が手に入るので、適切な対策が立てられる。また、センサーデータは基本的に自動で取得・送信され、乗組員の負担を増やすことなく情報を集められる。

 気象・海象情報のほか、航路情報、危険物などの情報が共有できるようになる予定。スマートフォンやタブレットのアプリから見られる形を想定し、現在プロトタイプを開発中だ。

 有用なサービスにするには、利用隻数を増やしてデータを集めることが重要。2023年のサービスの土台を完成させ、ユーザーを拡大しながら2027年のプラットフォーム化を目指す。

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