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Ryzen 5000シリーズが最強王座から陥落!?

Core i9-11900K、Core i7-11700K、Core i5-11600K検証!クリエイティブ系アプリ&ゲーム編

2021年04月26日 11時00分更新

「Lightroom Classic」と「Photoshop 2021」で写真編集性能を検証

 続いて、写真編集系処理の処理性能を比較してみよう。まずは3DMarkのUL社が昨年リリースした「UL Procyon」でテストする。このツールはPCMark 10のApplicationテストと同様、Adobe製アプリを実際にインストールして動作させ、目視(ストップウォッチ)計測では計測できないような微細は性能差もわかるというものだ。テストはファイルオープンから各種処理、最終的にファイル出力までの一連のワークフローにかかかった時間をスコアー化する。当然高スコアーになるほど、快適に処理できるという意味になる。

 ここでは、UL Procyonに実装されている「Photo Editing Benchmark」を利用する。下のグラフではバーが各々3本あるが、「Photo Editing」は総合スコアー、「Image Retouching」は「Lightroom Classic」と「Photoshop 2021」を用いたテストのスコアー、「Batch Processing」は「Lightroom Classic」のみで構成されるスコアーとなる。テストの内容はUL社が公開しているので、条件などが気になる人はをご覧いただきたい。

UL ProcyonにおけるPhoto Editing Benchmarkのスコアー

 どのテストにおいても第11世代Coreは第10世代Coreよりも優秀だ。特に、コア数で勝るCore i9-10900KのスコアーがCore i9-11900Kはおろか、Core i5-11600Kにすら負けている点に注目してほしい。また、総合スコアーとImage RetouchingではCore i9-11900KがRyzen陣を抜き、トップに躍り出ている。

 しかしながら、Ryzen陣も上位に食い込んでいる。Batch ProcessingではRyzen 9 5900Xがダントツに高く、Image Retouchingテストは1CCD構成で内部レイテンシー問題が少ないRyzen 7 5800Xが2位につけている。Ryzenは上位モデル特有の設計に由来する弱点はあるものの、ここでもAdobe系アプリにおける強さを発揮できていると言える。とはいえ、Core i7-11700KはRyzen 7 5700Xに迫る結果を出し、Core i5-11600KはRyzen 5 5600Xと同等の勝負をしている。

Photo Editing Benchmarkでスコアーの算出根拠になった処理ごとの処理時間

 この表はPhoto Editing Benchmark実施時に各手順ごとの処理時間を示したものだ。ほとんどのテストが数秒、最速で1秒未満で終わるが、画像の書き出しや顔認識など数十秒必要とするものもある。「Save as」や「Export」といったファイル出力処理が関係する処理に関しては、PCI Express Gen4接続のSSDの影響も大きくなりそうだが、第10世代と第11世代Coreの差は大きくても5秒程度にとどまった。このテストではGen4とGen3 SSDのシーケンシャルリード・ライト速度の性能差が決定的な要素になっているとは言えないだろう。

 また、Batch Processing Testにおける「Face detect」(顔認識)処理に関しては、第4世代Ryzen陣が遅く、逆に第11世代Coreが安定して高速な点も面白い。

 UL Procyonの漠然としたスコアーではわかりづらいという人のために、これまで筆者が「Lightroom Classic」で行ってきたDNG→JPEG変換時間でも比較してみよう。100枚の調整付きDNGファイル(61メガピクセル)を準備し、Lightroom Classicで最高画質のJPEGに書き出す時間を計測した。書き出し時にシャープネス処理(スクリーン用、適用量は標準)を付与しているため、CPU占有率は極めて高くなる。

Lightroom ClassicによるDNG→JPEG書き出し時間

 このグラフは処理時間なので短いほうが優秀ということになるが、巨大なL3キャッシュを武器にしたRyzen 5000シリーズの速さが印象的だ。第11世代Coreは第10世代Coreよりも着実に速くなっているが、Ryzenとの差を覆すほどではない。ただし、Core i9-11900KとCore i9-10900K、Core i5-11600KとCore i7-10700Kのように、コア数が少なくてもIPCの上昇でハンデを覆せる性能を出しているというのは興味深いデータだ。

Webブラウザーの処理を「WebXPRT 3」でチェックする

 「WebXPRT 3」を利用したWebブラウザーベンチマークの結果も見てみよう。HTML5やJavaScriptなどを利用したWebアプリの処理速度を比較するというものだ。WebブラウザーはChromeベースになって実用性が格段に上がったMicrosoft Edgeを利用している。

WebXPRT 3の総合スコアー

 第10世代CoreではRyzen 5000シリーズに対し、10%以上の差を付けられていた。しかし、第11世代CoreではIPCが劇的に向上したことで、Ryzen 5000シリーズと大差ないどころか、Core i9-11900Kは堂々のトップに立った。CINEBENCH R23でシングルスレッド性能で最速に輝いたCore i9-11900Kだが、WebXPRT 3でもRyzen 5000シリーズを上回ることを証明した。しかも、PL1=TDPという「制限付きの状態」でだ。

WebXPRT 3の総合スコアー算出の根拠となった、テスト別の処理時間

 上のグラフはテスト別の処理時間なので、バーが短いほうが優秀という意味になる。Core i9-11900Kは「Oraganize Album using AI」以外の処理で、Ryzenを追い抜いている。

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