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自動運転の基礎 その34

ホンダが自動運転の実証実験で本気のビジネスを目指す

2021年09月26日 15時00分更新

 ホンダが2021年9月より、栃木県宇都宮市・芳賀町において自動運転技術に関する実証実験を開始すると発表した。その目的は「ホンダと、GMクルーズホールディングスLLC(以下、クルーズ)、そしてGMの3社共同で展開予定の、日本における自動運転モビリティサービス事業に向け自動運転技術に関する技術実証」だという。

 この発表で注目してほしいのは、ただの自動運転技術の実証実験ではないというところだ。その研究の先に「日本における自動運転モビリティサービスの展開」を予定している。また、目標が決まっていることもあるためか、役割分担がすでにハッキリとしているのも特徴的だ。

 その分担で言えば、今回の9月からの技術実証は、ホンダとクルーズが担当する。クルーズはGMの子会社であり、2020年にはアメリカでの完全無人公道走行を成功させており、カリフォルニアでは年間77万マイル(120万㎞)を超える自動運転走行実績を達成している。世界的にも自動運転技術開発のトップクラスという存在だ。ホンダも自動運転技術を開発していたが、それでも他社と組むというのだ。プライドをかなぐり捨ててでも成功させたいという強い意欲が感じられる。

2018年にホンダとクルーズ、GMの3社が自動運転技術開発の協業に合意。本田技研工業株式会社 代表取締役副社長の倉石誠司氏とダン・アマンGM社長(当時)

日本における自動運転モビリティサービスの運営を予定するホンダモビリティソリューションズ社長の高見 聡氏

 そして、将来のビジネスはホンダが2020年2月に新設した、ホンダモビリティソリューションズ株式会社が担当するという。わざわざ運営のための新会社を用意するところにも、ホンダの本気度が感じられる。先の見えない技術開発ではなく、しっかりとしたロードマップが用意されているのが、今回の実証実験の特徴だ。

 計画では、9月より「地図作成車両」により、独自の高精度地図データを作る。その後、GMのBoltをベースにした自動運転車両「クルーズAV」を用いての公道走行を実施。これにより日本の交通環境や交通ルールにあわせた自動運転技術を開発してゆく。そして、最終的には自動運転モビリティサービスの専用車種である「クルーズオリジン」での運用を目指すというのだ。この「クルーズオリジン」は、車内に運転席はなく、乗客は前後向かい合わせのシートに着席する。つまり自動運転レベル4以上の専用車だ。

実証実験に利用されるクルーズAV。GMのBoltをベースにした自動運転車両だ

本格的な実証実験と開発に先立ち、詳細な地図を作るための地図作成車

 無人運行によりコストを下げることや、オンデマンドでの柔軟な配車対応などを実現することで、既存の交通システムの空白地帯を埋める存在を目指すという。具体的に言えば、電車やバスといった公共交通よりも柔軟に利用でき、自家用車やタクシーといった個別の車両での移動よりも安いというわけだ。

 この計画は、2018年10月に発表された、ホンダ、クルーズ、GMの3社の協業合意をスタート地点とする。そこから3年後となる2021年に実証実験をスタート。そして、ホンダモビリティソリューションズでは、サービスの実施は2020年代半ばをターゲットにしているという。歩みはゆっくりとしたものだが、確実に前進するような強さを感じさせる。2020年代半ばといえば、あと3~5年後くらい。長いように思えるが、意外と過ぎてしまえばあっという間と感じるはず。開発の着実な進歩に期待したい。

レベル4の自動運転の専用車種として開発される「クルーズオリジン」

筆者紹介:鈴木ケンイチ

 

 1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。

 最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)。


 
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