週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Xアイコン
  • RSSフィード

低コストで体温・脈拍などをリアルタイムにモニタリングできる体調管理システムの実証実験

2021年04月12日 17時30分更新

 OKIは4月12日、国立研究開発法人情報通信研究機構の委託研究「未来を創る新たなネットワーク基盤技術に関する研究開発」に基づき、大阪市立大学、関西大学、明治大学、ソリトンシステムズと共同で、屋外の広い場所に分散して動き回る人の体調情報をバイタルセンサー無線ネットワークを用いてリアルタイムにモニタリングする体調管理システムの実証実験を行ない、体温・脈拍などの情報を人数や移動速度に関わらずリアルタイムに収集することに成功したと発表した。

体調管理システムイメージ

 年々深刻化する夏場の猛暑の影響などで、教育現場では運動中の熱中症などによる生徒の体調不良が問題となっている。そのような背景から、生徒の体調の異変を正確かつ早期に把握し、素早く対処することで重症化を未然に防ぐシステムが期待されている。

 だが現在、トップアスリートなどに使われている、運動中の人間から体温や脈拍などの体調情報を計測しリアルタイムにモニターするシステムは、高い運用コスト、通信距離の制約、利用人数が数十人程度に限られることから、教育現場での導入が現実的ではない。そこで同社は、これらの課題を解決した教育現場向けのシステム開発を決定したとのこと。

 同社は、複数の無線装置を経由して、バケツリレーのようにデータを伝送する通信方式「マルチホップ無線ネットワーク」技術をベースに、バイタルセンサー無線ネットワークを開発。高頻度にセンサー間のネットワークを再構成することでセンサーを付けた人の高速移動に対応し、センサー間で無線帯域を効率的に共有することでデータの収集率の向上を達成した。

 これにより、屋外のスポーツグラウンド規模において、数百人が高速移動(~10m/s)をしている状態で、各人の体温や脈拍等のデータを低遅延(10秒以下)で収集することが可能となった。

 本実証実験では、屋外のグラウンドで、68名の被験者の両腕に150個のセンサーを付けて運動させ、被験者の体温及び脈拍等を90%以上のデータ収集率で得られた。また、ライセンスを必要としない920MHz帯を利用していることで、低コストでのネットワーク構築が可能となった。

 同社は今後、本実証実験の成果を活かし、教育現場等での様々な課題解決に向けて、バイタルセンサー無線ネットワークを用いた体調管理のためのソリューション提供を目指すとのこと。

■関連サイト

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります