週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Xアイコン
  • RSSフィード

紀伊國屋ビル名店街にあった生パスタの名店「JINJIN」が新宿二丁目で復活 懐かしの味は「不変」で「普遍」だ

2022年01月11日 11時00分更新

文● モーダル小嶋 編集●ASCII
提供: 味の民芸フードサービス

多くの人に愛された名店が復活、かつて通った人も注目

 筆者は大学から東京に出て、勉強もそこそこに、さまざまなところで遊んでいました。何しろ人も多いですし、何でもありますから、これも社会勉強の一環とばかりに(便利な言葉ですね)あちこちを見物していた記憶があります。

 とくに、昔からある老舗の喫茶店や飲食店を訪れたときには、“東京”に暮らす人間の仲間入りをしたというか、大人になったような気がしたものです。

 自分は文系だったこともあり、書店に通うことも多かった。そこで購入した書籍に思いをはせながら、名の知れたお店に入り、空腹を満たすのがささやかな幸福になるわけです。とはいえ、学生の時分だったので、高級な料理にはなかなか手が届きませんでしたが……。

 さまざまな書店がありますが、新宿でよく通っていたのが、紀伊國屋書店。その地下にあったのが、生パスタが名物の「JINJIN(ジンジン)」でした。1970年創業ですから、サイモン&ガーファンクルが「明日に架ける橋(Bridge over Troubled Water)」を発表した年。当然、筆者が生まれる前の話です(筆者は1986年生まれ)。

 上京して新宿を歩いたとき、紀伊國屋書店や、近くにあった中古レコード店に入った帰りに、たびたびJINJINを訪れていました。そういう意味では、自分にとっても思い出の店。しかし、紀伊國屋書店の改装にともない、2021年7月に惜しまれながら閉店となりました。

 そのJINJINが復活しました。2021年12月24日、紀伊國屋書店からおよそ600m、新宿二丁目にオープン。紀伊國屋書店の並ぶ新宿通りをまっすぐ東に歩いていき、伊勢丹新宿店のある交差点を渡り、新宿マルイアネックスや文具店「世界堂」などを過ぎていくと到着です。

 

 新宿通り沿いなので、迷うこともないでしょうし、目に入りやすいはず。JR新宿駅というよりは、東京メトロの新宿三丁目駅が最寄りになります。御苑の新宿門などから近いというイメージでしょうか。

新宿二丁目、新宿通り沿いにオープン

カウンターの並びに旧店舗を思い出す人もいるのでは

 このニュースにワクワクしていたのは筆者だけではないようです。アスキー編集部の皆さんにJINJINの思い出を聞いていたところ、アスキーのプロデューサーであるところの、みやのプロが思い出を話してくれました。

アスキーのエラい人、みやのプロ。そのわりに、あんまり偉そうにしていない。ベテランで食べることが大好き

みやのプロ「新宿のJINJINか〜、懐かしい。アスキーに入った頃はマイコンやパソコンといえば秋葉原だったけれど、新宿にも本を買いによく行って、紀伊國屋書店で早川書房のSF作品などを買っていました……。本を買った帰りに地下のJINJINを覗くと、顔なじみの人がナポリタンを食べていたりして……いろいろ思い出深いのだっ!!」

 さらに、アスキーでスタジオ撮影を担当するカメラマンはお酒が好きで部署内で有名なのですが、やはり、JINJINによく通っていたそうで。「新宿三丁目になじみのバーがあって、紀伊國屋書店で本を見て、JINJINで『特製ミートソース』を食べてから、バーに行ってたんだよ。二丁目にできるの? 行く行く」と話していました。

 業界の人たちにも愛されていたJINJIN。さっそく、新店舗に行ってみましょう。懐かしい味もあれば、自信をもって新しく誕生したメニューもあるそうです。

名物のメニューの味はそのまま
生パスタに伝統のソースが絡む

 さて、いよいよ実食です。基本的に、旧店舗で提供されていたメニューに関しては、同じ味わいを守っているとのことです。

名物「JINJINナポリタン」

 まずは名物、「JINJINナポリタン」(700円)。JINJINこだわりのトマトソースを使った、昔懐かしいナポリタンの風情があります。

50年にわたって愛されてきたトマトソースの味わいは唯一無二

 とはいえ、老舗ですから、トマトソースを一つ取っても、50年にわたって常に見直され、ブラッシュアップされてきた伝統の味わい。なんといっても半世紀ですから、歴史の重みが違います。

 この酸味の効いたトマトソースに、JINJINが長年こだわってきた生パスタのもちもちとした食感がマッチしています。懐かしいのに、オリジナルな味わい。多くの人たちが愛してきたナポリタンを堪能しましょう。

 ちなみに、ケチャップを効かせた甘めの味わい、「懐かしのナポリタン」(750円)もあります。こちらは“懐かし”というだけあって、ベーコンではなく赤ウインナーを使っている念の入れよう。純喫茶のナポリタン……とでもいえましょうか。JINJINナポリタンとの食べ比べもおもしろいかも。

シンプルな見た目にプライドを感じる「特製ミートソース」

 続いては、「特製ミートソース」(730円)。これまた、JINJINの人気メニューです。懐かしいミートソースは、パスタというより“スパゲティ”といった雰囲気ですよね。

 このミートソースにもファンが多いのですが、優しい味わいというより、肉の旨味と香りが「ガツン!」と来るのが特徴。パンチの効いた仕上がりになっています。

ミートソースのインパクトは見た目以上に強い

 生パスタのモチッとした食感がそれを受け止めるので、見た目以上に食べごたえがあり、初めて食べる人は驚くかも。「ミートソース」と簡単に言いますが、とにかく「ミート」感が強い。

知らない人はびっくりするかも……「JINJINカルボナーラ」

 そして「JINJINカルボナーラ」(880円)。カルボナーラとは「炭焼のパスタ」という意味で、玉子や生クリームの味わいが特徴的ですが、JINJINのそれはトマトソースを使った……というか、トマトソースを“添えた”クリームパスタになっています。

トマトソースがアクセント。味変的に少しずつ食べてもよい

 これもファンが多いメニューで、筆者としても「そうそう、JINJINのカルボナーラって、これだったよな」と懐かしんでしまいました。

 クリームパスタにトマトソースが入ったことで、シンプルなコクとまろやかな舌触りに、酸味の効いたトマトがアクセントになるという、独特のまとまりに。一般的な「トマトクリームパスタ」ともちょっと違う、ありそうでないテイストが魅力的です。

新しく登場した「濃厚カルボナーラ」
名前に違わぬコクが魅力的

 JINJINのカルボナーラといえば、トマトソースを使ったアレだよね……と思っている人も多いはず。筆者もそうでしたから。そんな人たちに試してほしいのが、新しく登場した「濃厚カルボナーラ」(880円)です。

カルボナーラといえばこういう感じ、という外見の「濃厚カルボナーラ」

 見ての通り、いわゆる「カルボナーラ」そのままの外見といえるパスタですね。

 お店のスタッフによれば、そもそも、JINJINカルボナーラは変わり種を作ろうとしたわけではなく、伝統あるトマトソースを使おうと、いわばカルボナーラに“ちょい足し”しようとして生まれたとのことでした。

 とはいえ、カルボナーラといえば、あの卵による濃厚な味わいをイメージする人もいるわけで、シンプルなものを見直そうとして開発することになったとのこと。

 しかし、ただJINJINカルボナーラからトマトソースを抜いただけではありません。ソースを濃厚にするため、チーズ、生クリームをこれまでのおよそ3倍も配合したほか、あわせてベーコンも厚みのあるものに変えているそうです。

 ちなみにベーコンに関しては、JINJINカルボナーラも厚みのあるものに変更されているので、昔からのファンの人は、当時の記憶と現在の味を比較してみるのも楽しいかもしれませんね。

厚切りのベーコンが効いている

 濃厚カルボナーラという名前に偽りはありません。食べた瞬間に、口の中に生クリームとチーズのまろやかな香りが広がります。

 しっかりしたクリーミーさがあるからこそ、厚切りのベーコンによる塩気と歯ごたえが活きてくるわけで。シンプルなのだけれど、よく考えられたバランスには、老舗の意気を感じました。

 濃厚カルボナーラは、どっしりとした食べごたえのある、王道の風格。JINJINカルボナーラのファンも、ぜひ食べてほしい出来になっています。

新しい濃厚カルボナーラに、JINJINによく通っていた筆者も納得(※撮影時のみマスクを外しています)

フレッシュな味わいの「しらすと大葉のペペロンチーノ」

 さて、もう一品、注目したいのが「しらすと大葉のペペロンチーノ」(850円)。新店舗で初めて登場したメニューです。

にんにくと大葉の香りが食欲をそそる「しらすと大葉のペペロンチーノ」

 ペペロンチーノといえば当然、にんにくの香りと唐辛子の辛味がポイントなのですが、JINJINのそれはどちらもしっかり効いています。

 それがきつく感じられないのは、大葉のさわやかな香りとしらすの食感で、さっぱりした後味になっているからでしょう。にんにく、唐辛子の刺激がきちんと感じられつつ、大葉としらすがアクセントになっており、細やかな味のレイヤーや舌の上で感じられる一品。

 JINJINの定番とはまた違うフレッシュな味わいは要注目。実は開店して1週間で1番売れたのがこのペペロンチーノだそうで、女性からの支持も高いようです。

香りと食感が心地よく重なり合う

 さて、ざっとメニューに触れてきましたが、忘れてはならないのが、JINJINのパスタは「全品ドリンク付き」であるということ(パスタの値段にドリンクが含まれている)。新宿エリアで、パスタを食べて、ドリンクも付いて……となると、1000円を切るのはなかなかのコスパです。

ドリンク1杯が無料で付いてきます

 お店は清潔なカウンターで印象的で、奥にはテーブル席もあります。感染症対策にも気をつけており、サクッとランチをするときも、1人でふらっと入れる感じですね。

 そうそう、復活にあたっては、かつて旧店舗に通った人たちから「新宿でオープンしてほしい!」という声も多かったとのこと。紀伊國屋書店からは少し離れましたが、新宿エリアであることには変わりなく、行きやすい場所にオープンしたといえます。

懐かしさとモチモチ感は昔からのファンも若い人も納得

 50年の歴史を持ち、多くの人に待ち望まれていた復活を、旧店舗のあった新宿エリアで果たしたJINJIN。その魅力はなんでしょうか。

 一つは、名物メニューの「不変」の懐かしい味わいでしょう。新メニューにも共通する、ツボを押さえた味の仕上がりと生パスタのモチモチ感。

 しかし、懐かしのメニューを展開するだけでなく、新しく登場するカルボナーラやペペロンチーノも魅力的。また、1年に4回ほど、季節のパスタも登場するそうです。伝統を踏まえつつ、今の時代にあったアレンジも効かせていく。それらのメニューにあるのは、誰からも愛される「普遍」のおいしさといえるでしょう。

 何よりも、新宿でオープンしたことによる、アクセスのよさが魅力的。昔よく通っていた人でも、「新宿に来たらJINJINでしょう」と気軽に行ける位置です。また、初めて訪れるという人でも、新宿での食事の選択肢として、味はもちろん、コスパも優秀。誰しも納得できるパスタが並んでいます。

 JINJINで食べるパスタは、旧店舗と同じく、きっとあなたの新宿の思い出になっていくはず。新宿でのごはんに迷ったら、JINJINはいかがでしょうか。

JINJIN 新宿二丁目店
東京都新宿区新宿2-6-3 藤和新宿コープビル1階(MAP
平日 11:00〜22:00
土・日・祝 11:00〜18:00
電話 03-5315-0318

※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策により、営業日・営業時間・営業形態などが変更になる場合があります。

■関連サイト

提供:味の民芸フードサービス

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう