一般社団法人電子情報技術産業協会 (JEITA)が発表した2021年4月の国内パソコン出荷実績は、前年同月比9.5%減の63万1000台、出荷金額は15.6%減の621億円と、台数、金額ともに前年割れとなった。マイナスとなったのは、台数・金額ともに2020年8月以来8ヵ月ぶりとなった。
出荷台数は、2021年1月には109.8%増、2月には115.5%増、3月には40.9%増というように、異例ともいえる高い成長率を継続してきたが、そこから一転して、2桁近いマイナスとなった。
今回の前年割れは一過性のものではないとの見方が強く、業界内には、今後の落ち込みや、その推移がどうなるのか、動向を慎重に捉える動きがある。
出荷台数の内訳はノートPCが前年同月比4.2%減の53万7000台。そのうちモバイルノートは4.5%増の15万台、ノート型その他が4.1%減の38万6000台となった。また、デスクトップPCは前年同月比31.5%減の9万5000台。そのうちオールインワンPCは、30.3%減の2万9000台、その他が32.0%減の6万6000台となった。
GIGAスクールの特需が一巡、平均単価は大きく上がる
すべてのカテゴリーで、前年実績を下回っている。
前年同期(2020年4月)は、コロナ禍においてテレワークへの移行が促進され、在宅勤務の環境が整っていなかった企業が、ノートPCなどを追加するケースが増加。それによって、PCの出荷台数が前年実績を上回り、5.3%増という伸びを示した。しかし、今年はテレワーク需要が一巡、それが前年割れの要因となっている。また、3月末で小中学校に1人1台のPC整備を行うGIGIスクール構想が終了。2021年1月以降も続いた大幅な出荷台数の増加が4月の実績で急激な落ち込みをみせた要因となった。
PC業界にとって特需といえる動きがなくなったのだ。関係者に取材をすると、CPUをはじめとする部品の調達の遅れなどが影響して、3月中に納品できなかったものが、4月の出荷にずれ込んだという動きもあったようだが、5月以降は、そうしたものも含まれなくなるだろう。
興味深いのは平均単価の推移だ。
実は、GIGAスクール構想による導入が促進され、出荷台数が増加した際には、平均単価は大幅に下落していた。GIGAスクール構想では、1台あたり4万5000円の補助金が用意されたことから、学校現場では、4万5000円以下のPCを調達。その結果、2020年4月には10万5293円だった平均単価は、GIGAスクール構想による導入がピークとなった2021年1月には、5万9010円にまで下落した。これが、今回発表した2021年4月では9万8415円まで戻ってきたのだ。これも裏を返せば、GIGAスクール構想による特需が一巡したことを示す結果だといっていいだろう。
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