一方で4Kテレビの普及は進んでいる
A-PABでは、毎月、新4K8K衛星放送の視聴可能機器台数を発表している。今回の調査結果と同じタイミングに、最新データとして発表された2021年3月までの累計台数は828万3000台となった。内訳は新チューナー内蔵テレビが569万5000台、外付け新チューナーが25万5000台、新チューナー内蔵録画機が92万8000台、CATVで受信するための新チューナー内蔵STBが140万5000台となっている。
2021年3月単月では、出荷台数は前年同月比23%増の39万8000台となり、A-PABでは、「昨年末のような勢いはないものの、比較的好調に推移している。3か月後に迫った東京オリンピック/パラリンピックに向けて、さらなる普及推進に努めていく」としている。
3月の内訳は新チューナー内蔵テレビが30万8000台、外付け新チューナーが1万台、新チューナー内蔵録画機が3万4000台、新チューナー内蔵STBが5万5000台となっている。「新チューナー内蔵テレビは、薄型テレビの約6割、金額では約8割を占めている。2020年12月の40万台に続き、過去2番目の販売台数になった」という。 もともと3月、4月は進入学、新社会人、転勤需要などによって、比較的、小型のテレビの販売が促進される傾向が高く、4K8Kテレビの販売台数が伸びにくかった。 だが、今年は新型コロナウイルスの影響もあり、3月でも、5割以上を4K8Kが占めており、2Kテレビを上回っている。
3月の出荷ペースを維持すると、東京オリンピック/パラリンピックの時点で1000万台という目標累計台数に対して近いところまで到達することになる。 4月にも2Kテレピを上回る販売台数比率になるかどうかが注目されるほか、有機ELテレビのイランアップが広がり、価格下落が進んでいることも、4Kテレビの販売増加には追い風になりそうだ。
だが、前年の2020年6月には、特別定額給付金の影響もあり、4K8Kテレビの販売台数が増加したが、今年はそうした特需も見込めないなど、状況の厳しさもある。 そして、3度目の緊急事態宣言が発出されるなかで、東京オリンピック/パラリンピックの開催方法についても、まだ行方がわからない。メーカーや量販店からは、開催が最終決定しないなかでは、積極的な訴求ができず、東京オリンピックの視聴のために購入するという来店客も限定的だという。
東京オリンピック/パラリンピックの開催が正式決定すれば、4K8Kテレビの需要の盛り上げにつなげることができるだろうが、それもいまはできないままだ。業界内からは早期の開催決定を期待する声もあがる。
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