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暗渠や電線の愛好家やアーティストらが参加

墨田区の潜在的な魅力を掘り起こし観光振興に繋げる「すみだメタ観光祭」、参加者を募集

2021年08月24日 19時00分更新

すみだメタ観光祭ロゴマーク

 メタ観光推進機構は8月24日、墨田区や墨田区観光協会、アートプロジェクト「隅田川 森羅万象 墨に夢」と連携し、「メタ観光」の開発と振興を目的とする「すみだメタ観光祭」を9月に開催すると発表した。本事業はウィズコロナに対応した文化資源の高付加価値化促進事業(文化庁委託事業)。

 墨⽥区は、世界的に注⽬されている葛飾北斎ゆかりの地であり、向島百花園、旧安⽥庭園、向島花街等の、江⼾からの⽂化資源に加え、ユニークな個性も多く存在する地域で、メタ観光が主唱する多層レイヤーの宝庫という。しかし一方で、国内・インバウンドともに東京スカイツリーへ一極集中し、周辺施設や他の地域への分散が課題となっている。メタ観光祭により、多様な地域の文化資源・魅力を可視化して観光振興に繋げることを目指し、メタ観光マップの作成のほか、ワークショップやシンポジウムを通じて、地域との協働、共創、人材育成を実現していく。ロゴマークは、グラフィックデザイナーのおおうちおさむ氏が手掛けた。

■グラフィックデザイナー紹介

おおうちおさむ

おおうちおさむ
アートトディレクター/グラフィックデザイナー nano/nano graphics 代表
 1971年生まれ。多摩美術大学美術学部グラフィックデザイン学科卒。(故)田中一光に師事し、2003年7月7日にナノナノグラフィックスを設立。平面と空間の相乗効果を創作の軸に置き、グラフィックからスペースデザインまで幅広い活動を展開。展覧会、店舗、書籍、C.I.を中心に活躍中。現在開催中の千葉市初の芸術祭『千の葉の芸術祭 CHIBA FOTO』のアートディレクターを務める。

事業1:メタ観光マップの作成

■メタ観光データベース整備
 本事業では、インターネット上の公開情報を元に、位置情報に基づくレイヤー(層)のデータベースを作成する。文化財、近代建築、浮世絵、老舗、テレビロケ地、アニメ聖地、インスタ映えスポットなど、多様な価値をレイヤー化して緯度経度を軸に地図化する。

■ワークショップ(1)地域の人による魅力の紹介
 また、墨田区に思い入れのある人に地域のいろいろな場所の思い出の写真を持ち寄ってもらい、写真の場所を地図に示しながら、それが撮られた際の個人的な思い出・物語を文章に書き起こして相互に共有し合うワークショップを実施する。思い出が詰まった昔の写真をきっかけに、墨田区の「昔」や「今」を語り合いながら、知っていたけど知らなかった地域の魅力をメタ観光資源にする。

「写真で紡ぐ街の物語ワークショップ in すみだ」実施概要

開催日:10月24日13時~16時30分(予定)
内容:地域の写真を持ち寄り、その写真に込められた思い出・物語を語りながら文章化し、地域の魅力を発見していく。
参加者:墨田区内で撮影された昔の写真または今の写真を持参できる人
参加費:無料
参加条件:墨田区内で撮影された写真を持参し、その写真に関連した思い出・物語を共有できる人
参加方法:公式サイトからワークショップの応募フォームに記入
※応募者多数の場合には抽選にて参加者を決定。
定員:15名
開催場所:墨田区みどりコミュニティーセンター(東京都墨田区緑3-7-3)

■モデレーターの紹介

森隆大朗

森隆大朗
(日本ユニシス ソーシャルインパクトプロジェクトディレクター)
 日本ユニシス入社後、2013年に内閣官房に出向し、オープンデータ等の国のIT戦略推進に従事。2016年に帰任しAI企画室長、総合技術研究所上席研究員を歴任し、2020年より現職。プライベートの活動として、愛媛県今治市で地域活性化を目的にまちの現在と昔とを写真でつなぐ「今治今昔写真プロジェクト」のイベント主催やFacebookグループのファシリテーターを行なっている。

■ワークショップ(2)専門家による地域の魅力の発掘
 専門家を招き、新たな街の魅力を掘り起こす視点のレクチャーを受けながら、地域の人たちが専門家と一緒に地域の魅力を見つけていくワークショップを実施。ワークショップを通して、メタ観光的視点を持つ人材育成にも繋げていく。

ワークショップ実施概要

開催日:10月17日13時~16時30分(予定)
内容:各講師のレクチャー(30分×3名)+街歩き実地調査(70分程度)、宿題として参加者による写真提出(提出は2週間後)
※提出した写真は地図にレイヤーとして掲載する。
参加者:墨田区在住在勤在学または墨田区を好きな人
参加費:無料
参加条件:撮影した写真+位置情報+タイトルなどをメタ観光マップに提供できる人、70分程度の街歩きが可能な人
参加方法:公式サイトからワークショップの応募フォームに記入。
※応募者多数の場合には抽選にて参加者を決定。
定員:30名(街歩き実地調査時に選択する講師ごとに10名を募集)
開催場所:ユートリヤすみだ学習生涯学習センター(東京都墨田区東向島2-38-7)

■専門家の紹介(五十音順)

暗渠マニアックス

暗渠マニアックス
 暗渠を偏愛する吉村生・髙山英男のユニット。郷土史を中心に細かな情報を積み重ね暗渠をじっくり掘り下げる(吉村)、俯瞰と分類をベースに広い間口で暗渠を捉えていく(髙山)、という複合アプローチで著述やイベントを展開中。共著に『まち歩きが楽しくなる水路上観察入門』(KADOKAWA)、『暗渠パラダイス!』(朝日新聞出版)、『暗渠マニアック!』(柏書房)など。

石山蓮華

石山蓮華
 1992年生まれ。電線愛好家としてメディアに出演するほか、日本電線工業会スペシャルコンテンツ監修などを務める。俳優として映画『思い出のマーニー』、短編映画『私たちの過ごした8年間は何だったんだろうね』主演、NTV「ZIP!」レギュラー、旭化成「サランラップ」CMなどに出演。文筆家として「電気新聞」「月刊電設資材」「ウェブ平凡」などに連載。初の書評エッセイ集『犬もどき読書日記』(晶文社)発売中。

ドンツキ協会ロゴ

齋藤佳(ドンツキ協会・会長)
 地元墨田区北部・向島エリアで、まちに数多く存在する行き止まりの道、すなわちドンツキをまちの個性として捉え、その観察・研究また表現活動により、ドンツキと徹底的に向き合い、関わり合いながら、ドンツキの地位向上に努めることを主旨としています。ドンツキを巡るツアー「ドンツキクエスト」のほか、ドンツキを活用したイベントを不定期に開催。「タモリ倶楽部」「アド街ック天国」ほかテレビ・新聞・ラジオ等にも多数出演。

■アーティストによる地域の魅力の発掘
 4名のアーティストによる墨田区をテーマにした作品制作・ワークショップを実施。街の新たな魅力付けとして制作された作品やワークショップの成果をレイヤーとして地図に表示する。

■アーティストの紹介
(1)作品制作(五十音順)

大村雪乃

大村雪乃
 1988年生まれ。東京在住多摩美術大学在学中に文房具の丸シールで夜景を表現する絵画を発表し、素材の意外性とビジュアルの美しさで2012年Tokyo Midtown Awardにて受賞。以降美術家として活動を開始。銀座三越、高崎市美術館、ウッドワン美術館などで個展を開催し毎年多くの作品を発表している。MBS制作『プレバト!!』の丸シールアート査定の先生として出演し多くの人に表現する楽しさを伝えている。

果無夏子(はてなし なつこ)

架空荘(果無夏子)
 日本生まれ。1歳から6歳までロンドンで育つ。2015年頃から「日本人が懐かしく切ないと感じる情景ポートレート」をテーマに、ノスタルジーを感じる場所での女学生のポートレート作品の創作を始める。確かに存在するこの日本人独特の感覚に着目し、世界には知られてはいないこの感覚を世界の様々な人にも知ってもらうべく、SNSにて様々な言語で発信。時に応じて、被写体・カメラマン両方を担う。写真集販売を中心に活動中。

本城直季

本城直季
 1978年、東京都出身。東京工芸大学大学院芸術研究科メディアアート修了。大判カメラのアオリを利用して、都市の姿をジオラマのように撮影する独特の表現で知られる。まるでミニチュアの世界のような感覚を想起させる作品は、この世界の実在と虚構を問いかける。また俯瞰された作品は様々な地域を通して街や人の営みを見詰めている。現在、「(un)real utopia本城直季」展を各美術館で巡回中。

(2)ワークショップ開催

鈴木康広

鈴木康広
 日常の見慣れた事象に新鮮な切り口を与える作品によって、ものの見方や世界のとらえ方を問いかける活動を続けている。代表作に《まばたきの葉》《ファスナーの船》《空気の人》など。「第1回ロンドン・デザイン・ビエンナーレ2016」に日本代表として出展。2020年、《渋谷の方位磁針|ハチの宇宙》が宮下公園に恒久設置される。現在、十和田市現代美術館にて屋外彫刻作品《はじまりの果実》を出展中。武蔵野美術大学教授、東京大学先端科学技術研究センター客員研究員。

ワークショップ実施概要

開催日:10月9日13時~16時(予定)、10月31日15時~18時(予定)の2回開催
※両方の回に出席する必要がある。
内容:街中で発見した「見立て」を集めて、すみだの街をこれまでとは違った切り口で楽しめる「見立て観光地図」を制作する。ワークショップ参加者は「見立て」の視点を座学や街歩きで学び、後日自分たちで街中の見立てを作品として撮影してくる。それを皆んなで講評しながら地図に掲載していく。
参加者:墨田区在住在勤在学の人、または墨田区を好きな人
参加費:無料
参加条件:撮影した写真+位置情報+タイトルなどをメタ観光マップに提供できる人、ワークショップに2回とも参加可能な人
参加方法:公式サイトからワークショップの応募フォームに記入
※応募者多数の場合には抽選にて参加者を決定。
定員:15名
開催場所:10月9日 ユートリヤすみだ生涯学習センター(東京都墨田区東向島2-38-7)  10月31日 すみだ産業会館 会議室1・2(東京都墨田区江東橋3-9-10)

事業2:メタ観光マップの活用

■メタ観光を楽しむモニターツアーの実施
日時:11月中下旬の土日祝日(予定)
内容:作成したメタ観光マップを元に、キュレーター・ガイドがツアーコースを作成して案内するモニターツアーを実施。日本人向けと在留外国人向けの2つのツアーを開催する。
参加者:墨田区在住在勤在学の人、または墨田区を好きな人
参加費:無料
参加条件:アンケートへの回答とモニターツアーの撮影
ツアーガイドパートナー:ノットワールド
備考:実地日時や参加方法など詳細は後日で発表予定

■メタ観光マップ完成報告会の開催
日時:12月4日14時~16時
場所:すみだ産業会館ホール(東京都墨田区江東橋3-9-10 墨田区・丸井共同開発ビル8・9階)
定員:200人
参加費:無料
参加方法:後日発表予定
出演者:参加専門家、アーティスト、キュレーター、墨田区、墨田区観光協会、「隅田川 森羅万象 墨に夢」実行委員会事務局ほか
内容:完成したメタ観光マップの紹介や今後の墨田区のメタ観光の可能性について
備考:オンライン配信対応を予定

■キュレーターの紹介

橋本麻里

橋本麻里
 日本美術を主な領域とするライター、エディター。永青文庫副館長。金沢工業大学客員教授。新聞、雑誌への寄稿のほか、NHKの美術番組を中心に、日本美術を楽しく、わかりやすく解説。著書に『美術でたどる日本の歴史』全3巻(汐文社)、『京都で日本美術をみる[京都国立博物館]』(集英社クリエイティブ)、共著に『SHUNGART』『原寸美術館HOKUSAI100!』(共に小学館)等多数。

皆川典久

皆川典久(東京スリバチ学会会長)
 2003年に東京スリバチ学会を設立、凹凸地形に着目したフィールドワークで観察と記録を続けている。2012年に『凹凸を楽しむ東京「スリバチ」地形散歩』(洋泉社)を上梓、町の魅力を発掘する手法と取組みが評価され2014年に東京スリバチ学会としてグッドデザイン賞を受賞した。タモリ倶楽部やブラタモリなどのTV番組に出演。2020年には昭文社『東京23区凸凹地図』を監修、『東京スリバチの達人・分水嶺北部編/南部編』を同時出版。

■すみだメタ観光祭参加作品展
期間:12月4日〜12日
場所:すみだ北斎美術館MARUGEN100 (講座室)
入場料:無料
内容:メタ観光祭で制作された作品を展示
備考:詳細は後日発表予定

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