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Radeon RX 6800 XT/6800で強いRadeonが久々に戻ってきた!【後編】

2020年11月28日 11時00分更新

補足:正式版ではさらにSAMの効果が向上?

 さて、前回レビュー時はBIOSもドライバーも検証用のβ版だったが、RX 6000シリーズの販売解禁に伴いBIOSもSAM対応版を謳うバージョンに、GPUドライバーもRX 6000シリーズをサポートしたWQHL版が公開された。全部のテストを再録するのは時間的体力的に無理があったため、本稿を仕上げるにあたり2点だけ新BIOS(F31h)&新ドライバーで挙動を確認してみた。

筆者が検証に使用しているGIGABYTE製「X570 AORUS MASTER」も、RX 6000シリーズリリース後にSAM対応BIOSがリリースされた

 まずはシステム全体の消費電力から。ラトックシステム「RS-WFWATTCH1」を使用し、システム起動後10分後を“アイドル時”、3DMarkのTime Spyデモ実行時のピーク値を“高負荷時”として計測した。

システム全体の消費電力。BIOSおよびドライバーを正式版に入れ替えて再計測。RTX 30シリーズは前回の計測値をそのまま掲載している

 前回の計測結果では、RX 6000シリーズのアイドル時消費電力が90W超とやたら高かったが、今回ドライバーを入れ替えて計測すると大幅にダウン。RTX 30シリーズと同程度の消費電力に落ち着いた。ただ高負荷時に関しては前回と大差ない値になっている。

 パフォーマンスは「Rainbow Six Siege」を軽く回してみた。APIはVulkanとし、画質は“最高”、レンダースケール100%設定を追加した。ゲーム内ベンチマーク機能を利用して計測している。RTX 30シリーズやRX 5700 XTは前回の値をそのまま流用している。

「Rainbow Six Siege」Vulkan、1920×1080ドット時のフレームレート

「Rainbow Six Siege」Vulkan、2560×1440ドット時のフレームレート

「Rainbow Six Siege」Vulkan、3840×2160ドット時のフレームレート

 新BIOS&新ドライバーの組み合わせにしたところ、特にRX 6800 XTのフルHD&SAM有効時のフレームレートがさらに向上し、平均524fpsまで到達。ただ解像度を上げると検証用β環境の組み合わせと大差ない結果となった。

 もうひとつ「Horizon Zero Dawn」でも変化が見られた。全体の傾向に変化はないが、前回4K解像度ではRadeon系でエラーが出て落ちる不具合が見られたが、新BIOS&新ドライバーの組み合わせでは完走することができた。ただここまでの結果から類推できるように、4Kで動かせてもSAMの効果は誤差程度にとどまる。

「Horizon Zero Dawn」3840×2160ドット時のフレームレート

 さらにもう一つ、デバイスの認識にも変化がみられた。検証用β環境ではRX 6000シリーズの“何か”が不明なデバイスとして放置されたままだったが、新BIOS&新ドライバー導入後は「AMD UCM-USCI Device」として認識された。

検証用β環境では、デバイスマネージャー上で不明なデバイスが残ったままだった

製品リリース後に公開されたBIOSと最新ドライバーを導入したら「AMD UCM-USCI Device」が新たに認識された

 この新デバイスは「UCSI(USB Type-C Connector System Software Interface)」の名が入っていることから、RX 6000シリーズに搭載されたUSB Type-Cに関連するドライバーだ。USBメモリーはテスト用β環境でも動作していたので、映像出力に関連するAlternative Mode周りの挙動が実装されたようだ。

まとめ:DXRゲームではまだ未熟だが、
新Radeonのハイエンドとしては極めて優秀

 以上でRX 6800 XTおよびRX 6800のパフォーマンス検証は終了だ。RX 6000シリーズは現状、DXRにおけるパフォーマンスが伸びないことや、DLSSのように画質を保ったままフレームレートを絞り出す機能に弱点を抱えている(Radeon Boostは解像度を下げてしまうのでビジュアル的な質は落ちる)。

 DXR対応ゲームは今後のPCゲームの重要な要素だと考えるならRTX 30シリーズに軍配があがる。しかし、大多数のそうでないゲーム、特にフルHDで超高フレームレートを狙いたい人にとっては、Infinity Cacheを備えるRX 6000シリーズは極めて魅力的な製品といえる。

 ともすれば、総じて今回のRX 6000シリーズは、AMD+TSMCの努力による7nmプロセスの熟成と、Infinity CacheやSAMといったイノベーションが上手く絡み合い、非常に良い製品に仕上がっている。とはいえ、正式版ドライバーになっても若干動作の怪しい部分がある(ゲームで解像度を変えた後、数秒遅れて一瞬ブラックアウトするなど)が、ここら辺は徐々に熟成していくことだろう。

 何より嬉しいのは、Infinity CacheやSmart Access Memoryは特別ゲームに対する対応が必要ないので、組み込めば即使えるということだろう。特にSAMは今のところRX 6000シリーズオンリーの機能だが、NVIDIAもインテルもこれに対応する動きを見せている(SAMはPCIやPCI Expressに昔からある機能を利用するだけだ)。

 そして何より、GeForceのハイエンドラインと真っ向勝負で殴り合えるRadeonが久しぶりに見られたことにこの上ない嬉しさを感じる。これまで性能を出したければGeForce、DXRを使ったゲームを楽しみたければGeForceといった具合だったが、これから(少なくともAmpereの次が出るまでは)Radeonでも良くなった点は、PCのパーツ選びの幅を拡げてくれるだろう。

 だが最大の問題は供給量だ。RTX 30シリーズ(特にRTX 3080)も厳しいが、RX 6000シリーズの供給量も少ない。折角GeForceと真っ向勝負ができ、値段でも優位性を示せる製品ができたのだから、なるべく早く製品供給が潤沢になって欲しいものだ。

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