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「横浜ベンチャーキャピタル ミートアップ ゼロ次会」レポート

投資家から見た横浜は最高の環境? 横浜VCミートアップ開催

2021年08月13日 12時00分更新

 2020年11月13日、横浜・関内にあるスタートアップ成長支援拠点「YOXO BOX」にてトークイベント「横浜ベンチャーキャピタル ミートアップ ゼロ次会」が開催され、オンライン配信された。テーマは「投資家から、横浜はどう写っているのか?」。VC(ベンチャーキャピタル)のリアルな声とともに、投資状況やVCから見たスタートアップ、近い将来の理想像などが語られた。

 2020年7月にスタートアップ・エコシステム拠点都市「グローバル拠点都市」として選定された横浜市では、「YOXO(よくぞ)」をテーマに、スタートアップやオープンイノベーションを産学官の連携で推進している。その拠点となるのが、今回イベントが行なわれた「YOXO BOX」だ。

 イベント冒頭では、横浜市経済局・新産業創造課担当係長の奥住有史氏から「YOXO BOX」の紹介があった。2020年09月に当サイトでアップしたこちら(「横浜ベンチャー支援拠点YOXO BOX 初年度の成果」)の内容をご覧ください。それでは早速、今回のメインインベント、横浜にゆかりのあるVC3人によるパネルディスカッションの内容をお届けしよう。

 登壇者は、ライフタイムベンチャーズの代表パートナーでYOXOメンターの木村亮介氏、イークラウド株式会社の佐々木瞭氏、株式会社ANOBAKA(登壇時:株式会社KVP)の中縁嗣氏、そして、行政の代表として冒頭で「YOXO BOX」を紹介した奥住有史氏だ。(以下、敬称略)

VCからみた全国や東京、横浜の投資状況のリアル

ライフタイムベンチャーズ 代表パートナー/YOXOメンター 木村亮介氏

木村:みなさん、コロナ禍において投資状況の変化はありましたか?

:変わった、変わらないで言うと変わったと思います。ただ、投資ラウンドによって違いがあり、シードだと投資状況にはあまり大きな変化がないように思います。

木村:私も同じような状況ですね。

:シードだとお金を集めるフェーズが去年の夏くらいに終わっているVCが多いですね。今、お金が余っている状態なので、積極的に投資していこうという姿勢は変わりません。またIPO(Initial Public Offering:新規公開株)前だと上場の仕方が大事になるので、コロナの影響で今年の1月から3月くらいは上場する会社はほとんどなかったような感じです。

木村:IPO前のフェーズに投資をしているVCさんに話を聞くと、コロナ禍で上場するはずだった企業がタイミングを遅らせたり、業種によっては業績が著しく悪くなってしまったり、そういった話を聞きます。

:一方、コロナの影響でオンライン化が加速したことで、オンラインを生かしたスタートアップが増えました。

木村:確かに、前月比140%成長とか200%成長とか特需を得たスタートアップもありますね。

奥住:オンラインだけで投資が決まったケースはありますか?

:あります。投資のプロセスとしては一回も対面でお会いせずに契約、調印、着金まで至ったケースが何社かありました。

佐々木:うちも一社くらいはありました。ただ、最後に一回だけ会って決まるような感じです。やはりシードの経営者評価において、一回はお会いしたいという気持ちがあります。

株式会社ANOBAKA 中縁嗣氏

木村:株式投資型クラウドファンディングとしては、コロナ前後で変わったことはありますか?

佐々木:これまで株式投資型クラウドファンディングを検討してなかった方から、「ちょっと話を聞きたい」という機会が増えた印象がありますね。面倒とされる株主総会をIT化しているのも要因かと。

木村:横浜の起業家の方から相談を受けたことはありますか?

佐々木:「YOXO BOX」にも関係している株式会社JapanFuse(ジャパンヒューズ)さんと何回か壁打ちさせていただきました。バーのサブスクサービスを提供されているのですが、バーという視点は横浜と相性がいいし、横浜に拠点を置く意味があると思いました。

木村:私の出資先であるCarstay(カーステイ)株式会社さんがYOXOのアクセラレータープログラムに採択していただき、今度、本社を横浜市に移転させるそうです。

奥住:アフターコロナで東京一極集中は変わると思いますか?

:そこは変わると思っていますね。移動する意味ってなんだっけという価値観が芽生え始めていて、街のハード屋としての機能がそこまで意味をなさなくなるのではないでしょうか。具体的にいうと、距離が関係なくなるので、ソフトウエアとしての街の魅力付けが大事になってくると思っています。その観点では、東京も横浜もあまり変わらないですよね。どこにでもネットが通っていて、環境も整っている。

木村:私も横浜はすごく恵まれていると思っています。

:ほんと、この辺りは最高の環境ですよね。

奥住:都市としてのコンテンツやソフト的なことがある程度あれば、横浜市に限らず、今後、追い風というかチャンスがあると感じていますか?

木村:そうだと思います。特に横浜の場合は、東京23区を除いたら一番人口の多い自治体です。グローバル企業の本社がありますし、他県にとってはうやましい材料しかないと思うで、今後、とてもよい環境になると思います。

横浜市経済局・新産業創造課担当係長 奥住有史氏

VCからスタートアップや企業家に期待すること

木村:皆さんはどのような起業家に投資したいと思いますか?

:起業している領域のことは誰よりも圧倒的に詳しくあってほしいし、そこに熱を持ってしっかり取り組んでいてほしいです。「好き」だと言う熱意があれば、その熱意にひかれて投資したいと思います。

佐々木:周りが企業に就職している状況のなか、一人で起業して、リスクを負いながらも炎を燃やしている起業家を見るとかっこいいなと思います。そういう人が10年後、20年後に日本を動かしている存在になる未来を想像するのが楽しいです。

イークラウド株式会社 佐々木瞭氏

木村:逆に、こんな起業家は嫌だっていうのはありますか?

:選択肢をすべてVCに求めてしまうのはどうなのかなと思いますね。これとこれ、どっちをやったらいい?みたいな。自分でやるのなら自分で決めた方がよいと思います。

木村:横浜で起業する圧倒的なメリットは?

佐々木:横浜市民の横浜に対するエンゲージメントが高いことです。さらにエンゲージメントが上がるケースが生まれれば面白いと思いますね。

木村:確かに、首都圏の主要都市でこういう街はないですね。

奥住:370万人の市民を背景としたエコシステムという考え方もできますよね。商圏としてはある程度成熟しているので、まずそこでやってみて、そこから全国展開などを始めるというのもありますね。

:行政の方がスタートアップやイノベーションに対して、前のめりにサポートしてくださるのも横浜の素晴らしい点だと思っています。行政を巻き込まないといけない領域にとっては素晴らしい街だと思いますね。

奥住:行政と民間の距離は比較的近いです。大都市ですがコミュニティが小さいというメリットがあります。

木村:逆にもったいないと思う部分としては、学生へのサポートですね。2〜3年後に起業し、チャレンジしうる人材として、若い層をもっと応援してほしいと思います。

:都市型のスタートアップ・エコシステムと言えば、アメリカのシリコンバレーが有名じゃないですか。シリコンバレーの歴史を紐とくとカリフォルニア大学やスタンフォード大学などの優秀な人材が集まって、そこから街が形成された背景があります。神奈川にはさまざま大学があるので、連携していくといいと思いますね。

奥住:横浜には東京でバリバリ働いていたにもかかわらず、出産や育児、介護などの理由でいったん仕事から身を引いた、ポテンシャルの高い方も多いと聞きます。そういった方などいろんな人を巻き込んでいく多様性もエコシステムの要素かなと思っています。

 実際に人が集まってのミートアップが行なえない状況の中、今回、「0次回」と銘打って開催されたVCによるパネルディスカッション。2ヵ月に1度のペースで定期的に開催しているので、またの機会を楽しみにしていただきたい。

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