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RJOチームの台頭、今後の入れ替え戦も目が離せない!

「R6S」eスポーツシーンに新たな歴史、RJC 2021ファイナルラウンドで何が起きたのか

2021年11月01日 20時30分更新

RJLチームが続々と敗退
会場内を包む異様な雰囲気

 先述したとおり、本大会にはRJLのトップ4チームが、オープン戦や予選を介さずんに、ファイナルラウンドから登場している。文句なしの戦績と経験を積んだチームなので、私自身、どこか1チームでもジャイアントキリングが起こればすごいことだなと思っていた。

 しかし、ファイナルラウンド初日に、事態は一変した。「Zepto」が「GUTS Gaming」に、「BLUE BEES」が「Sengoku Gaming」に勝利したのだ。さらに、10月30日には、「FAV gaming」もが、「魚群」と戦い、敗退した。会場も、異様な空気で包まれていた。

 R6Sのシーンに詳しく、玄人志向杯などもチェックしている人であれば、ファイナルラウンドに出場した大体のチームも認知しているだろうが、RJLやAPAC North、世界大会のみを配信で楽しんでいる人からすると、今回強豪チームを破って上に登ってきたチームは、もしかしたら初耳のチームがあるかもしれない。そもそも「Zepto」は現在プロチームではないし、「魚群」ももともとは「モバイルバッテリー」という名前で本大会に出場していた。

「Zepto」の皆さん

 ではなぜここまでのジャイアントキリングが起きたのか。それは、R6Sが成熟したプロシーンになりつつあるというのが理由の1つとなる。どういうことかというと、RJLに出場しているチームは情報が多いのに加え、RJOの各チームがしっかりと情報収集をしてきていたということだ。加えて、一昔前までは、当たり前ではなかったコーチやアナリストの存在も大きい。今回参加したチームのほとんど、選手の後ろにはコーチがいた。

アマチュアの最強チーム「Zepto」にもTAKAコーチが付いている

 逆にいうと、そこまでの試合数が放送されていない、RJOのチームは情報が少なく、収集にも限界がある。そこで情報の差が生まれた結果、ジャイアントキリングが起きたのではないだろうか。

 「魚群」に惜しくも敗れてしまった「FAV Gaming」のShiNさんは、今回の「FAV Gaming」含むRJLのトップチームの敗退について「RJOのチームに対して慣れていないのと、データも少ないので、アナリストの分析も難しい部分があったのかなと思います」と語ってくれた。

「FAV Gaming」の皆さん

ShiNさんは「これから次の戦に向けて修正していく」と語ってくれた。さらに強くなった「FAV Gaming」に期待しよう

 しかし、それだけではない。30日は実際に現地で試合を観戦したが、ジャイアントキリングを起こしたチームは、総じてかなり攻撃的。相手チームの立ち回りをある程度予測したうえで、強気のピーク、ロックがことごとく刺さっている印象だったほか、1対1で撃ち勝つ個の強さも目を見張るものがあった。

 中でも印象的だったのが、「魚群」対「FAV Gaming」の山荘戦。「魚群」は積極的に窓の外をロックし、相手チームを室内に入れる前に撃ち勝ったシーンだ。とくにO-iOcchan選手が窓下に伏せて、ラッシュを仕掛けようとしたFAV Gamingの2人を倒すシーンには、驚いた。

「魚群」の皆さん

 実際に「魚群」の選手にインタビューさせてもらったところ、K3rry選手は「もともとフィジカルは負けていないと思っていたので、前に出て打ち合おうと思っていました。また、『FAV Gaming』がどこから入ってくるのかは大体予測がついていましたし、ドローンの配置でラッシュしてくるんじゃないかと予測ができたので、それを提案したところ、O-iOcchanが天才的な発想で倒してくれましたね」と語ってくれた。

強気の発想で、ラッシュを潰したO-iOcchan選手

「FAV Gaming」に対してしっかりと対策をしてきたようだ

 また、「DONUTS USG」のKawa選手に撃ち合いの強さについて話を伺ったところ「毎日テロハント(エリミネーション)を4時間くらい練習しています。ヘッドショットの正確さを上げたりするには、練習しかないです」とコメント。

「DONUTS USG」の皆さん

 加えて、RenRen選手は「ひたすらランクをやることですね。今回強かったチームは、みんなチャンピオン帯などでずっとランクをしているので、そこで撃ち合いに強くなっているんだと思います。最近、RJLの選手はおそらくスクリムやチーム練習をやっていると思うのですが、あまりランクで見かけないので。『CAG』のAnitun選手だけはかなりやってますけど(笑)」と語ってくれた。

「ランクだと、今回上がってきたチームの選手はかなりマッチします」とコメントしてくれたRenRen選手

 しかし、RJOのチームばかりが有利だったわけではない。オフラインの経験が少ないチームは、オンラインとの違いに戸惑っていたようだった。

 オフラインでの戦いについて「魚群」のLambor選手は「オフラインは本当に音が聞こえないので、焦りました」ととコメントしていたし、「DONUTS USG」のDxD選手も「ホワイトノイズが酷くて、結構ドローンでの索敵頼りなシーンも結構ありました」と語っていた。

 ただ、「BLUE BEES」のsayochan選手が「独特の空気感で緊張することもあったんですけど、色々な選手とも会えましたし、楽しめたと思います」とコメントしてくれたように、不利な面よりオフラインという場を存分に楽しめている選手も多かった。オフラインをアドバンテージととらえなかった精神力も、勝ち上がった要因といえるだろう。

「BLUE BEES」の皆さん

28日には、「Sengoku Gaming」を倒して勝ち上がった

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