週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Xアイコン
  • RSSフィード

開放型で超小型! 独特だけど、使い込むほどしっくりくる!?

「EARIN A3」の実機をレビュー、完全ワイヤレスの世界を作ったブランドが改めて世に問う製品

2021年05月05日 14時00分更新

もっこりしないだけでもメリットあり!?

 完全ワイヤレスイヤホンは種類が増え、ちょっとやそっとでは心が動くことがなくなっていたが、EARIN A3は見た目の良さだけでなく、ほかにはない使い勝手もあり、常に手元に置いておきたいと久しぶりに感じた製品だった。

 音楽専用にガチガチにチューニングを極めたという性格の製品ではないが、気負いなく使え、聴き疲れせず、環境音と自然になじむサウンドが心地よい。ラウドネスバリバリで低域がズンズンと響くイヤホンが欲しいという向きには物足りなさがあるかもしれない。しかし、音は決して悪くないのだ。中高域が伸びやかで、音の広がりや定位の再現力などは非常に優れているし、解像感も高く、音の彫琢を細やかに再現する能力も持っている。特にアンビエンス感を重視するようなサウンドには好適だ。

 スウェーデンのEARINは、クラウドファンディング(Kickstarter)発の「M-1」で、完全ワイヤレスイヤホンという存在を世界に問うた企業だ。発売は2015年。アップルのAirPods(2016年末)などに先行する。途中、M-1の後継機となる「M-2」を挟んだ第3世代の製品がA3。デザインにも機能にも、EARIN独自の要素をふんだんに盛り込んだオリジナリティーあふれる製品に仕上がっている。

 個人的にはケーブルフリーで軽快に使えるという完全ワイヤレスイヤホンの本質を真剣に考えなおした製品だと考えている。ここに好感を持った。特に胸ポケットに気軽に滑り込ませられる充電ケースの小ささと、これまでの通念を打ち破る軽快感あふれるイヤホン形状がいい。冒頭でも書いたが、完全ワイヤレスイヤホンはケースをカバンに入れないといけない場合が多く、手ぶらでちょっと外に出たいときの扱いに悩むことがある(イヤホンをケースに入れたい場合も少し手間だ)。これがなくなるだけでも、利用頻度は確実に上がるだろう。

 素材の質感を生かしつつ、ミニマルでシックにまとめた雰囲気は北欧ブランドらしい上質さがあるし、スーツなどとも違和感なく合わせられる。価格的には2万円台後半(実売2万7800円前後)と高級機の部類に入るが、似たようなものが多くなってきた完全ワイヤレス市場では異彩を放つ存在だし、美しさと技術的な新しさが両立しており、ここが所有欲をくすぐる。

 ケーブルの束縛から逃れてフリーな使用感が得られる完全ワイヤレス。でも、実はケースがかさばってポケットがモッコリ……。そんな煮え切らなさを感じている人は、EARIN A3を試してみてはどうだろうか?

■関連サイト

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります