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S660用アクセサリー紹介 後編

ホンダ・S660のModuloコンプリートカーを試乗! 走ったときにパーツの違いがわかる

2020年10月31日 15時00分更新

フロントもリアも引き締まったように見える

Moduloパーツのフロントマスク。写真では分かりづらいがラジエーターの開口部が狭い印象を受ける

S660 Modulo Xのラジエーター開口部

 2台を見比べて気になったのは、ラジエーターの開口部の面積が、Modulo の方が狭いように見えたこと。もちろん冷却に十分な面積は確保おり、実際の開口面積に違いはないとのことでした。

リアロアバンパー(8万5800円)。底面に流れる空気を綺麗に流すディフューザー効果を有するとのこと

Moduloパーツ搭載車(左)とModulo Xのリア。バンパー部は同一だ

2台ともアクティブスポイラーを搭載するが、写真手前のS660 Modulo Xには黒いパーツが取り付けられている

スポイラー後端に取り付けられたガーニーフラップ

 リアに目を運ぶと、リアロアバンパーは同一のもの。アクティブスポイラーの機構そのものは同一ですが、Modulo Xのみウイングの後端をほぼ鉛直に跳ね上げる部品ガーニーフラップが取り付けられています。ガーニーフラップはダウンフォース量を増やすアイテムで、担当者によると前後の空力バランスを考えて取り付けたとのこと。つまりModulo Xの方が車両全体のダウンフォース量が大きいと言えるでしょう。

Moduloのフロントサスペンション。4本で14万800円

Moduloのリアサスペンション

Modulo Xのフロントサスペンション。一見同じに見えるが、中央に減衰力調整機構を有している

足回りもModulo Xは減衰力調整機構搭載

 サスペンションも異なります。Moduloパーツは純正交換タイプですが、Modulo X用は軽自動車としては初となる「減衰力調整機構」を搭載。5段階で足の硬さが調整できるようになっています。ちなみに取り付けても車高は純正と変わりありません。Modulo X用のサスも専用品で、パーツの単品購入は不可となっています。

マイナーチェンジで追加されたアルミホイールMR-R01のブラックスパッタリング仕上げ(フロント用3万6300円/1本、リア3万8500円/1本)

従来から販売しているアルミホイールMR-R01のステルスブラック塗装仕上げ(フロント用3万1900円/1本、リア3万4100円/1本)

ホイールの奥に見えるディスクローター ドリルドタイプ(6万6000円/1台分)とスポーツブレーキパッド(3万8500円/1台分)

 その他のブレーキまわりやアルミホイールなどは同一のもの。ただマイナーチェンジの際に、アルミホイールにブラックスパッタリング仕上げが加わりました。このホイールがS660および純正タイヤにあわせて強度設計をしたというのは有名な話です。ブレーキローターは放熱性や摩耗粉の除去に優れたドリルドタイプ。ブレーキ時に「シャー」という独特の音がしますが、スポーツブレーキパッドとの組み合わせは、しっかり止まるのはもちろんですが、コントロール性がとてもよいものです。

 悔しいことに、S660 Modulo Xは約300万円と軽自動車としては群を抜く高額車種なのですが、S660にModuloパーツをすべて取り付けるよりオトクになるという点。さらにホンダアクセス担当者は「S660 Modulo Xは究極のS660と言える」とも話しており……。早い話「S660にModuloパーツを取り付けても、S660 Modulo Xにならないばかりか、敵わない」という図式が成り立ちます。

実際に乗り比べて見ると
スポーツドライビングが段違いの気持ちよさ

 筆者はこれまで、S660前期型、後期型、さらにModulo Xの前期と後期のすべてを試乗。さらにエッチ・ケー・エス(HKS)の車高調を入れた愛車にも乗っています。ですが、Moduloパーツ搭載車は初めての経験。さてその乗り味は……。

 前期型・後期型問わず、ノーマルに比べてModulo Xは「ギャップが全然怖くないしなやかな足と、ステアを切り始めた時の気持ちよさ」「タイヤの接地感が格段に違うだけでなく、クルマがどう動こうとしているのかがわかりやすい」の2点が異なるといえます。誰でも低い速度域でもスポーツドライビングを楽しめながら乗り心地がよいのがModulo Xの凄いところで、なるほど究極のS660と自負するだけのことはあるなぁと感心すると共に、筆者もS660 Modulo Xに惚れている次第。

 では、Moduloのスポーツサスペンションを入れると、Modulo Xのような、乗り心地のよい、しなやかなでスムーズな足が手に入るのか? 答えは残念ながら「否」。Moduloパーツは「スポーツ系」でイメージしやすい硬さがあり、街乗りでは「これはちょっと硬いかも」と思わせるもの。とはいえ純正サスよりは衝撃時の収束が早く、角が取れているような印象を受けました。専用ホイールがいいのか、サスがいいのか、おそらく両方なのでしょう。他誌のレビューなどでModuloのサスペンション装着車を「しなやか」と表現している記事をよく目にし、Modulo Xの足をイメージしていた筆者としては、「コレのどこがしなやかなの? Modulo Xと全然違うじゃないか」というのが偽らざる最初の印象。

 ホンダアクセスの広報担当によると「Moduloのサスペンションは、Modulo Xの減衰力設定でいると5と同等です」とのこと。つまりスポーツ走行に焦点をあてた作りこみをしているわけで、引き締まっているのも当然。30段階調整可能なHKSの車高調「HIPERMAX IV GT」の標準設定から5クリックほど硬め方向へふった時と似ているように感じました。

 このModuloパーツの足が光るのは、50km/hを超えてきたあたりから。そこから「しなやかさ」を感じはじめて良い塩梅に。タイヤが路面に根をはやしたかのようなModulo Xとは異なり、軽快さを覚えるもので、ドライバーを鼓舞しながら挑発するような楽しさ。峠とかワインディングが好きな人なら「コレだよコレ!」と思えるバランスです。その宗派からすると、Modulo Xには大人しさを覚えるもの。究極のS660は、誰もがどのゾーンでも楽しめるという意味で、スイートスポットにハマるとModuloパーツの方が上といえそう。考えてみたらサスペンションを交換するのは、よりスポーティーな走りを望むからで、その意味において「車高調は30万円前後が相場だから、その半値でこの足が手に入るのはイイ」と素直に関心した次第です。

 ちなみに車高調はメーカーによって異なりますが、多くは2年4万キロ保証。それを過ぎたら定期的にオーバーホールをしないと性能や乗り心地が悪化します。車高調のオーバーホールは1本2万円程度から。4本で8万円で、これに加えて取り付け工賃やアライメントなどの費用が発生します。一方、Moduloサスペンションは純正形状、製造工程を踏襲しているため、構造上分解できずオーバーホール対応はしていないとのこと。ですが、新車装着であれば3年6万km保証するほか、劣化進度も車高調に比べて遅いそうです。それを考えるとオーバーホール2回施工の金額でModuloサスペンションが手に入ります。どこかオトクに感じてしまうのは筆者だけでしょうか。

 さて。ノーマルS660とModulo Xの違いの1つに「ステアを切り始めた時の気持ちよさ」を挙げましたが、その要因はエアロの違いではないか、と勝手に推測しています。というのも、速度域が高まるとその傾向は顕著に表れるから。では純正バンパーとModuloパーツ、Modulo Xそれぞれに違いを見いだせたかというと「純正とModuloの違いはわかるけれど、ModuloパーツとModulo Xの違いは、街乗りからちょっと速度を増した程度では、正直わからなかった」という印象を受けました。

 エアロの違いを感じ始めるのは、40km/hあたりから。普段乗りの交差点でステアを切った程度では違いを見出すことはできませんでした。速度を上げると「あぁ、やっぱりイイなぁModulo」という切れ味が体感できるのですが、ではModuloパーツとModulo Xの違いを見出すにいたるかというと、速度域が足りない模様。どうやら高速道路などで違いが出てくるのでしょう。以前S660 Modulo Xで中央道を走行しましたが、ノーマルとは異なる安定性に驚いた次第です。

 総じてS660 Modulo Xは東名高速の下り線、御殿場から大井松田の間の「山北区間」などで安定感と操作が楽しめるような、ある意味GTカー的な方向性。Moduloパーツ装着車は、軽快さを活かしたミニサーキットでの走行が楽しいライトウェイトスポーツを際立たせる方向」ではないかと感じた次第。おなじModuloの名を冠しても結構違うことに驚くと共に、クルマの奥深さ、カスタマイズの可能性を感じた次第です。とりあえずエアロ欲しいです。

S660 NeoClassicを含めたホンダアクセスのS660 3兄弟

NeoClassicのフロントフェンダー部。こちらもさり気なくホイールの外に空気を綺麗に導く工夫がなされていた

 最後に当日、S660 NeoClassicもあったのでホンダアクセス3兄弟を並べてみました。NeoClassicはエアロ云々のクルマではないのですが、愛らしい顔は見ていて和むものです。当日知ったのですが、マイナーチェンジ後のS660をNeoClassic化することが、諸般の事情で難しいとのことでした。

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