空間はゲームとオーディオのあらたなキーワードに
Mobiusとの違いでもうひとつ大きなものは、Penroseでは3Dオーディオを可能にする技術「Waves NX Technology」やヘッドトラッキングがなくなっているということだ。これが低価格化の要因の一つだろう。
ただし、AUDEZEは「Penroseとプレイステーション 5の組み合わせでは3Dオーディオの「テンペストエンジン」、Penrose XとWindows 10やXbox Oneの組み合わせではマイクロソフトが提供する立体音響機能「Windows Sonic for Headphones」を使用すればいい」とコメントしている。
テンペストエンジンやWindows Sonic for Headphonesは特別な設計のヘッドホンを対象にしたものではないが、AUDEZEではこうした3Dオーディオ最適化のためのイコライザープリセットを提供する計画のようだ。
なお、前モデルのMobiusはPenroseの発売後もラインアップに残って、ファームウエア更新も続くようだ。つまり、Penroseは、Mobiusをキープコンセプトした後継機ではなく、3Dオーディオを備えた新ゲームコンソールのための機種と言えるかもしれない。もちろん機能を省けば、低価格化できるという意味もあるが、こういう視点に立つとPenroseとAUDEZEの次世代戦略が見えてくる。
USBドングル化も性能向上という側面もあるが、Windows Sonic for HeadphonesやDolby Atmos for Headphonesなど、最近の3Dオーディオ技術を有効に使うためにデジタル信号経路をロスレス化したためと考えられる。
Mobiusでは製品自体が3Dエンジンを持っていたので、ホストとの信号経路はあまり問題とならないが、Penroseでは次世代ゲーム機やPCなど、外部に3Dエンジンがある。この品質を低下させないため、信号経路をロスレス化したということではないかと考えられる。
なお、Penroseはデジタル接続を基本に設計されている。3.5mm端子でも持つが、アナログ信号をいったんPenrose内部でAD処理してからまたDA処理することになるため、どうしても3.5mm端子につながなければならない場合を除いては、いい選択ではない。
先日アップルの空間オーディオの発表もあったが、Penroseは今後の業界の3Dオーディオ技術の動向や次世代ゲーム機のエコシステムを考える上でも興味深いモデルとなるのではないだろうか。
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