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車高と群制御技術に強みがあるAI最適化AGV・Kagheloを開発

論文でわかっていても社会実装されないAIのハード面実装を進めたい。TRUST SMITHの挑戦

高さ17.5センチにもできる無人搬送車Kaghelo

 創業3年目で潤沢とは言えないリソースの中、TRUST SMITHが力を入れている事業の一つにAGV(Automatic Guided Vehicle:無人搬送車)がある。下図がその外観とスペックだが、他社製品と比べて異なるのはその車高と群制御技術だ。

 まず前者について、TRUST SMITHのKagheloは最小175mmまで低くすることができ、幅広い現場での作業に適応するという。

 「現場の状況に応じて、オーダーメードでAGVを設計できるというところは弊社の製品の強みです。積載する物の荷重や、もぐりこまなければならない低さなどはクライアントによってすべて異なる。路面に何センチの段差があるといった場合もオーダーメード対応させていただきます」(堂本氏)

Kaghelo

 後者については、工場や倉庫に複数台~数100台規模でAGVを導入する際、互いに干渉しあって接触や回避など効率が下がってしまうことがある。TRUST SMITHは独自のアルゴリズムによってAGV同士の通る経路を最適化する群制御アルゴリズムを開発しており、大規模な導入にも対応することができる。

 下図は群制御シュミレーションについて、最適化を実施した場合とそうでない場合のタイムステップの比較となる。各AGVのIDが、スタート地点であるS(ブルーのブロック):荷物ピックアップ地点からゴールとなるG(ピンクのブロック):荷物デリバリー先地点までで、タイムステップ数が減っているのがわかる。

群制御シュミレーション(割当をランダムに行った場合)

群制御シュミレーション(割当の最適化を行った場合)

 このような最適化については、自動運転車によるソリューション開発を専門に行うグループ企業による複数のプロジェクトからのフィードバックもKagheloの自律走行に活かされているという。

 「論文ベースでできるとわかっているが、社会実装されてない技術というものは結構あります。弊社としてはこの世にまだ製品として存在してない技術の実装というところに力を入れています。自社で足りないところはTLOや各大学の研究室から支援を頂くこともあります。例えば倉庫内などでのAGV群制御は今非常にホットなトピックになっています。弊社独自で持っている最適化アルゴリズムを用いて、複数台のAGVを群制御するところを積極的に開発しています。すでに、ランダムに配送する場合と比べて35%ほど経路長の削減ができることが判明しています。競合優位性をしっかり出していくにはこのようなコアな技術を導入するのが必要だと思っています」(堂本氏)

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