週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

SUPER GT 2021シーズン GT300クラスはスバルBRZが悲願のチャンピオン獲得!

 富士スピードウェイで11月27~28日に行なわれた2021年のSUPER GT最終戦。GT300クラスは60号車 SINTIUM LMcorsa GR Supra GT(吉本大樹/河野駿佑)が今季2勝目をマークし、注目の年間王座争いは、3位に入った61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)が悲願の初のタイトルを獲得した。

予選からSUBARUに流れが傾きつつあった

 最終戦は全車のサクセスウェイトがゼロになることもあり、予選から0.001秒を争う激しいタイムアタック合戦が繰り広げられた。Q1を終えた段階ではJAF-GT勢が速さをみせ、なかでもGRスープラのマシンが頭一つ抜け出ているように見えていたが、上位グリッドが決まるQ2では、61号車の山内が渾身のアタックを見せ、1分34秒395のベストライムを記録。スープラ勢を見事逆転し、今季4度目のポールポジションを獲得した。

 「無我夢中で走っていたらトップを獲れたという感じです。たくさんの人が応援してくれていることと、みんなの気持ちが乗っかったことが、最後セクター3でタイムが伸びた要因だったのではないかなと思います」(山内)

 初のタイトルに向けて、井口、山内ともにプレッシャーを感じているのかと思われたが、予選後の記者会見ではかなりリラックスした表情をみせていた。実は、最終戦の直前にスバルのイベントに参加した2人。そこで多くのファンからメッセージをもらい、力になったという。

 最終決戦での流れは確実にスバルに傾きつつあった。

今シーズンで惜しまれつつSUPER GTを引退する星野一樹選手

最終戦の決勝は最後まで読めない展開に

 そして、日曜日の決勝レース。今シーズンもコロナ禍でのレース開催で、入場者数も制限されていたが、イベントでの動員数もいくらか緩和され、富士スピードウェイには3万5300人のファンが集まった。

 ポールポジションの61号車は井口がスタートドライバーを務め、序盤から積極的に後続を引き離していこうとするが、後続で起きたアクシデントの影響で、8周目にセーフティーカーが導入される。13周目に再開されるが、ここで流れが変わり、2番手の60号車が一気に間合いを詰め、23周目の1コーナーでオーバーテイクを決めた。

 60号車が28周目にピットストップを済ませ、河野から吉本に交代したが、それよりも前にドライバー交代を済ませていた52号車 埼玉トヨペットGB GR Supra GTが逆転でトップに浮上した。

 一方、61号車は27周目に井口から山内に交代するが、6番手までポジションを落としてしまう。その後、チャンピオンを争う55号車 ARTA NSX GT3や56号車 リアライズ日産自動車大学校GT-Rが背後に迫られ、チャンピオン獲得が危うくなりそうな場面もあったが、山内はしっかりとポジションを死守し、前のマシンを追いかけていった。

 GRスープラの2台がリードする展開となったレース後半だが、残り10周になって予想外の事態が発生する。トップを走っていた52号車の左リアタイヤにトラブルが発生し、最終コーナーでスピンを喫してしまった。なんとか復帰して緊急のタイヤ交換を行なうが、ポジションを大きく落としてしまう。代わりに60号車がトップに立ち、そのままチェッカーフラッグ。今シーズン2勝目を飾った。

 「チーム、ダンロップさん、駿佑とチームみんなの力が合わさって優勝できたのは間違いないのですが、第2戦に引き続き、トップの車両が脱落して勝ったレースだと思います。貪欲にもっと強くなるためにはどうしたらいいかを考えながら、もっと強いチームにしていきたいと思います」(吉本)

 「悔しいところもたくさんありましたけれども、1年を通して2勝できたことは本当に自信にもなりましたし、たくさん勉強にもなったかなと思います。来年のことは全然分からないですけれども、今年経験したことをもとに、来年はしっかりチャンピオン争いができるようなドライバーになりたいと思っています」(河野)

 そして、注目のチャンピオン争いは、終盤まで追い上げの手を緩めなかった61号車が、ラスト6周のところで3位に浮上しフィニッシュ。これにより、同チーム初のシリーズチャンピオンを獲得した。

 これまでは悔しい思いをする方が多かった井口と山内だが、チームをはじめ、スバルや応援してくれるファンと諦めずに勝ち取った栄冠に、うれし涙を流していた。

 「2012年にBRZがデビューをして、山野哲也さんと佐々木孝太さんに育ててもらって、そこから僕と山内選手が引き継いで、新型がデビューして……。本当に色んな思いがあって、チームのみんな、ファンの皆さんと一緒に勝ちとれたチャンピオンだと思っています。本当に感謝の言葉しかありません。チャンピオンを獲れて、本当に良かったです。ありがとうございます」(井口)

 「これまでいろいろ苦労があり、苦戦が2~3年続いたこともありました。それでもチームは諦めることなくクルマを進化させてくれたし、SUBARUやSTIも支援を続けてくれました。何よりもファンの皆さんが応援し続けてくれて、それが力になりました。そしてその環境でレースできることに感謝しています」(山内)

 こうして、2021年のSUPER GTは全戦が終了した。今年、何度もポールを獲得し、決勝でも常に上位を走り続けた61号車は文句ナシのチャンピオンであった。来年は61号車が王座を防衛するのかどうか? 今から期待したい。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

この連載の記事