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4KではFPSの向上が絶大!「AMD FidelityFX Super Resolution」の効果を大検証

2021年08月03日 11時00分更新

第2世代Maxwellでも効く懐の深さ

 FSRはオープンな技術であり、特定のハード(GeForceにおけるTensorコア等)に依存しない。この点はDLSSにはない決定的な強みといえる。実際AMD自身もFSR発表時にPascal世代のGTX 1060でGodfallを動かし、FSRでフレームレートが伸ばせることを示した。

 そこで今回はPascalよりもさらに1世代前、第2世代MaxwellベースのGeForce GTX 970カード(ASUS製「STRIX-GTX970-DC2OC-4GD5」)を用意し、実際にFSRが効くか試してみた。時間の関係上フルHD限定の計測となる。

「The Riftbraker」GTX 970、1920×1080ドット時のフレームレート

「Anno 1800」GTX 970、1920×1080ドット時のフレームレート

「Godfall」GTX 970、1920×1080ドット時のフレームレート

 Godfallでは設定が重すぎた(かつ実質3.5GBのVRAMではGodfallに不向き)のかFSRの効果はあるようには見えない。だが、The RiftbrakerやAnno 1800の平均フレームレートは最大162%/179%(いずれもFSRオフ時に対するPerformance設定時)の伸びを示している。

 旧世代のGPUではFSRの効きに制限があるのではないか、という疑問に関してはGitHubに置かれているFSRの公式資料にヒントがあった。現時点におけるFSRの処理はGPUのFP16演算を利用して処理性能を稼いでいるが、FP16をサポートしない旧世代GPUではFP32で演算することもできる。当然FP32を使う場合パフォーマンスは低下する。

FSR公式解説スライドには、FSRはFP16を使うことでベストなパフォーマンスが出るが、旧世代GPUでFP32で処理した場合は性能は犠牲になると明言されている

RadeonであればPolaris世代、GeForceならPascal世代より前がFP32での処理になる。まRTX 30シリーズのFP16には注記があり、DirectX 11でFP16を使ったFSR処理をした場合、ドライバーの不具合により画像が乱れるという。ただしDirectX 12/Vulkanではこの限りではない

ビデオカードが買えない今だからこそ活きる素晴らしい技術

 今回のFSR検証はここまでだ。今回はディスクリートGPUに対しての検証だったが、ごく一部の例外(RTX 3080とGodfallにおけるフルHDやWQHD時)はあったものの、GPUの設計を超えて利用でき、画質の損失をともなうもののフレームレートに強いブーストがかかることも確認できた。

 個人的にはフルHDでの運用はやや厳しい印象だが、4Kでは絶大な効果が得られる。一番の問題は今FSRが使える(あるいは使える予定の)ゲームの中で“誰もが知っている”タイトルが極めて少ない点だが、これは時間の問題だろう。まだ内蔵GPUとFSRを組み合わせた場合のパフォーマンスについての検証が足りないが、それに関しては8月に投入が予告されている「Ryzen 5000Gシリーズ」登場以降に回すこととしたい。

 FSRとDLSSどちらが優れているかという点についても気になるところだが、本稿執筆時点ではFSRとDLSS両方に対応したゲームがなかったため、比較は見送った。ただ本稿を提出した後で「Marvel's Avegngers」や「Necromunda: Hired Gun」のFSR/DLSS両対応がアナウンスされた。両者の画質比較に関しては後日の課題としたい。

 FSRはここ5年程度に登場したGPUであれば種類を問わない点において、値千金の輝きを放っている。今後アルゴリズムの改善でボケ感が軽減されればさらに有用度は増すことになるだろう。フレームレート向上効果はもちろんだが、PC(やゲーム機)の消費電力や発熱低減としても利用できるため、今後の発展には大いに期待したい。

(提供:AMD)

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