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「AI技術×ビジネス」で成果を出す!エンジニアが伸びる精鋭AIスタートアップの秘訣に迫る

 大手企業から要望に合わせたカスタムAIの開発導入を得意とするLaboro.AI。「PoC死」などと呼ばれて失敗も多いAIプロジェクトにおいて、リピーターも多いのが同社の強みでもある。今回は産業技術研究所や京都大学の博士課程、ボストンコンサルティンググループを経て、CTOとしてLaboro.AIを共同で創業して同社のエンジニアチームを率いる藤原(ふじはら)氏に、技術力の高さとエンジニア組織の運営についてお話を伺った。(以下、文中敬称略)

エンジニア自己研鑽は、余剰リソース活用が重要

マスクド:現在どのような組織体制でしょうか?

藤原:会社全体としては34名となり、内訳はエンジニアが14名、ソリューションデザイナが9名、その他にマーケティング、広報、バックオフィスなどで構成されています。

 「ソリューションデザイナ」という役割は、営業として案件を獲得するだけでなく、AIコンサルタントやデータサイエンティスト、プロジェクトマネージャーも兼ねる当社独自のポジションで、プロジェクトの準備段階から導入・運用に至るマネジメントまで一貫して行う役割を持っています。AIや機械学習のプロジェクトにおいては不確実性が高いため、決まった作業を進めるのではなく、どんなアプローチを取るべきか臨機応変に対処しなければいけません。その対応を都度決めるのがソリューションデザイナの役割であり、いわゆる PoC死に陥らないようにしています。

 ソリューションデザイナがプロジェクトを管理することで、エンジニアもクライアントが求めるゴールを把握して実装するだけの立場ではないと認識します。こうしたお互いの歩み寄りが重要であり、組織運営や価値提供における大きなポイントとなります。

マスクド:データ分析やAI・機械学習の案件において、クライアントからの要望は多岐にわたりますが、どうやって対応しているのでしょう。

藤原:当社が対象とするAI技術分野は画像、音声、テキストなど幅広く、クライアントの要望に対して「弊社では技術的に無理です」ではビジネスとして成立しません。そこで社内の研究開発を進めて、知見を深めています。エンジニアの自己研鑽においては、余剰リソースの活用が重要です。どうしてもエンジニアの稼働が空く場面はあるので、そこで会社のためだけでなくエンジニア自身のためにも新しい技術を習得してもらい、新たなプロジェクトに参加できるようになってもらいます。

 会社から習得すべき分野を提案したり準備中の案件に関する技術をついて調べてもらう場面もあれば、エンジニアが自主的にテーマを選んで学習することもあります。場合によってはデータ分析のコンペに参加するエンジニアもいますね。エンジニアによる研究開発の成果として、オリジナル日本語版BERTモデルをさらに軽量・高速化した「Laboro DistilBERT」や、TV録画から自動構築した音声コーパス「Laboro TVSpeech」などがあります。

 エンジニアの成果は会社としてPRもしますし、こうした活動が問い合わせや案件化にもつながります。エンジニアとしても、自分が作ったものに対してリアクションがあるのは嬉しいでしょう。

マスクド:エンジニアなどによる知見の共有はどうやって行っていますか?

藤原:弊社ではさまざまな分野に詳しいエンジニアがおり、プロジェクト終了後にエンジニアが技術的な背景などについて、有志による社内勉強会が行われます。会社としても特定分野だけでなく、「機械学習のゼネラリスト」として幅広い技術や知識を身に着けたエンジニアとして活躍してほしいので、積極的に支援しています。また、演習課題などを用意しておき、入社直後時やリソースが空いた時期に学習できる体制も整備しています。こうした技術をキャッチアップする力が非常に重要であり、素早くクライアントに提供できることへとつながっていきます。

 もちろんエンジニアによっては特定の技術を習得したいなどの要望もあり、強制はしていません。そこでプロジェクトへの参加が重要になってきます。民主的な制度として、案件の受注において社内全体で情報を共有しながら、エンジニアが自主的に参加できる体制をとっています。本人の意向に完全に沿うのは難しいところもありますが、なるべく希望を叶えられる形にしています。

 こうした仕組みはエンジニアが14人にまで増えたおかげで、運営できるようになりました。受託案件において、組織の規模は非常に重要です。創業初期のエンジニアの人数が限られる時期では、どうしても会社の指示を優先してしまったり、避けられない事態から負荷がかかったりするプロジェクトもありました。

 また、長期のプロジェクトを増やすことも重要です。数ヶ月程度の期間ではスケジュールに余裕がなくエンジニアも疲弊しますが、中長期的な目線でクライアントと伴走できるプロジェクトなら余裕もできます。こうしたパートナーを探すことも、円滑にプロジェクトを進めるために必要でしょう。

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