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NVIDIA Reflexでシステムレイテンシーを短縮

第11世代Core対第4世代Ryzen!ゲームの操作遅延が短いのはどっち?

2021年06月24日 11時00分更新

Core i9-11900KのABTの効果もテスト

 改めて今回の検証の目的は、GeForce RTX 2060搭載グラボを使った場合、どのCPUを用いた環境でシステムレイテンシーが短くなるのかを調べることにある。1世代前のRTX 2060を使った理由は、システムレイテンシーはGPUの処理が間に合わなくなる(GPUバウンド)状態に時に発生しやすいからだ。そのため、ハイエンドGPUよりも性能が控えめなGPUのほうが都合が良く、そういったGPUほどReflexの効果が得やすい。メモリーやストレージなどの要素は極力同じものを使用した。

 CPUの最大動作クロックはインテル側が若干高いが、コア数は8コアないし6コアな点はAMDも同じだ。さらに、Core i9-11900Kに関しては「Intel Adaptive Boost Technology」(以下、ABT)利用時と非利用時のデータも取得した。また、インテル側のマザーボードはゲームのレイテンシーを低減するとされる機能(Lightningゲームポート、CPUダイレクトソースLAN)を備えるASRockの「Z590 PG Velocita」を使っているが、Ryzen向けで同等の機能を搭載したマザーボードが検証時点では存在しなかったため、それらの機能は使用していない。

検証環境:インテル
CPU インテル「Core i9-11900K」(8C/16T、最大5.3GHz)、インテル「Core i5-11600K」(6C/12T、最大4.9GHz)
CPUクーラー Corsair「iCUE H115i RGB PRO XT」(簡易水冷、280mmラジエーター)
マザーボード ASRock「Z590 PG Velocita」(インテル Z590、BIOS 1.30)
メモリー G.Skill「Trident Z RGB F4-3200C16D-32GTZRX」(DDR4-3200、16GB×2)×2
グラフィックス NVIDIA「GeForce RTX 2060 Founders Edition」
ストレージ Corsair「Force Series MP600 CSSD-F1000GBMP600」(NVMe M.2 SSD、1TB)
電源ユニット Super Flower「LEADEX Platinum 2000W」(80PLUS PLATINUM、2000W)
OS Microsoft「Windows 10 Pro 64bit版」(October 2020 Update)
検証環境:AMD
CPU AMD「Ryzen 7 5800X」(8C/16T、最大4.7GHz)、AMD「Ryzen 5 5600X」(6C/12T、最大4.6GHz)
CPUクーラー Corsair「iCUE H115i RGB PRO XT」(簡易水冷、280mmラジエーター)
マザーボード GIGABYTE「X570 AORUS MASTER」(AMD X570、BIOS F33i)
メモリー G.Skill「Trident Z RGB F4-3200C16D-32GTZRX」(DDR4-3200、16GB×2)×2
グラフィックス NVIDIA「GeForce RTX 2060 Founders Edition」
ストレージ Corsair「Force Series MP600 CSSD-F1000GBMP600」(NVMe M.2 SSD、1TB)
電源ユニット Super Flower「LEADEX Platinum 2000W」(80PLUS PLATINUM、2000W)
OS Microsoft「Windows 10 Pro 64bit版」(October 2020 Update)

 また、今回のテストはNVIDIAが開発したシステムレイテンシー計測ツール「LDAT」を使用したが、ディスプレー環境も超高リフレッシュレートモデルが必要になる。そこで、ASUS製フルHDゲーミング液晶ディスプレー「ROG Swift 360Hz PG259QNR」を準備した。RG259QNRはディスプレー単体でシステムレイテンシー計測が実施できる「Reflex Latency Analyzer(RLA)」対応モデルになるが、今回RLAはまったく使用していない。

リフレッシュレート360HzかつG-SYNC、応答速度1msのIPSパネルを搭載したASUSのゲーミング液晶ディスプレー「ROG Swift 360Hz PG259QNR」。姉妹モデル「同PG259QN」との違いは、RLA対応の有無だけ。今回の検証ではPG259QN相当の機能だけを使っている

NVIDIAはReflexをゲーム開発メーカーに採用してもらうにあたり、システムレイテンシーを手軽に計測できるハードを作った。それがこの「LDAT(Latency Display Analysis Tool)」だ。左の小さなボックスがLDAT本体だ。右のロジクール製マウス「G203」の左ボタンと電気的に接続され、クリックの瞬間を検知できるようになっている

LDATはこのようにディスプレー表面に取り付ける。LDATに接続したマウスのクリック、もしくはLDATとUSBケーブルでつながったPCからの指令を検知した瞬間から、LDATの光センサーが反応した時間を計測する

アクションシューティングゲーム「Overwatch」は、レイテンシーフラッシュ機能を有効にすると、発砲が描画されると同時に画面左端に白い四角が描画される。銃口にLDATを合わせるよりも確実に発砲の瞬間を捉えられる。ちなみに、「Rainbow Six Siege」や「Fortnite」も同様の機能を実装している

マウスクリックのシグナルが発せられた瞬間からLDATの光センサーが反応するまでの時間を自動的に読み取るツール。こちらもLDATの一部で、計測用PCであらかじめ動作させておく

各CPUごとにRelfexのあり/なしで500発射撃で検証

 計測データの考察に入る前に、今回のレギュレーションについて説明しておこう。CPU4機種+α(11900K+ABT、11900K、11600K、5800X、5600X)によるシステムレイテンシーの差異を計測するが、各CPUごとにゲーム側でReflexを“有効+ブースト”設定にした時と、Reflexを無効にした時の2パターンを測る。CPUがシステムレイテンシーに影響を及ぼす場合、Reflexを使った時よりも効果があるのか否かも確認するためである。

 そして、各CPUと設定の組み合わせごとに、ゲーム内で銃を500発撃ち、その際のシステムレイテンシーを計測する。もちろん、計測時は同じシーン・同じ銃を使用しているが、背景描写の影響でフレームレートが大きく変動しにくいシーンを選んでいる。

 計測したデータは基本統計量(平均値や標準偏差など)を求めるだけではなく、500回の射撃でどのぐらいのレイテンシーがどの程度発生したかなどの観点で検証を進める。最終的には「t検定」を利用し、統計的に各CPU/Reflex設定間に差はあるのか、またはないのかまで調べることとしたい。

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