SUPER GT第5戦は何度失敗しても諦めなかったスバル「BRZ」が今シーズン初勝利!
予選はSUBARU BRZが今季3度目のポール!
SUPER GT第5戦が9月11~12日に宮城県のスポーツランドSUGOで開催され、GT300クラスは61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTが待望の今季初勝利を飾った。
昨年はコロナ禍の影響でスケジュール変更があったことにより、開催が実現しなかったSUGOでの1戦。2年ぶりにSUPER GTが東北にやってくるとあり、週末は人数制限など感染防止対策を施しながら、いつもと変わらないような熱気に包まれていた。
そんな中、このSUGO大会でも予選から速さをみせたのが、61号車のSUBARU BRZ。すでに第2戦富士、第3戦鈴鹿と予選でポールポジションを獲得しているが、ここでも同じように“まずは予選で速さをみせる”という戦略で、Q1の井口卓人、Q2の山内英輝が他を圧倒する走りを披露。最終的に2番手に対して0.353秒もの大差をつけ、今季3度目のポールポジションを獲得した。
しかし、61号車陣営にとっては、予選ポールポジションはあくまで通過点。今シーズンは予選で速さを見せていても決勝でポジションを落としてしまうことが多く、特に前回の鈴鹿大会ではそれが顕著に現れてしまった。
短いインターバルの間にもテスト走行を実施し、その中で試行錯誤を重ねてきたという61号車。ドライバー2人も予選後の記者会見では、すでに“決勝に向けてどうするか”ということに意識がいっていた。
予想外に気温と路温があがった決勝日
迎えた日曜日の決勝レース。9月に入ったものの、気温29度、路面温度46度、予想を上回る暑さとなった。このコンディションが、波乱を呼ぶ展開になるかもしれないと、グリッドでは各チームが戦々恐々としていたが、61号車はスタートから力強い走りをみせた。
スタートドライバーは井口が担当。トップで1コーナーを通過すると、そのまま少しずつではあるが、後続との差を広げていった。ちょうど2番手以下が接戦のバトルをしていたこともあり、61号車はさらにリードを広げ、20周目終了時点で、その差は6秒となった。
井口はそのまま安定したペースを披露し、37周目にピットイン。山内にステアリングを託す。
ピットストップを終えた車両の中ではトップで復帰した61号車。順調にチェッカーに向けて周回を重ねていた。しかし、予想外なことが起きるのがSUGOでのレース。後半に入ったところでGT500クラスの19号車 WedsSport ADVAN GR Supraが炎上し、コース脇にストップ。ドライバーは無事だったが、事態収集のためセーフティーカーが導入された。
この時点で61号車は、後続に対して5秒近いリードを築いていたが、セーフティカー導入により、その差はリセットされることに。54周目にレースが再開されると、55号車 ARTA NSX GT3を駆る佐藤 蓮が、ここぞとばかりに勝負を仕掛けた。
途中、接近戦の中で接触があり、61号車のリアパーツが一部破損したが、山内はそこからライバルを引き離していく走りを披露。最終的に11秒ものリードを築いて、悲願のトップチェッカーを受けた。
61号車が優勝するのは、2018年の第6戦SUGO以来。この3年間は試行錯誤を繰り返してきたが、それが結果に結びつかず歯がゆい思いを何度もしてきた。しかし、チーム・ドライバーともに諦めずに挑み続け、ついに勝利を手にした。3年ぶりの勝利をドライバーのふたりは以下のように振り返った。
井口選手「ホッとしています。新型のBRZがデビューして“予選ではポールポジションを獲れるけど、決勝は……”と周囲に思われていて、正直、日曜日に朝起きるのがすごくキツかったです。でも今回、チームとタイヤメーカーさんが色々用意してきてくれた結果がこのように表れて、ようやく新型BRZの強さを見せられました。スタートラインに立てたなというホッとした思いが強いです」(井口)
山内選手「本当にホッとしています。チームがすごくいい働きをしてがんばってくれたおかげで、決勝も強いマシンで走れたので、そこが今回の一番良かった点かなと思います。でも、勝ったからといって終わりではないと思いますし、ここからもっともっと気を引き締めて、チャンピオンに向けてがんばっていかなきゃいけないと思うので、今日ダメだった部分をしっかりチームと話をして、より強いBRZを見せられるようにがんばっていきたいと思います」(山内)
これで、61号車の井口/山内組はランキングトップに浮上。前半戦は思うようにポイントを稼げない部分もあったが、今回の勝利で一気にチャンピオン争いに名乗り出ることとなった。
次戦、第6戦オートポリスは、彼らも事前テストを行なうなど準備は万端。残る3戦は間違いなく目が離せない1台となりそうだ。
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