PCの熱が気になる季節が到来! XPGの水冷クーラーで強化する
今年もまた暑い夏がやってくる。夏と言えば、気になるのがPCの冷却。PCを構成する部品は総じて熱に弱く、冷却不足は部品寿命に大きく影響するだけに、しっかりと対策しておきたいところ。今回はXPGの水冷クーラーとケースファンで冷却強化を図った。
CPUに付属の純正クーラー!? 真夏にそんな装備で大丈夫か?
今回のベースとなる構成は以下のとおり。PCケースにADATAのXPG INVADERを利用し、Ryzen 5 5600XとGeForce RTX 3060 Tiを中心に組んだシンプルなゲーミングPCだ。
CPUクーラーには、CPU付属の純正品「Wraith Stealth」をそのまま使っている。メーカーが付属しているのだから一般的な利用法では当然ながら動作に問題はないはず。しかし純正クーラーはあまり放熱性能に余裕を持っていないので、過信は禁物と言える。
今回のベースシステムの環境 | |
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CPU | AMD Ryzen 5 5600X |
マザーボード | MSI「MAG B550 TOMAHAWK」 |
メモリー | XPG GAMMIX D20 DDR4(PC4-25600 8GB×2) |
SSD | XPG S50 lite 2TB |
ビデオカード | GIGABYTE GeForce RTX 3060 Ti GAMING OC PRO 8G |
PCケース | XPG INVADER |
電源 | XPG CORE Reactor 750W |
アドレッサブルRGBで光る「XPG LEVANTE 240」
さて、今回利用する水冷クーラーは「XPG LEVANTE 240」。240mmラジエータに12cmファンを2基搭載した水冷クーラーだ。水冷ヘッドと2基のファンは、XPGお得意のアドレッサブルRGBで光る。
冷却重視の360mmラジエータモデルの「XPG LEVANTE 360」もあるが、今回はシステムがミドルレンジであることやケースの大きさなどを考慮して扱いやすい240mmモデルを選んでいる。
12cmファンの回転速度は可変で、600~2000rpm(±10%)。最大風量は61.5CFMとなっている。独自のユーティリティーなどは付属しておらず、マザーボード標準のファンコントロール機能で動作する。
ASUSTeK/ASRock/GIGABYTE/MSIなどメジャーブランドのマザーボードのアドレッサブルRGB端子に接続すればマザーボードのユーティリティーから制御可能だ。今回はMSIのマザーボードを利用しているので、同社の「Mystic Light」で制御をしている。
「XPG LEVANTE 240」の主なスペック | |
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ファンスロット | 120mm×2 |
ファンサイズ | 120×120×25mm |
ファン回転速度 | 600~2000rpm(PWM) |
ファン風量 | 61.5CFM |
ファン最大風圧 | 1.42 mmH2O |
ノイズレベル | 34.0dB |
ウォーターブロックサイズ | 86×72×36mm |
ラジエータサイズ | 272×121×27mm |
対応CPU | Intel:LGA1200/1366/115x/2066/2011 AMD:Socket AM4 |
保証期間 | 5年間 |
XPG INVADERとXPG LEVANTEの相性は最高で取り付けも容易
純正CPUクーラーからLEVANTE 240への交換はこれが意外に簡単だった。というのもベースPCのPCケース「XPG INVADER」の構造によるところが大きい。
両サイドパネルが手回しネジだけで独立して外れるうえ、マザーボード固定板に大きなメンテナンスホール(CPUクーラー交換作業のためのスペース)が用意されているので、純正クーラーを取り外して水冷ヘッドを装着する作業は、マザーボードを取り外す必要はなく、すんなりと完了する。
ラジエータの固定もスムース。このXPG INVADERでは、ラジエータをマザーボードの横に並べるようにして固定できる(前面ファンを取り外して)ようになっており、この構造もとても作業がしやすかった。
このように設置するとアドレッサブルRGBで光るファンが強化ガラス越しにばっちり見える。同一ブランドだけあって、XPG LEVANTEとXPG INVADERの相性は最高に良い。
純正クーラーと比べるとCPU温度は20度もダウン!
純正クーラーから水冷クーラー(LEVANTE 240)に交換するとどのくらい冷えるのか、交換前と交換後で温度の違いを見てみた。
AIDA64 Extremeで10分間のストレステストを実施し、その間の温度推移を見た。室温は25度、PCケースのサイドカバーは閉じて測定している。
結果は一目瞭然、純正クーラーではテスト実行後すぐに90度以上になり、最大では97度まで上昇したのに対し、LEVANTE 240への換装後は最大77度と20度の低下効果が見られた。
ただ、SSDの最大温度は44度から54.6度に、GPUも最大39度から40度へとごくわずかだが上昇している。純正クーラーはファンのエアフローが周囲に拡散するよう設計されており、特にSSDはCPU直下にあり、標準では純正クーラーからのエアフローがしっかり当たる位置にあることも影響したかもしれない。
ケースファン増強でPCシステム全体のエアフローを強化する!
PCシステムの中には、CPUやGPUのようにアクティブなファンを搭載しているパーツのほかにも、マザーボードのVRM、チップセット、SSDなど、それなりに熱源となっているパーツ、部品がある。
これらはCPUやGPUほど発熱が深刻ではないのでファンを搭載するまでには至っていないものの、発熱が高くなるとサーマルスロットリングによる性能低下が起きる可能性があるし、できるだけ低い温度を保っていたほうが、製品寿命的にもいい。
こうしたパーツも含めて温度を低く保つには、システム全体のエアフローを強化するのが効果的だ。というわけで、今回はXPGの強力なPCケースファン「XPG VENTO PRO 120 PWM」を3基用意。標準のファンと付け替えて吸気を強化した。
Nidecとコラボしたプロ仕様のケースファン
「XPG VENTO PRO 120 PWM」
XPG VENTO PRO 120 PWMは、日本電産(Nidec)とのコラボレーションによって開発された「プロ仕様」モデルだけあって、非常に強力だ。XPG INVADERに標準で1個付属するファン(XPG VENTO 120)とスペックを比べると、最大風量は約1.6倍、最大風圧(静圧)にいたっては、約4.6倍も高い。
エアフロー強化にはこの静圧が効果的とされているだけに期待できる仕様だ。独自のファンブレードデザインと高精度デュアルベアリングの採用により、静音性、耐久性ともに優れる。
XPG VENTO PRO 120 PWM | XPG VENTO 120 | |
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サイズ | 120×120×25mm | 120×120×25mm |
ベアリングタイプ | デュアルベアリング | ライフルベアリング |
コネクター | 4ピン | 3ピン |
回転速度 | 900~2150rpm 450~2150rpm |
1200rpm |
最大風量 | 75CFM | 45.3CFM |
最大風圧 | 3.15mmH2O | 0.68mmH2O |
ノイズレベル | 10~28dB | 23dB |
平均故障寿命 | 6万時間(60度)、25万時間(25度) | 6万時間 |
保証期間 | 5年間 | 2年間 |
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