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コロナウィルス飛沫シミュレーションにも活躍した富岳、その負荷はまだ1/6程度

2021年03月11日 11時00分更新

ラグジュアリーカーがラリーやF1を制したようなもの

 また、ス―パーコンピュータ推進議員連盟の甘利明会長は、「富岳が、4部門で世界1位を獲得し、性能の高さと汎用性では他を寄せつけなかったのは鼻が高い。ラグシュアリーカーでありながら、F1グランプリやラリー選手権を制してしまったようなものだといえる」と比喩。「富岳は、国内外の全人類のために、縦横無尽の活躍をするポテンシャルを十二分に持っている。胸をときめかせて富岳の活躍を見守りたい」とした。

ス―パーコンピュータ議員連盟の甘利明会長

 整備期間中に、詩型コロナウイルス対策に関する各種研究に活用され、飛沫シミュレーションの成果が話題になったこともあり、「それだけに使われているのはもったいない」という声も出ていたがあった。だが、実際には、飛沫シミュレーションをはじめとする6つの課題での活用は、6分の1のリソースしか活用していなかった。

 そのほかにも、富岳成果創出加速プログラムにおいては19課題が進行しており、試行的利用課題では30以上、R-CCS(理化学研究所計算科学研究センター)高度化研究では16チームが利用している。

 富岳は、健康長寿社会の実現、防災・環境問題、エネルギー問題、産業競争力の強化、基礎科学の発展の5つの社会的・科学的課題において、
「生体分子システムの機能制御による革新的創薬基盤の構築」
「個別化・予防医療を支援する統合計算生命科学」
「地震・津波による複合災害の統合的予測システムの構築」
「観測ビッグデータを活用した気象と地球環境の予測の高度化」
「エネルギーの高効率な創出、変換・貯蔵、利用の新規基盤技術の開発」
「革新的クリーンエネルギーシステムの実用化」
「次世代の産業を支える新機能デバイス・高性能材料の創成」
「近未来型ものづくりを先導する革新的設計・製造プロセスの開発」
「宇宙の基本法則と進化の解明」
の9つの重点課題に取り組むことになる。しかも、これらの9つの重点領域で活用した場合、京に比べて、最大で131倍、平均で67倍の性能が発揮されることが証明されているという。

 共用開始によって、富岳の本領がいよいよ発揮される。どんな成果が生み出されるのかが楽しみだ。

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