「投資会社であるソフトバンクにとっての最大の防御は現金。平常時には、少しやんちゃに投資をし、危なっかしい攻めを行う会社というイメージがあるが、危機的状況においても、誰よりも早く、誰よりも大きく、自ら積極的に守りに徹するのがソフトバンクである」
過去最低の赤字から過去最高の黒字へ
ソフトバンクグループは、2020年度第1四半期(2020年4月~6月)の連結業績を発表。売上高は前年同期比2.0%減の1兆4500億円、税引前利益は50.9%減の8330億円、当期純利益は11.9%増の1兆2557億円となり、最終利益は四半期としては過去最高となった。
2019年度通期業績は、純損失が9615億円の赤字となり、第4四半期(2020年1月~3月は)も1兆4381億円の赤字と、いずれも同社としては過去最大の赤字を計上した。そこから一転して過去最高の黒字を達成してみせた。
今回の黒字化は、主に米通信会社のスプリントに係る支配喪失利益が影響。4月1日に合併したスプリントとTモバイルの株式交換差益が、純利益に7364億円のプラス影響となった。そこに、Tモバイルの売却益として4219億円、通信事業者であるソフトバンク事業の2592億円などが加わっている。
数値という点では、ソフトバンクの底力を見せた格好だ。
だが、今回の決算発表から、ソフトバンクグループは、営業利益の発表を取りやめた。また、売上高や当期純利益の発表についても疑問を投げかけた。
ソフトバンクグループの孫正義社長は、営業利益の公表を取りやめた理由として、「ソフトバンクグループは、ソフトバンク2.0として、投資会社に生まれ変わった。投資会社にとって、売上高はどれほどの意味があるのか。甚だ疑問である。当期純利益も同様である。ルールがあるので、売上高と純利益は発表し、説明もするが、これらの会計上の数字は意味を持たない」とした。
なお、公表しなかつた第1四半期の営業利益については、「5000億円強と見込んでいたが、それを上回っている」とする。
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