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MacBook Pro 14インチは「クリエイティブへのエントリー」レベルを大きく引き上げた

2021年10月28日 10時00分更新

CPU、GPU、機械学習も最高クラスだが、
実は効いているメディアエンジンの存在

 今回は14インチMacBook Proのなかでも、16コアGPUのM1 Pro、16GBメモリー、1TB SSDのモデルを評価した。14インチMacBook Proとしてはローエンドに高性能コアを2個、GPUコアを2個無効化した8コアCPU/14コアGPUモデルもあるが、評価したモデルがシリーズの中核の製品になるだろう。

 すでにベンチマーク結果がメディアに出始めているが、CPU性能に関しては27インチiMacよりもマルチコアのスコアが約4割高速。GPUはさすがにデスクトップ向けGPUには負けるものの、それでもAMD Radeon Pro 5600Mとほぼ同等のMetalスコア(GPU演算能力スコア)を16コアGPUモデルでたたき出す。

Geekbenchのスコア

Core i9搭載の27インチiMacと比べても、さらに大きく上回るスコアだ

 ちなみにMetalのスコアはコア数に応じてリニアに上昇する傾向が強いため、32コアGPUのM1 Maxならば、スコアはさらに倍となるだろう。そうなればAMD Radeon Pro 5700XTを余裕で超えて来るため、GPUもデスクトップクラスの性能と言える。

こちらはGPUでのスコア

 それでいてCPUがフルに回り続けるCINEBENCH R23を動かし続けても、冷却ファンは静かに回るだけで快適性を保ち続ける。同じ事をインテルCPU搭載のMacBook Proだともちろんのこと、27インチiMacでもそれなりに冷却ファンが存在感を示し始めるが、少なくとも16コアGPU版のM1 Proに関して言えば、発熱に対する冷却能力の余裕が大きい。

CINEBENCH R23のスコア

SSDのテスト結果

 昨年驚かされたM1搭載MacBook Air/MacBook Proでの驚きを、そのまま拡張し、動画、写真、音楽などのさまざまなジャンルにおけるクリエイティブな人たちに向けての特別なコンピューターに仕立て上げている。

 その数字は圧巻だが、さらに本機をM1搭載Macとは異なる位置づけにしているのが、ProResのエンコード、デコード、HEVCやH.264のデコード(エンコードは従来から搭載されている)などのアクセラレータとなるメディアエンジンの存在だ。

 メディアエンジンはM1 Maxには2基搭載され、8KのProRes RAWを7本同時再生できるとされているが、このスループットはMac ProにAfterburnerを搭載した時より高い。M1 Proは半分の能力とはいえ、4Kの映像であれば画素数は1/4となるため十分だ。

 実際にアプリケーションを使っていると、FinalCut Pro、Adobe Premire Proといった動画編集アプリケーションが、8K ProResの編集で軽快に動くのだから恐れ入る。同時に走らせるアプリケーション次第だが、単に動画編集するだけならば、メモリも16GBのままでも大丈夫だろう。

 しかしM1 Pro(Maxも含め)が本領を発揮するのは、より大きな規模のメディア製作のアプリケーションを使いこなす場合となる。共有メモリーアーキテクチャがより活きるのは、大きなメモリープールに高品位なメディアデータを置き、CPU、GPU、NPUなどを総動員して処理する場合だからだ。

 今後、より深掘りしていくごとに明らかになるだろうが、より多くのデータを扱うアプリケーションでは、ベンチマーク以上にパフォーマンスの向上が見られるだろう。

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