第4世代Ryzenがやや有利だった「VALORANT」
続いては、Reflexにいち早く対応したFPSゲーム「VALORANT」で試してみよう。VALORANTとReflexの有用性については昨年のレビューで効果ありと検証したが、今回はCPUの差異も見たいのでもう一度ご登場願うことにする。画質は最高画質設定、マップ「ヘイヴン」のプレイヤー出現地点でマシンガン(オーディン)を500発射撃した時のシステムレイテンシーを計測した。計測地点のフレームレートはどのCPUでも400〜410fpsといったところだ。
まずはシステムレイテンシーの散布図からチェックしてみよう。
ところどころ外れ値のようなものが見られるが、Rainbow Six Siegeの散布図よりもずっとタイトな範囲にまとまっている。なんとなく第4世代Ryzen+Reflexの組み合わせの点の散らばりは、ほかの図よりもわずかに下寄りに安定しているように見える。
続いては、システムレイテンシーの実測値から作成したヒストグラムだ。
Rainbow Six Siegeのヒストグラムよりはキレイな山型になっているが、Reflex有効時と無効時の差が微妙なCPUが見られる。しかし、Core i9-11900K(ABT)とRyzen 7 5800X、Ryzen 5 5600Xに関しては明快で、Reflexを有効にした時のヒストグラムの頂点が下がっている。また、Core i9-11900K(ABT)と第4世代Ryzenのヒストグラムを比べると、Ryzenのほうが頂点(13ms以上〜15ms未満)より下の領域における観測例が多い。
一方、Core i9-11900KおよびCore i5-11600Kは、Reflexを有効にしてもヒストグラムの山の出方に微妙な変化しかない。ただし、ピークの位置がより下側に出現しているため、Reflexの効果はなんとかありそうに見える。
では、このデータをもとに作成した平均値などのデータも見てみよう。
どのCPUにおいても、Reflex無効時に比べて有効時のほうがシステムレイテンシーの平均は小さくなっている。しかし、「どの程度小さくなるか」については、CPUの格の差が出ているように見える。第11世代Coreプロセッサーも第4世代Ryzenも上位のCPUほど、Reflex有効時の平均値が短い。
また、Reflex無効時はどのCPUも平均17ms前後に散らばっているが、第4世代Ryzenについてはどちらも17ms未満なのに対し、第11世代Coreプロセッサーはどれも17msを超えている。この平均値の差に統計的な意味があるのか、t検定を行った結果をまとめてみた。
縦軸のCore i9-11900K(ABT)+Reflexから右に進むとすべてのマスに○が入っており、うち7つがピンクのマスになっている。これはCore i9-11900KでABTとReflexを効かせると、単なるCore i9-11900K+ReflexやCore i5-11600K+Reflexよりもシステムレイテンシーが有意に小さくなったことを示している。
その一方で、横軸のRyzen 7 5800X+ReflexとRyzen 5 5600X+Reflexから下に降りていくと、ほぼすべてのマスが水色で○が入っている。これは第4世代RyzenでReflexを効かせると、第11世代Coreプロセッサーよりもほぼ確実にシステムレイテンシーで下回れることを示している。Rainbow Six Siegeでは第11世代Coreプロセッサーが優勢だったが、VALORANTでは第4世代Ryzenが安定してシステムレイテンシーを下げられるようだ。
ただし、第4世代Ryzen+Reflexがほかの条件に対して得ているシステムレイテンシーの差は、0.5〜2.5msと非常に小さい。前述の通り、テストシーンにおけるフレームレートは400fps超であり、平均フレームタイムは2.5msを割り込む。描画の軽いゲームだけにアドバンテージは極めて小さい。
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