SUPER GT 第7戦もてぎはHitotsuyama Audiが見事な逆転勝利! 気になるチャンピオン争いの行方は?
ツインリンクもてぎで11月6~7日に開催された2021年のSUPER GT第7戦。GT300クラスは最終ラップまで目が離せないレースが展開され、21号車 Hitotsuyama Audi R8 LMS(川端伸太朗/篠原拓朗)が今季初優勝を飾った。
7月の第4戦に続き、今シーズン2度目のレースとなったツインリンクもてぎでのレース。今回はチャンピオン争いの行方も気になる1戦ということで、今まで以上に注目が集まった。なお、「ツインリンクもてぎ」の名前でのSUPER GTはこれが最後。来年3月には「モビリティリゾートもてぎ」という名前になる。
またもやBRZが速さを見せるも
18号車NSXの意地がわずかに上回った予選
今回のレース結果次第では最終戦を待たずにチャンピオンを決める可能性のある61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)。75kgと重いサクセスウェイトを背負ってのレースとなったが、Q1A組を3番手で突破すると、続くQ2では山内がいち早く1分45秒669を叩き出し、トップに躍り出た。
そこに食らいついたのが18号車 UPGARAGE NSX GT3(小林崇志/名取鉄平)だ。Q2担当の名取が1分45秒654を記録。61号車をわずか0.015秒上回り、ポールポジションを奪った。
今シーズンはうまくいかないレースが続いていた18号車だが、ようやく大きな結果を残すことができ、相方の小林も満面の笑みを見せていた。
小林崇志選手「今回は朝の走り出しからスムーズに走れてメニューもしっかりこなせた。前回のオートポリスのレースを踏まえて、ヨコハマタイヤさんともいろいろ相談して、普通はしないような特殊な持ち込み方をしてきているのですが、そういう中でうまくチームとコミュニケーションを全員がとって、タイヤの選択も間違えなかったのが大きいのかなと思っています。名取選手も素晴らしい走りをしてくれて、結果、ポールという成績を残せたので、本当にうれしいですね。みんなに感謝したいです」
名取鉄平選手「本当に最高です。鈴鹿でクラッシュがあったりなど、苦しい時期もありましたが、そこをチームみんなで協力し合って辛い時期を乗り越えていい結果を残せたのは、良いチームワークでレースができている証拠なので、感謝したいです。ただ大事なのは決勝なので、ちゃんと結果を残すことを重視して走ります。まだランキング上位にも食い込めるポテンシャルはあると思っているので、小林選手とチームと協力して、いいレースがしたいです」
開始早々トラブルでリタイア続出の決勝レース
決勝日は朝から青空が広がるレース日和となり、決勝前には航空自衛隊のF-2戦闘機が迫力の歓迎フライトを披露。コロナ禍でまだまだ制限がかかるなかではあるが、サーキットは華やかな雰囲気に包まれた。
ポールポジションから今季初優勝を目指した18号車だが、スタートで61号車にトップを奪われると、6周目の90度コーナーを立ち上がったところで、トラブルが発生し、マシンストップ。第1スティントを担当していた小林は、かなり悔しがっていた。
これで61号車が俄然有利になるかと思われたが、そこに待ったをかけたのが3番手スタートだった55号車 ARTA NSX GT3(高木真一/佐藤蓮)だ。今回も高木が前半を担当すると、好ペースで61号車の山内に近づき、13周目の90度コーナーでオーバーテイクに成功。トップに浮上すると、2番手以下との差を徐々に広げていった。
今シーズンは、ここまで2度の表彰台を獲得する速さをみせている55号車。ここもてぎは苦しい戦いになるのではないかとチームも予想していたが、いざレースが始まると力強い走りで周回を重ねた。
そして、30周目にピットインし、リアタイヤ2本交換の作戦を採り、佐藤にドライバー交代した。今季初優勝に向け、後半スティントに臨んでいったが、背後から迫る1台のマシンがあった。5番手スタートの21号車 Hitotsuyama Audi R8 LMSだ。
早めにピットストップを済ませていた21号車は、55号車と同じリアタイヤ2本交換の作戦をとり、後半もペース良く周回。34周目に55号車を逆転し、トップに浮上した。
その後も、ペース良く周回を重ねていったが、55号車を駆る佐藤も初優勝がかかる大事な1戦。終盤に入るとマシンバランスも改善し、21号車を追い詰めていった。
しかし、順位が入れ替わるまでにはいたらず、21号車がトップチェッカーを受け、待望の今季初勝利を飾った。
川端伸太朗選手「本当に本当にうれしいです。昨年の優勝からポイントからも遠ざかっていたので……。スタートを担当しましたが、予選後のタイヤの状態をみると、ロングスティントには自信がありました。ピットワークも決まって、篠原選手が最終スティントでいい走りをしてくれたので、すべてにおいて良い流れを作れました。今年はノーポイントが続いていたためにシリーズ争いに加われなかったのは非常に悔しいです。でも、今回いい結果も出ましたし、相方の篠原選手もかなり成長してすごくいい走りをしてくれて、僕自身も刺激を受けました。来年に向けて、またふたりでタイトル争いに加われるように最終戦をしっかり戦いたいと思います」
篠原拓朗選手「今の気持ちは本当に“最高”のひと言に尽きると思います。チームのみなさんや応援してくださっている方々やファンのみなさまにも、いい結果が報告できて非常にうれしいです。スタートした川端選手のペースが非常に速くて、ちょっと僕、大丈夫かなっていう不安もありました。チームも非常に速いピットワークでドライバー交代をさせてくれて、リアタイヤ2本交換だったのでアウトラップも非常に速く走れました。ともかく勝てて良かったです」
気になるチャンピオン争いの行方だが、61号車は粘り強くレースを進めていたが、終盤に痛恨のスピンを喫し、6位フィニッシュとなった。一方、ランキング2番手につけていた56号車 リアライズ日産自動車大学校 GT-R(藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)はタイヤ無交換作戦を見事成功させ、3位でフィニッシュ。井口/山内組に対して6ポイント差に迫った。
さらに2位に入った55号車の高木/佐藤もトップから10ポイント差と、最終戦での逆転王座の可能性を残している。以下が、チャンピオンの権利を残しているチームだ。
- 56P 61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT
- 49P 56号車 リアライズ日産自動車大学校 GT-R
- 45P 55号車 ARTA NSX GT3
- 40P 244号車 たかのこの湯 GR Supra GT
- 35P 11号車 GAINER TANAX GT-R
- 34P 88号車 JLOC ランボルギーニ GT3
ポイントだけで見ると、61号車が圧倒的に有利だが、レースは最後までわからない。はたして、2021年はどのチーム・ドライバーが最後に笑うことになるのか。今月末の最終戦富士大会から目が離せない。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります