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迫力ある低域でスマホ充電まで可能、Bang & Olufsen「Beolit 20」を聴く

2020年11月13日 13時00分更新

パワフルな低域と大音量

 音質については、ほかのBang & Olufsen製品同様、高品位だ。サウンドキャラクターの魅力は中高域の美しさ。筐体が大きい分、低域の再現にも余裕がある。ジャンルの得意・不得意はないが、アコースティックなソースと相性がよく、かつ太いベースがあった方がいいジャズなどの再生は特におすすめだ。

 名曲「Take 5」などでは冒頭のベースの沈み込み感などが良好で好印象。出力は35Wで、最大音量は93dB SPL(1mの距離)。大きめのリビングなどでも迫力ある音が出せるが、小音量に絞っても低域がやせないのも触れておきたいところだ。連続再生時間も長く、一般的な音量で最大8時間、BGMレベルであれば最大37時間の再生が可能としている。従来機種のBeolit 17に比べ30%ほど伸びた。

 ユニット構成としてはフルレンジ(5.5インチ/ロングストローク型)と、3方向に向けて配置したツィーター(1.5インチ)、そして2つのパッシブラジエーター(4インチ)が組み合わさっている。水平方向は無指向性なので、部屋の中央に置いても壁際でも、部屋全体に明瞭な音楽を聴ける。垂直方向の指向性は広くないので、音質的には床の上よりは机やラックなど高め位置に置いた方が良さそうだ。また、ある程度離れた方が音の良さを感じやすい面がある。

入力端子は基本、充電を兼ねたUSB Type-Cのみとシンプルだ。

 2台揃えてステレオペアを組むこともできる。Beolit 20同士はもちろんだが、従来機種のBeolit 17との組み合わせもできるようになるそうなので、従来からのユーザーは手持ちの機器を有効活用しながら、高音質化を狙える。ただし音色感が少し異なるため、Bang & Olufsenアプリで少し調整した方がいいそうだ。

 この製品の購入を検討している人にとっては、同じBang & Olufsenのワイヤレススピーカーと比べてどうかという点が気になっているかもしれない。より小型の「Beosound A1」が手元にあるので、その違いを比べてみた。

 音質面では低域の量感に違いがあるため、音色感に違いが出る。簡単に言うとBeolit 20(35Hzまでの再生が可能)のほうがウォーム、対するBeosound A1(同じく55Hzまで)は中高域が立ったややクールな印象になる。ただ、サウンドの方向性としては近く、統一した思想の音作りがなされているのが分かる。推奨する部屋の面積がBeolit 20の50m2に対して、Beosound A1は30m2。一般的な部屋で利用する際はBeosound A1でも十分すぎるほど大きな音が出るが、屋外やパーティー会場での利用を想定するならBeolit 20のほうが余裕がある。

 Beosond A1にはQi充電機能がないが、逆にGoogle FASTペアやMicrosoftのSwiftペアへの対応、マイク内蔵、防水対応といった特徴がある。ウェブ会議用のスピーカーフォン、Alexaによる音声操作などにも考慮した仕様だ。連続再生時間も通常のリスニング音量で18時間と長めになる。重量も558gで、Beolit 20の2.7㎏に対してかなり差がある。

 Beolit 20はより多人数で音楽を楽しむ用途に適した製品と言えるかもしれない。クルマのトランクに入れて公園やバーベキューなど屋外に持っていくことも考えられる。一方、Beosound A1は机上での利用、仮に持ち運んだとしても、よりパーソナルな用途に適した製品と言えるだろう。

 なお、Beolit 20はスマホ側の音量調整と、本体側の音量調整の組み合わせで音の大きさが変わる仕組みになっている。やや変則的だが、テレビなどにBluetooth送信機を付けてワイヤレス再生する場合には有利な仕組みだ。テレビ周りのちょっとした音質改善などにも役立つかもしれない。

 実売6万円弱という価格はBluetoothスピーカーとしてはかなり高価な部類ではあるが、ステレオペアを組めば、ちょっとしたコンポに引けを取らない高音質が楽しめ、ステレオフォニックによる空間再現性も高まる。ワイヤレスかつテレビ脇のラックスペースにも置ける省スペース性を生かして、部屋に単品コンポやスピーカーを置くスペースがない人でもあきらめずに高音質を追求できる点は魅力だろう。

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