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SORACOM Conference Connected.レポート

IoTは生活を変え、コロナ禍に立ち向かうツールにもなる

2020年10月02日 17時00分更新

クックパッド株式会社執行役 Japan CEO 福崎 康平氏

好きな時間や場所で新鮮な食材を受け取る

 クックパッドは大手レシピサイトとして知られているが、2018年に「クックパッドマート」という新事業をスタートさせている。

 専用のアプリから野菜や肉を購入すると、小売店などに設置された生鮮配達ボックスに商品が届けられる仕組み。ユーザーは、QRコードを読み取ることで宅配ボックスを開け、非対面で注文した商品を受け取ることができる。

 食材は1品から購入でき、好きな時間に受け取れるため、ユーザーにとっては、使いやすく手軽なサービスだ。さらに送料は無料だ。宅配ボックスはIoT機器でもあり、解錠や、配送時、宅配ボックスの温度管理にインターネット通信が活用されている。

 現在は、東京都と神奈川県の一部地域のみで利用ができるが、公式サイトでは、販売者としての参加、受け取り場所としての参加を随時募っている。参加する生産者や店舗が増えるほど、今後ますます便利になっていくだろう。

 日常的な買い物も、特に人口の多い地域では、時間帯によって密集状態が生まれる可能性があるから、好きな食材を好きな分量だけ、非対面で購入できるサービスがあれば、利用してみたい人も多いのではないだろうか。ほかの地域への拡大にも期待したい。

拠点に限定されない広域見守り網

株式会社otta 代表取締役社長 山本 文和氏

 株式会社ottaは、見守りサービス「otta」を展開する。

 主に子どもや高齢者の見守りを想定したサービスで、キーホルダー状の専用デバイスを用いて、アプリから子どもや高齢者の位置を確認できる。

 特徴は、常時の位置追跡でない点にある。街中に設置された「見守りスポット」や、見守りアプリをインストールしたスマホを持つ人、「見守りタクシー」とすれ違ったタイミングで、アプリが位置情報をクラウドにアップし、ユーザーから確認できるようになる仕組みだ。つまり、デバイス自体はビーコンの役割を果たしている。

 「地域ぐるみで見守る」がコンセプトで、たとえば、特定の場所を通ったタイミングだけをチェックし、無事に帰路についていることを確認するといった使い方ができる。また、スマホを持たせたくなかったり、子どもの通う学校などでスマホの携帯が禁止されている場合に活用できるのもメリットだ。

 同社では新製品として「otta.g」の発売も予定している。従来の機能に加えて、音声による連絡が可能。自宅にいながら、帰宅中の子どもに声かけをすると言った使い方ができる。otta.gは今冬にも販売される見込みで、先行販売していたMakuakeでは、目標額50万円を大幅に超える415万円の出資を集めて、プロジェクトを成功させた。

 IoTを活用して、位置情報の完全な把握でなく、さりげない「見守り」を実現させている例だ。

コロナ禍とIoTの相性

 カンファレンスを開催したソラコムはIoT(Internet of Things)向けの通信が主業務で、「世界中のヒトとモノをつなげ共鳴する社会へ」を掲げて事業を展開している。

 開催にあたって同社は、「私たちの暮らす世界は(中略)暮らし方がわずかな間に様変わりしました。この状況下で、離れていても人と人とがつながることや、物を通じてつながること、「 Connected / コネクテッド」の重要性が見直され、また実感を伴う機会が増えました」とのコメントをサイトに掲載している。

 今回紹介した3社のサービスを振り返ると、いずれも、コロナ禍以前からサービスを提供しているが、感染拡大以降に、以前は想定していなかった、異なる側面がメリットになり始めたサービスとも言えるかもしれない。

 7月に開催されたSORACOM Discovery 2020 ONLINEでは星野リゾートが、新型コロナウイルスの感染拡大が広がる中、急遽、IoTを用いて宿泊客の三密を回避する仕組みを導入したという話題があったが、生活が激変する中で、新たな「便利さ」、新たな「心地よさ」を生活の中に求めていこうとした際に、IoTは、アイディア次第で大きな味方になってくれる存在なのだ。

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