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NVIDIA Reflexでシステムレイテンシーを短縮

第11世代Core対第4世代Ryzen!ゲームの操作遅延が短いのはどっち?

2021年06月24日 11時00分更新

「Overwatch」ではCore i5-11600Kがやや劣勢

 今年4月にReflex対応を果たしたタイトル「Overwatch」でも試してみた。画質は「エピック」とし、レンダースケールは100%に固定した。射撃場に入ってすぐの場所で同一キャラクター(ソンブラ)を使って、500発射撃した時のシステムレイテンシーを計測した。計測ポジションにおけるフレームレートはどのCPUも90fps前後で極めて安定していた。

Overwatchはの検証シーンはこちら

 まずは各条件におけるデータの出方を散布図でご覧いただこう。

第11世代Coreプロセッサー、Reflex有効時におけるシステムレイテンシー実測値の散布図

第11世代Coreプロセッサー、Reflex無効時におけるシステムレイテンシー実測値の散布図

第4世代Ryzen、Reflex有効時におけるシステムレイテンシー実測値の散布図

第4世代Ryzen、Reflex無効時におけるシステムレイテンシー実測値の散布図

 Reflex有効時は無効時に比べて点の集団が下方に移動していることはすぐわかるが、CPU間の差はないように見える。強いて言えば、どの図においても点が上下に散らばる傾向が強く、点の集合の境界線がボケているような印象を受ける。それだけ観測されたレイテンシーに散らばりが多いということだ。

 このデータを元に、システムレイテンシーをヒストグラム化したのが次のグラフだ。

Overwatchにおけるシステムレイテンシーのヒストグラム

 どの条件の山も裾野が広く、最頻値を頂点とした正規分布に近い分布になった。まず目につく点は、Reflex有効時と無効時の山の出方の違いだ。Reflex有効時のほうが無効時よりも全体的に山が下側に動いており、レイテンシーが短くなっている。先に検証したRainbow Six SiegeやVALORANTよりも山の移動量が大きく、目に見えてわかりやすい結果となった。

 次に肝心のCPUによる差だが、こちらは微妙な感じだ。第4世代Ryzenは10ms以上〜15ms未満の区間にデータが数個入っているが、500回の試行中8回や6回という頻度(2%未満)は無視しても良い程度とも言える。

 では、今回の計測で得られたデータから平均値などをまとめてみよう。

Overwatchで500回射撃した際のシステムレイテンシーの概要

 500回試行の平均値に注目すると、Reflex有効時は無効時に比べ、どのCPUでも8ms程度のシステムレイテンシー短縮が観測できた。しかしながら、CPUの差異は大きくない。強いて言えば、第4世代Ryzenが平均28.65〜28.71ms程度なのに対し、第11世代Coreプロセッサーは平均29.44〜29.77msと、第4世代Ryzenのほうがわずかに良い結果を出せている。ただし、ディスプレーの応答速度(1ms)並みの差でしかない。

 この平均値の差が統計的に意味があるのかどうかをt検定で有意差判定したマトリクスを見てみよう。

Overwatchで得られた検証データに対し、t検定(有意水準は両側5%)を行った時のマトリクス

 横軸のRyzen 7 5800X+ReflexとRyzen 5 5600X+Reflexから下方向へ目を向けて見ると、水色の○マスが連続している部分が多いということは、交差する左の縦軸の条件はシステムレイテンシーが大きいことになる。Core i5-10600Kと比べれば、Reflex有効時どうしでも第4世代Ryzenは統計的にシステムレイテンシーが有利ということになる。

 一方で、Core i9-11900Kは善戦している。Core i9-11900K(ABT)+ReflexおよびCore i9-11900K+Reflexから右方向に目を向けると、ピンク色の○マスと×マスが交互に出現している。これは対決するCPUがReflex無効時なら文句なくシステムレイテンシーが短くなり、Reflex有効時どうしでも同等のシステムレイテンシーが期待できることを意味する。

 しかし、Reflex無効時のCore i9-11900K(ABT)はCore i5-11600Kに対して有意な差がなかった。Overwatchにおいては、ABTの効果が発揮できていないと言える。

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