裸眼で使えて高解像度、軽量で手軽な使い心地
実際に体験会でVIVE Flowを被ってみたが、まずはその軽さに驚いた。一体型のVRデバイスは、競合の「Oculus Quest 2」が571gで、VIVE Flowの重量はその半分以下。2本のヒンジで頭を挟むだけという構造だが、本体が軽いため特にズレ落ちる心配は感じず、装着感は非常に快適。
また、前述したが左右0.01もない筆者の視力でも裸眼ではっきり視認できた。実際に利用できるVRコンテンツにどういったものがあるのかまだ分からないが、同社の「VIVE Focus 3」のように両手に持つコントローラーがある訳でもないので、ガンシューティングなど本格的なVRゲームなどの移植はし辛いだろう。
後日ハンドトラッキングには対応するというので、そうした場合はガンシューティングやリズムゲームといったVRゲームも利用できるようになるかもしれないが、そうしたVRゲームを激しくプレイする訳でもなければ、VIVE Flowがズレ落ちる心配もなさそうだ。
起動時は、VIVEシリーズでお馴染みの360度で描かれた、光のモニュメントが広がる夢のある美麗な映像が流れる。解像度的には、従来の「VIVE Pro」レベルの精細さで映像が楽しめる。
チュートリアルでは、視差調整、スマホの接続とコントローラー操作が丁寧に映像付きで解説されるので、VRデバイス初心者の人でも安心だ。
最初に体験したのは、VRで不思議の国のアリスの世界を体験できる「Curious Alice」。本コンテンツは、底の深い穴に落ちるところから始まるので、この冒頭はややVR慣れしていないと酔いを感じる。
しかしながら、魔法の薬を飲み小さくなり、大きな扉からアリスの美しい世界を体験できるので、女性から子供まで楽しめるVRで味わえる非日常感が堪能できる。
VIVE Flowで提案するメンタルフローに即するコンテンツとしてVR空間でモナリザを視聴する、または陶芸を楽しめる「Let's Create! Pottery」がプレイできたが、今回は「Let's Create! Pottery」を体験。スマホをスワイプして粘土の形を変え、満足のいく形ができたら竈に入れて焼き上げる。
誰もいないVR空間で黙々と絵を描いたり、今回のように陶芸をしたりといった、何かを作るという行為は、日常で疲れた精神を癒すのに役立ちそうだ。ただ、このコンテンツで言えば、ハンドトラッキングでの方がより実在感があるので、ハンドトラッキングの対応が欲しいところだ。
XRアーティストが作った空間を楽しめる「STYLY」では、いろんな非日常的なVR空間を楽しめる。こうしたVRコンテンツは、従来のPC用VRだとPCを起動してVRデバイスを被ってといったひと手間があり、あまり意欲的に使う気になれなかった人もいるだろう。
しかしながら、VIVE Flowでは眼鏡すら必要ないので、それこそ就寝前にちょっと被って楽しむといった、新しいライフスタイルに組み込める手軽さを感じた。
また、最後に接続したスマホの画面を表示し、視聴してみた。スマホの画面は、VR空間の目の前に大きなスクリーンで表示される。スクリーンのサイズや場所は変更でき、スマホのコンテンツが楽しめる。
たとえば、新幹線など長距離移動中に誰もいないパーソナルな空間を仮想的に作り出し、Netflixなどの動画アプリや、ブラウザーでYouTubeを視聴できる。また、手元が見れないので慣れは必要だろうが、やろうと思えばスマホゲームも楽しめそうだった。リズムゲームのライブシーンを視聴するには向いてそうだ。
また、白黒ではあるがパススルー機能も搭載。電源ボタンを2回タップすると、パススルーで前面カメラの映像が見れる。しかし、本機はグラス型と眼鏡に近い感覚で簡単に持ち上げて、一時的に肩に掛けたりできるので、外してしまった方が早いかもしれない。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう