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【前編】ソリッド・キューブ原田奈美社長インタビュー

初音ミク、アイマス、ウマ娘の「モーション」を担う会社ができるまで

2022年11月19日 15時00分更新

モーション仕事の本格稼働は初音ミクから!

原田 モーションのお仕事が本格的に始まったのは、北京原人から数年後、2009年発売のゲーム『初音ミク -Project DIVA-』からになります。

 これには経緯がありまして。当時、私は駆け出しの音響制作として、声優さんをコーディネイトする仕事をしていたのですが、あるときセガ(当時ヒットメーカー)のHiro師匠(川口博史さん)や光吉(猛修)さんと出会い、アーケードゲーム『古代王者 恐竜キング』のキャスティングを担当しました。

 それがきっかけでセガさんとのお仕事を――それこそ館内アナウンスの手配とか――一生懸命やっていたら、Hiro師匠が「よく働いてくれるね」といって、セガの色々な方を紹介してくださったんです。

 そうしているうちに出会ったのが、のちの『Project DIVA』プロデューサー・林誠司さんでした。

―― おお、それはすごい出会いですね。

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原田 そしてある日、林さんから「今度、新しく作るゲームに振付やダンスがあるんだけど、原田さんならダンサーさんを知っているだろうからどうですか」と相談をいただきまして。

 当時、私はアイドルが多数所属している会社に出向していたこともあり、アイドルやダンスに触れる機会も多いことから相談くださったようでした。

―― 初音ミクのモーション事始め、ですね。キャスティングや演出などはどのように?

原田 私の“師匠”でもある福島桂子さんにお願いしました。私、スタイルキューブに入社する前は声優をしていまして、養成所時代の恩師が福島さんでした。

 それ以来、ダンスや振り付けのお仕事をたくさんお願いしていて、今でも『プロセカ』(『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat.初音ミク』)はじめ、多数の作品を担当いただいてます。

 福島先生にお願いしようと思った理由は、先生がミュージカル、声優と様々な引き出しのある方だからでした。ミュージカルは、いろんなジャンルのダンスをしますし、お芝居をしながら歌って踊りますよね。だから『Project DIVA』の「キャラクターが演じながら歌って踊る」というコンセプトにマッチするのでは、と。

 結果的に福島先生はお芝居やダンスの引き出しが多く、初めての試みにも臨機応変に対応してくださったので、安心してお任せすることができました。

―― 確かに「音楽ゲームでダンスをするキャラクター」と、「歌って踊るミュージカル俳優さん」は相性が良さそうです。……そういえば、私がスタイルキューブさんの初音ミクのダンスを知ったのは、小倉唯さんの「みくみくにしてあげる♪【してやんよ】」を踊ってみた」動画(2009年)でした。

原田 私が録音を担当して、野口が撮影したものですね。

―― そうなんですか!

原田 もちろん各社から許可をいただいている公式の動画ではあるのですが、そのときは、セガさんと一緒に『Project DIVAを盛り上げるために、アップしてみよう!』という遊び心あっての企画でした。それで私個人のアカウントで上げてみたら、数日で100万再生突破してしまい、驚きました。

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