楽想で音楽を構築するという印象のマッキントッシュ
ヘッドホンにハウジングにアサダ桜を用いたオーディオテクニカの高級機「ATH-AWAS」をチョイスしました。このモデルは53mm径の専用ドライバーによる高忠実度なユニットとD.A.D.S.(ダブルエアーダンピングシステム)構造による豊かな低域が魅力のヘッドホン。また、標準ヘッドフォンジャックのケーブルのほかバランス端子のケーブルも付属します。
ソース機器にアキュフェーズのSACDトランスポート「DP950」とD/Aコンバーター「DC950」の組み合わせを用いて試聴することにしました。
また比較用として、1曲ごとにアキュフェーズのプリアンプ「C3850」の標準ステレオジャックの音も聞いてから、マッキントッシュに切り替えて実施しました。
ソースはステレオサウンド社から発売されている「STEREO SOUND REFERENCE RECORD VOL.1」(CD)と「ボビノ座のバルバラ・リサイタル'67」(SACD)の2枚をチョイスしました。
まずは標準ステレオジャックでアキュフェーズとマッキントッシュを比較。MHA200のボリュームを上げていくのですが、センタークリックのある部分まではほとんど音が聴こえず。ですが、センタークリックを過ぎた途端、ボリュームの可変幅が大きく(すぐ音が大きくなる)、ボリュームは12時と1時の間から1時寄りあたりがベストポジションとして試聴をしました。出力インピーダンスは32Ωに設定。
アキュフェーズが規則正しい拍で音楽を構築するのに対し、マッキントッシュは楽想で音楽を構築するという印象。しっかりとした土台の上で、朗々と奏でる「いかにもマッキントッシュ」らしい音世界で、聴いていて安心しますし、いつまでもその世界に浸っていたくなります。シャンソン歌手バルバラの声の艶、歌劇「ユグノー教徒」:“ピフ、パフ”のサミュエル・ラミーの張りのある声の再現は実に見事で、一気にその音世界に惹き込まれます。ヘッドホンリスニングというと、ややハイ上がりで長時間リスニングでは辛さを覚える時があるのですが、マッキントッシュMHA200にその傾向はまったく見当たりません。
バランス接続に切り替えると、情報量やスケール感が増した印象。ジュゼッペ・シノーポリが指揮する歌劇「マクベス」:前奏曲は、オーケストラの空間感が明瞭になるばかりか、細かなノイズや案騒音が明瞭に聴こえるほど。バルバラのライブも観客の拍手が増えたかのよう。こういった音をスピーカーで出すのは難しく、実際これらの音楽は普段スピーカーで聴いているのですが、ヘッドホンでないと聴こえない音があったのか、この音のバランスでスピーカーを再調整しないと、などと、試聴しながら自宅のオーディオについて反省した次第です。
長時間リスニングに好適なので、音楽鑑賞はもちろんのこと、Zoom会議も苦にはならなそう。いつものテレビ会議もMHA200なら声がイイから退屈にならないかも!? などと思ったり。趣味性の高いデザインに音の良さ、マッキントッシュの管球式ヘッドホンアンプ、要チェックです!
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