ゲーミングPCとしてRyzen 5は性能が低くないの?
気になるCPU性能をチェック
GPUを内蔵したAPUをのぞくデスクトップ向けのRyzenシリーズは、主にRyzen 9、7、5の3つのシリーズがある。ゲーミングPCとなればグラフィックスだけでなくCPUにも高い負荷がかかるため、高速なCPUが望ましい。その観点から考えると、シリーズ中の一番下、Ryzen 5では性能が不足してしまうのではないか……と心配になる。
しかし安心して欲しい。Ryzenシリーズはコア数を考慮したトータル性能でナンバリングしているため、Ryzen 5だからといっても、コア当たりの性能は大きく変わらない。さらにいえば、Ryzen 5 3600Xであっても6コア12スレッドと十分なコア数があり、Ryzenが登場する2017年以前と比べれば、ハイエンドPCに勝るとも劣らないだけの性能があるのだ。
実際にベンチマークソフトでどのくらいの性能になるのかもチェックしてみよう。この性能テストには、定番の「CINEBENCH R20」を使用。これはCGレンダリング速度から性能を独自スコアで測ってくれるもので、このスコアが高ければ高いほど高速なCPUとなる。通常はすべてのコアを使うマルチスレッド時の性能となるが、シングルスレッドの性能も測ることができる。この両方の性能をチェックしたのが、下の結果だ。
CPUのスコアは3714pts(マルチスレッド性能)、CPU(Single Core)のスコアは502pts(シングルスレッド性能)となっているが、このスコア単体では高いか低いかよくわからない。そこで過去のデータから値の近いCPUがないか探してみたところ、Core i7-9700KのスコアがCPUで3753pts、CPU(Single Core)で499ptsと、非常に近いものとなっていた。
Core i7-9700Kとは世代の古い第9世代になるとはいえ、インテルではハイスペックモデルとなるCPU。このCPUと互角となるのだから、Ryzen 5 3600Xが遅いハズがない。
もちろん、上位モデルのRyzenと比べればコア数が少ないだけに性能面では見劣りしてしまうが、ゲームに限って言えば、実はそうでもない。マルチスレッドへの対応が進んできているとはいえ、その多くが4スレッド程度。多いものでも8スレッド程度しか使わないため、コア数が多いからといって有利になるとは限らないのだ。
試しに「Borderlands 3」でベンチマークを実行し、タスクマネージャーからCPUの負荷を見てみよう。
総合のCPU負荷は軽いシーンで20%前後、最も重たいシーンでも40%くらいしかなく、6コア12スレッドのRyzen 5 3600Xでも余裕がある。Borderlands 3は各論理コアへの分散がかなりうまくいっている方だが、それでも、40%前後が7つ、10%前後が5つといったように、それなりに偏っていた。すでに論理コア数は十分余裕があり、これ以上増えたところで性能が上がることはなさそうだ。
なお、これだけCPUに余裕があれば、実況配信や録画しながらのプレイであっても、ゲームの速度へ影響はほとんどないだろう。そういう意味でも、Ryzen 5 3600Xはゲームに十分な性能があるといえる。
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