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富岳が世界トップのスパコンの座を防衛、いぜん圧倒的性能

2020年11月17日 10時12分更新

ビッグデータ解析でも中国製スパコンを大きく上回る

 また、大規模で、複雑なデータ処理が求められるビッグデータ解析において、重要な指標となる大規模グラフ解析性能をランキングする「Graph500」では、10万2955GTEPSとなり、2020年6月時点の7万0980GTEPSを大きく上回った。

 「通信性能の最適化などを行うことによって、約2兆2000億個の頂点と、35兆2000億個の枝から構成される超大規模グラフに対する幅優先探索問題を、調和平均0.34秒で解くことに成功した。このランキングでは、京が、2015年6月から9期連続第1位を獲得していいたが、京と比較して3倍以上の性能向上を達成した」という。

 2位は、中国のSunway TaihuLightで、2万3756GTEPS。現在、運用を終了している京の実績を下回る。富岳は、2位の約4倍以上の性能差をつけている。

 「Graph500での1位獲得は、富岳が、科学技術計算でよく用いられる規則的な計算だけでなく、不規則な計算が大半を占めるグラフ解析においても高い性能を持っていることを実証したものであり、幅広い分野のアプリケーションに対応できるという、富岳の汎用性の高さを示すものである」としている。

最初のコンセプトから10年、プロジェクト開始から6年の歳月を経て
2021年度早々に一般共用化

 理化学研究所 計算科学研究センターの松岡聡センター長は、「富岳は、最初のコンセプトから10年、プロジェクトの公式な開始から6年の歳月を経て、ほぼ完成し、2021年度早々の一般共用に向けて、事前の試験運用が進んでいるが、すでに、多くの成果を出している。2020年6月時点のランキングから、さらに性能を向上させ、すべての主要なスパコンの諸元で、突出した世界最高性能を発揮することを再び示すことができた」とし、「富岳は、Society5.0に代表される、国民の関心事の高い種々のアプリケーションで、高い性能が出るように開発した。今後、富岳は、スパコンとしてのそれ自身の利用とともに、開発された富岳のIT テクノロジーが、世界をリードする形で広く普及し、新型コロナウイルスに代表される多くの困難な社会問題を解決し、日本のイノベーションを先導していくことになる」と述べている。

 また、開発に関わった富士通の新庄直樹理事は、「今回は、富岳の全系を動かし、前回から大きく性能を伸ばすことができ、主要なベンチマークにおいて、2期連続で首位を獲得することができた。富岳のポテンシャルの高さが確認できたものと考えている。今後、富岳が、高いアプリケーション実効性能を実証し、Society5.0の実現を担うスーパーコンピュータとして広く活用されることを期待している」と語った。

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