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MacBook Pro 14インチは「クリエイティブへのエントリー」レベルを大きく引き上げた

2021年10月28日 10時00分更新

では、どのMacBook Proを選べばいいのか
次のMacBook Airを待つという選択肢もあるか

 アップルは搭載するマイクのS/N、音質ともに良いこと、内蔵スピーカーの質についても訴求しているが、彼らの主張に誇張はない。FaceTime HDカメラの画質も24インチiMacと同等だ。

 内蔵するカメラとマイクで動画撮影しても、実に自然で高品位な撮影ができてしまう。実際に映像作品を内蔵カメラで撮ることはないだろうが、オンライン会議などで有用なことは言うまでもない。内蔵スピーカーに関しては体感するのが一番だ。

 旧16インチモデルに匹敵するワイドレンジの再生能力が14インチモデルに感じられる。サブウーファーが必要となる領域は再生できないが、120Hz程度のポピュラー楽曲で使われることが多いベース楽器の帯域はしっかりと表現し、声のトーンが正確。歪み感も少ないため、音楽が気持ち良く楽しめるのだ。空間オーディオの再現性も高い。

 これならば出張先のホテルで心地よく音楽を楽しめ、別にヘッドフォンをしたいとは思わないぐらいに高音質だ。

 さらにはMagSafe 3電源ポートからの急速充電(30分で50%を充電できる)、3ポートのThunderbolt 4、SDXCスロットにHDMI端子と盛りだくさんだが、おそらくこの製品を検討している読者にとって、大きな問題は「選択肢が広い」ことだろう。

端子も強化されている

 筆者ならばM1 Pro(10コアCPU/16コアGPU)に16GBメモリー+2TB SSDを搭載したモデルを選ぶだろう。一方でインテルCPU時代から筐体デザインが変更されていないMacBook Airが、近いタイミングで新しいMacBook Proと同世代の設計コンセプトに更新されるのでは? という考えは頭をよぎるに違いない。

 あくまで予想でしかないが、もしMacBook Airが刷新されるとしたら、ディスプレーの質はプロのクリエイター向けではなく、主に映像を表示し、評価する人向けのスペックになると思う。全白最大1000ニトを実現するとしても、ピークは1200ニトというiPad Proと同等ぐらいだろうか。

 またM1の後継プロセッサが搭載されるとしても、メディアエンジンがそこに搭載されるとは思えない。そのあたり用途ごとに最適化されたSoCを採用することで、MacBook Airとの違いが出てくるのではないか。

 M1 Proのあまりの高性能に、次のMacBook Air待ちでいいのかも?と考えていた筆者だが、実際に使い始めてみると、ディスプレーやスピーカー、マイクなど細部の追い込みが素晴らしく明確な違いを感じている。スペックでは同等になる可能性はあるが、細部の追い込みはMacBook Proならではのものだ。

 これからデジタルコンテンツクリエイションの世界に入ってくる人たちにとって、今回の評価モデルの構成は基準となるスペックになる。とりわけ、このディスプレーを通じてプロフェッショナルな世界に入ってくる人が増えるのではないだろうか。

 パフォーマンスだけではなく、コンテンツを制作する道具として「Pro」の名前に恥じない仕上がりになっている。

 

筆者紹介――本田雅一
 ジャーナリスト、コラムニスト。ネット社会、スマホなどテック製品のトレンドを分析、コラムを執筆するネット/デジタルトレンド分析家。ネットやテックデバイスの普及を背景にした、現代のさまざまな社会問題やトレンドについて、テクノロジ、ビジネス、コンシューマなど多様な視点から森羅万象さまざまなジャンルを分析する。

 
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